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翌日、待ち合わせ場所に行くともう彼女はいた。


写真で見たまま。

目立つから、すぐにわかる。


ひとはまばらだった。

彼女がこちらを見た。


おれは思わず目を反らす。


コツコツと足音が近づいてきて…


「しょうさん!」


彼女が嬉しそうに言う。


おい!?

なんで?


顔を上げて、彼女を見る。


「やっぱり〜、写真のまんまだね。すぐにわかったよ!」


・・・写真?


「それだけかっこいいし、頭もいいんだからモテて当たり前だよね…でも、わたしはしょうさんを信じてるから」


しょう、でなくて兄のりょうだとつい口走りかけた。


あいつ、おれの写真を使ったんだな。そういうことか…


弟は彼女をだましていた。


自信がないのはわかるが、それはしてはいけないこと。


弟にはかわいそうだが、その時点で優しさも思いやりも消されてしまう。


嫌われて当然な運命。


おれがこのまま嫌われたら…

ふと頭をよぎった。



笑顔の彼女に言った。


「みおちゃん、他の大学にも受かったんだよね?」


「うん、そうだよ!」


「なら、よかったら…そっちにしたら?」


彼女の顔が曇る。


「いまさら、どうして? やっぱり嫌いになったの?」


「そんなんじゃない。ただ調べたら地元の大学のがレベルも高いみたいだし、みおちゃんの将来のためだと思う」


彼女が下を向いて呟く。


「しょうさん…なんか、変わったね。やっぱり好きなひとできたんだ」


おれは言った。

「…うん。気になる人が、いる」


彼女の身体がぴくっと震えた。


「おれたちにはメル友の関係が一番いいんだよ。それに、みおちゃんみたいに可愛い彼女だといつも心配してしまうし」


よし、もうひと押しだ。

「おれ、こう見えて嫉妬深いんだ。これからも…離れてても、メル友のままでいない?」


彼女は無言のまま。


「なっ? それでも二人はつながったままにかわりないんだし」

とあわてて付け加えた。


すると、彼女は小声で…


「まただね。また、嘘ついてる」


どきっとした。


「あなたは…しょうさんじゃない」


それまでと違い、彼女の口調は早く強かった。


「しょうさんは、おれなんて言わなかった。いつもぼく、ぼくたちだった。たしかに声も似てるし、送ってもらった写真もあなたのもの」


おれは何も言い返せない。


「でも、あなたはしょうさんじゃない。それくらい、わたしには伝わる。なんで嘘つくの!」


当然の流れだった。


しょうのふりをして、

しょうを悪者にしてでも、二人を離してあげよう。


それが一番自然では…

おれのなかにあった迷い。


おれのあさはかな考えに過ぎなかった。



「わかった、もうすべてを話す」


嘘をいくら重ねても仕方ないだけ。


「ごめん、おれはあいつの兄貴なんだ」


しょうの携帯を見て、二人のやり取りを見てなんとかしてあげたかった、それは事実。


「ほんとは会ったらすぐに話すつもりだったけど、あいつがおれの写真を使ってたとは知らなかった」


彼女は無言のまま、おれを見ている。


「だったら、しょうのふりをしてみよう。

みおちゃんから送られたメールの文章を思い出してさ。でも、結局は二人のこと。事実を伝えるしかないんだよな」


彼女はおれから目をそらさない。


「…しょうさんはどこ?」


「しょうはここにはこれない」


彼女は何かを察したように、すがるようにおれを見ながら…


「しょうさんに…なにかあったの?」


おれはそれには答えず、


「みおちゃん、今からうちにきてくれないかな?」


と声をかける。


彼女は小さく頷き、無言のまま、おれの斜め後ろをふらふらと歩きだした。


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