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あ、そうだっ。
外に出るのがあまり得意でないわたしのことを気遣って・・・・
「卒業旅行はやめにして、3人で一緒にうちにお泊りに来ない?」
って、ことになったんだ。
もうひとりの友人、ちせは病院に行ってから来るみたいで遅れるらしい。
わたしは、澪と待ち合わせの約束をして出かけた。
途中、空を見上げている女性を見かけた。
あれは・・・れな?さん?
同じクラスで学校でもある意味、有名な女子だった。
わたしたちとは、違う人種ってやつ。
いや、少なくともわたしとは正反対。
きれいだし、お嬢様だし、あと何より男大好きなひと。
わたしは、そんな彼女が少し苦手で、あいさつ程度にしか話したことはない。
こっそり、そのまま通り過ぎようと思ったら
向こうから、声をかけてきた。
「ひさしぶり」
え?
あの子が女性に自分から声をかけるなんて・・・
そんな姿、あんま記憶にないんだけど。
わたしは、軽くお辞儀をして、その場を去ろうとした。
けど、向こうはそのまま話を続ける。
「ねえ、今日の空ってきれいだと思わない?」
わたしも空を見る。
いつもと同じ青空だった。
「あのときの空みたいだなぁ・・・」
この子、そんなロマンチストだったんだ。
意外な一面を見てしまった。
ギャップって気になるもんだね。
わたしは、つい話を振ってしまう。
「あのときって?」
彼女がこっちを向いた。
やっぱり、きれいな顔をしてるな。
わたしとは正反対のひと。
女性が見ても、その外見に惹かれてしまう。
「・・・気になる?」
意味ありげな彼女の瞳にわたしの困惑した顔が映る。
「えっと・・・」
「今から、おでかけ?」
「あ、うん。澪・・友達と待ち合わせしてて・・・あ、そうだ。一緒に行かない?」
「は?」
彼女も困惑した表情。
「今日、友達の家でお泊まり会するんだけど、人数が多い方が楽しいじゃない?
・・・ダメかな?」
彼女の、あのとき……
って言葉が気になった。
人間観察好きな心が、ざわめく。
「ダメもなにも、部外者がいっても気まずいだけでしょ」
「そんなことないよ。私、あなたと一度話してみたいと思ってたの。
今さらだけどね」
わたしは嘘を吐いた。
いや、正確には嘘ではない。
あのとき…が知りたかったんだから。
「で、でも・・・」
「大丈夫、だいじょーぶ。さ、いこっか」
強引に彼女の手をとり、歩きだした。
女子にはこんな風に、自分をすぐに出せるんだけどなぁ。
こんなきれいな女性と一緒に歩けるなんて
そうそうないし、同性とはいえ悪い心地はしない。
性格は最悪って、まわりの女子たちは言ってたけど・・・
話をする受け答えも、いま、彼女の見つめる
眼差しにもそんな感じはいっさいない。
わたしたちは、笑顔で雑談をしながら澪のもとに向かった。




