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「はい、ここがわたしの家」
「す、すごい家だね・・・・ご家族は?」
「あ、ぜんぜん大丈夫。
誰もいないから遠慮なく入っていいよ」
男は、こそこそと入っていく。
「ねえ、その格好じゃダメだから
とりあえず、お風呂に入ってきて。
服はパパのやつ、用意してあげるから」
男は首を少し傾けてバスルームに行く。
「あ、そのひげもそって、
髪もちゃんと洗ってきてよねー」
あたしは、風呂場の外から
声をかけたが返事はなかった。
こんな可愛い女子高生が
誰かもわからない男を家に入れて
しかも、お風呂に入らせて・・・
これって、普通はおかしいよね?
でも、今の状態自体がおかしいんだから
たまには、これもありでしょ。
さっきは黒帯なんてウソついたけど
一応、空手も小さい頃少し習ってたんだもん。
つか、どう見ても弱そうだし、あの男。
しばらくして、男が着替えて出てきた。
おおおっ?
ひげをそって、髪も整えて・・・
ちゃんと見ると、ごく普通な容姿。
いや、むしろ上の下。
20代半ばくらいかな?
おじさんには興味なかったけど
ぜんぜん、いいじゃん。
こう思うのってしばらく
顔というものを見てなかったせい?
わ、なんか逆にこっちが緊張してきたし。
家にはあたしら二人きり。
しかも、あたしは制服のまま。
ミニスカだから、なま足丸見え。
どうしよ・・・
って考えてたら
「えっと、どこで寝たらいいの?
少し仮眠したらまた、あそこに戻るよ」
と素っ気ない返事。
あたしはキレ気味に聞いた。
「あたし、そんなに魅力ないわけ?
もしかして、ど近眼とか??
こう見えても、わたし
けっこー、モテるんだけどさ」
「・・・うん、そうだと思う。
若いしきれいだし。
だから、何で声をかけて
こんなにしてくれるのか
不思議なんだ」
無表情に淡々と答える。
え?
それだけ?
あたしも負けられない。
さらに言い返す。
「こんな可愛い子を前にして・・・
しかも、男女が二人きりだよ。
ふつーはもっとニコって笑ったり、
何か質問して話しようと頑張ったり、
あと、そんな冷静じゃなく
男ならもっとドキドキするもんでしょ?」
「普通は、そうなのかな・・・
でも、ぼくには大事な彼女がいるから」
そういって写真を差し出す。
んー、せいぜい中の下レベル。
歩いてても、その人ごみに紛れて
誰も振り向かない普通の女じゃん。
正直に言ってやった。
「その女性よりあたしのほうが
ずっときれいで可愛いと思わないの?
あんたは年下に興味ないタイプ?」
男は首を振り、言った。
「そうじゃないけど。
ただ、いまのきみには心が
見えてこないから何も伝わらない。
よくできたマネキンみたい。
助けてくれた相手に、こんなこと言って
失礼かもしれないけど・・・」
心がズキズキ、うずいた。
正直、図星だ。
これだけストレートに男に
言われたことって記憶にない。
女子には陰口で言われてるのが
耳に入ってきたこと何度かあったけど。
あの女は男のためなら何でもする
心ない非情なやつってさ。
完全にあたしのことを見抜かれている。
あたしの負け。完敗だ。
あたしは決めた。
この人なら大丈夫って。




