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カナン誕生
そもそも小説を書き始めた最初の物語です。
その後、友人から様々に感想を頂いて修正してきました。
これはその完成版として載せていきたいと思います。
「・・・起きなさい、私の愛しい子」
母の声に誘われて目を覚ます。
「良い子ね、カナン」
母の笑んだ顔が間近に見える。
僕は―――たった今この世界に生を受けた。
創製神クマリの息子として。
―――ああ、早くこの世界を・・・。
「・・・この目で見たい」
「ご覧なさい、きっと貴方は気にいるわ」
母がそっと僕に向けて手を差し伸べた。
僕はその手を取り、ぎこちなく身体を起こした。
「・・・まずはお姉様に挨拶をしなくてはね?」
母の言葉にこくりと頷く。
誕生した瞬間からこの世界の情報が頭に流れ込んできていたから説明などいらない。
僕には、姉がいる。
次期創製神となる姉、ジュノー。
僕は彼女の助けとなるために生れたのだ。