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カナンの目的


ラームと別れ、僕はハギアの家へとあがりこむ。


「ハギア、いる?」


「・・・ぁ、カナン様。いらっしゃいませ。・・・てっきり、神殿に泊まられるかと思いまして・・・散らかっておりますが、ご容赦下さい」


「ああ、いいよ。気にしないから。・・・ところで、その様子だとミレルにこってり絞られたかな?」


クスクスと笑う。すると、ハギアはなんともバツの悪そうな表情を浮かべ、むっつりと頷いた。


「ええ。カナン様とは何者なのかと・・・。長より早く創られた者の存在など聞いたこともない。そこまで言われてしまいますと・・・」


「ふふ。・・・別に隠さなくても良いのだけど、いろいろと騒ぎになるだろうからねぇ。で?ミレルには話したのか?」


「・・・はい。私はどうも、彼女には弱くて・・・」


「まぁ、しょうがないさ。・・・それに、気づく者は気づくだろう」


「・・・カナン様」


つ、と真剣な視線を向けられる。ああ、問われるのだろうな、と覚悟した。


「なに?」


「・・・なぜ、こちらにいらしたのですか?しかも、この時を選んで。・・・今のカナン様がこちらにいらっしゃれる状態とは思えません。少なくとも未来か過去か、どちらかからいらっしゃったのは、私でもわかります」


「やっぱり、わかるか・・・。僕は未来から来た。この時を選んだのは、まあ、過去に未来の僕がここに来たコトを知ってたから。目的はわからなかったけどね」


「・・・そうでしたか」


「でも、今は、目的ははっきりしているよ。・・・闇の力を切り離すためだ」


そう、ジュノーとの決戦のために。


「闇の力を・・・ですか?」


「うん。どうしても捨てなきゃいけないんだよ。・・・闇の力があると勝てないからね」


誰に、などとは問わない。ハギアもまた知っているからだ。


「そうでしたか。・・・ここには器を探しに?」


「そう。・・・風の民は僕に一番近しい一族だから」


「・・・ご子息方は・・・?」


「だぁめ。あいつ等はもともと光と闇の力を持っているから、バランスが悪くなって・・・闇の力に耐えられなくなる」


ハギアはハッと息を呑んで黙り込む。闇の力を暴走させた僕たち一族の行き着く先がわかってしまったからだ。


「でも、今日、良い器を見つけたよ」


「・・・ラーム。ですね?」


「そう。・・・あの子に魔力が無いのは、会ってすぐにわかったけど・・・風の民の血を引いているとは思わなかったから」


「あの子は特別ですよ・・・報告をしていませんでしたが、あの子はナルーン35代国王ナルド様と風の民代表として王宮魔導師をしておりましたレイヤとの間に生まれた子どもです」


僕はさほど驚きもせず、その言葉を受け入れる。


「そうか。あの子はナルーンの王族か。・・・ここにいるということは、継承権は放棄させたんだな?」


「ええ、レイヤが拒否したのです。・・・あの子は自分の父親のことを知りません。ナルーン人であることはさすがに容姿のこともあるので、伝えましたが」


「なあ、ハギア・・・あの子は聡い子だぞ?」


「・・・カナン様?・・・それはどういう・・・」


「・・・いや、わからないのなら良いさ。・・・さて、休ませてもらうよ。明日また、ラームを借りることにするから、そのつもりで」


僕はそう言うと、それっきり口を閉ざした。



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