46
《ありさの居場所》
翌朝、れなが淹れてくれたコーヒーを飲みながら、朝日を眺めた。
朝日に映るみんなの笑顔。
みんな、幸せなんだな。
心が満たされてるんだね。
その三人の顔を見てるだけで、
とっても穏やかになれた。
お泊まり会も、もう終わりか。
あっという間だったな。
もっと一緒に過ごしたかったな。
れなが笑顔で言う。
「また、いつでも遊びに来てねー」
玄関前で彼女に手を振って別れた。
ちせは病院にいくから、といって
また手を振る。
澪と二人で歩いていく。
澪が言う。
「最後にいい思い出できたねー、れなに感謝だよ。あと、連れてきてくれたありさにも!」
澪とはしばらく会えないんだな。
少し感傷的になってると、
「次に会ったときには、ありさの話も聞かせてね」
そっか、ほんとは気づいてたのかな。
賢い澪のことだもんね。
わたしは、こくりと頷いて澪に手を振った。
澪とも別れて・・・・
ひとりになったわたし。
なんだか、すごく寂しかった。
みんなの笑顔が忘れられない。
わたしにあんな笑顔できるのかな。
家の近くまで、戻ってきたけど
今日はそのまま帰りたくなかった。
いつもみたいに、自分の部屋で本を
読んでいたいって感じがしない。
なんだか、のどが渇いたな。
さすがにタクシーでの道のりを
歩いて帰るのは、少し疲れたみたい。
わたしはコンビニに立ち寄った。
店内に入っていくと
「いらっしゃいませっ!」
男性の声がした。
どこかで聞いた声。
レジに目をやると・・・
あれは、たしかわたしに告白してきた男子。
顔はぼんやりとしか覚えてないけど
あの声は、間違いなくそう。
わたしと一瞬、目が合ったが
お客さんが並んでいたため
彼はすぐにそっちの対応をする。
「ありがとうございました!」
と言って、お客さんに笑顔でお辞儀をする姿。
店内に響く元気でさわやかな声色。
もうひとりスタッフがいるけど
ぜんぜん、雰囲気が違う。
彼は楽しそうに働いている。
学校じゃぜんぜん目立たなかったけど・・・・
きっと、あそこが彼の居場所なんだ。
接客なんて、わたしにはとうてい無理。
感心しながら見てると、また目が合った。
店内のお客さんはわたしだけになったようで、じっとわたしを見ている。
何か言いたそうだけど、隣にスタッフがいるので言えない様子。
反射的に回れ右をしてしまう、わたし。
何も買わずそのまま店を出てしまった。
あーあ、これじゃあのときと同じ。
何も変わってないよ。
自己嫌悪・・・・
『 恋愛って人それぞれなんだね』
『これが正しいって決めるのは自分自身』
澪やれなの言葉が響く。
私はこのままでいいの?
ねえ、誰か、教えて。
いや、それじゃいけないんだ。
自分で自分の道を選ぶんだ。
みんな、そうしてる。
当然のことなんだ。




