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澪の話が終わるなり、れなが言った。
「あ、あの車椅子だよねー、それあたし見たよ!」
わたしも、人だかりができてるのは気づいたけど
でも、多すぎて近寄らなかった。
さすが、れなは違うな。
ちせが言う。
「好きな人に見守られての卒業式なんて、最高だったね」
言いながら、涙目になってる。
れなが頷きながらしゃべる。
「そういう進路の選び方って、なんかかっこいいね、ってあたしは思うよ」
わたしもまた頷く。
そんな恋愛もあるんだ。
人見知りなわたしにもしかして向いてるかも、などと妄想していると、澪が話をはじめた。
「わたし、きっと向こうに行って幸せがあると信じてるんだ。みんなと離れるのはたしかに寂しい。でも、戻ったらまた会えるはず」
澪は言葉を詰まらせる。
「だけど、彼にはいつ会えなくなるかもしれないし・・・今は少しでも彼の近くにいたい。そこがわたしの居場所だから」
ちせは、自分の立場とダブらせてしまったのか号泣し始める。
わたしは、隣からそっとハンカチを手渡す。
「あ、ありがと」
れなが手を上げる。
「じゃ、次はあたしの番か・・・みんなとはちょっと違ってハンカチは必要ないと思うけどね」
と笑って話す。
んー、やっぱりれなの笑みはどことなく妖しさがある。
やっと、あのとき・・・が何かわかるんだ。
そう思うと胸がまたわくわくしてきた。




