22
彼からのメールがなくなったとき、わたしは飛んでいきたかった。
わたしはもう自由なんだよ。
でも、わたしはあなたの住所を知らないまま。
受かったら教えてくれるって言ってたのに…
携帯だけがつながりだった。
だから連絡して聞きたかったのに…
最初は単なる暇潰しだった。
メル友なんて所詮、バーチャルみたいなものだし。
家の苦しい空気を忘れたい。それだけだった。
募集するとすぐにたくさんメールが来た。
でも内容は、会いたい、とか、写真を見たいとか…
バカみたい。
こんなもんやめようと思ったとき、彼のメールを読んだんだ。
他と違い長い文章だった。
自己紹介から始まって、自分も同じくらいのころ辛かったことの話。
いつもお兄ちゃんと比べて自己嫌悪だったこと。
そんな自分がいやで悩んだこと。
でもみおちゃんも今は辛くても受験さえ乗りきったらきっといいこともあるから。
神様はちゃんと平等なんだよって。
バイトで塾講師してるから、できる限り受験のアドバイスもしてあげたいし、力になりたいと言ってくれた。
手書きではないけど、手紙のように文字に心が伝わった。
そのメールに救いの手が見えたんだよ。
そして、はじめての電話。
ドキドキした。
英語のわからないことを聞きたかった、それを教えてくれただけ。
でも全然、頭に入らない。
緊張もあったけど、優しい声、暖かい口調、すべてに包まれていく感じだった。
それからは、たくさん電話もしたね。
いつも何時間も話しても飽きなかった。
あの声が好きだったから。
わたしを笑顔にしてくれた。心から笑えた。
わたしこんなに笑えるんだな。
気づかなかったよ。
心が喜びで満たされてく。
同じ波長ってこういうものなの?
二人はほんとに他人?
神様がほんとにいるなら、神様がこんなに離れたあなたに会わせてくれたんだ。
「わたし、一人じゃないって教えてくれたんだよね?」そう聞いたら、
「当たり前だよ、ぼくら二人は分身なんだからね」
ってあなたは笑顔で答えてくれた。
わたしは決めた。
この人に会いたい。
あなたはわたしの分身。
二人が出会って初めてひとつになれるんだって。




