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あの卒業式が終わって数日。
みんなは卒業旅行にいったり、カラオケや買い物に遊びまわったり、
あと県外の大学への進学も多く、準備をしたりとあわただしい様子。
だが、わたしはといえば……
地元の女子大に進学だから、
あまり準備することもなく時間を持てあましてた。
暇な時間を利用して、ため込んでいたマンガや小説を読んだり、
お遊びでイラストを描いたり、物語を考えたりしてひっそり過ごしてた。
わたしは物語を読んだり考えたりするのが好き。
いわゆる、2次元好きってやつ?
でも人間観察をするのも好きだったりする。
ぼーっと人を見ながら、その人の向こうにある人生を想像したり妄想するのはけっこー楽しい。
だけど、リアルに人間と接するのはダメ。
男性なんて特に苦手。
中学3年のときに一度だけ付き合った。
でも、彼はすぐに去っていった。
わたしを一度、抱いただけで。
そのとき、わたしの顔にタオルをおいて
「あんま可愛くないしタイプじゃないんだよなー」
そして最後に、
「それにさ、お前といてもツマラナイよな。何もしゃべらず、頷いてばかりだし」
告白されて付き合って?すぐに捨てられた。
後から聞いた話だと男たちで賭けをしていたらしい。
普段、おとなしくてまじめそうなわたしを
だれが落とすことができるかどうか。
賭けの対象になってたわけだ。
いま思い返せば、彼はわたしの顔を一度もまともに見なかったように思う。
元々、男性の前では緊張するタイプだったし
自分から男子に声をかけたりしなかったけど
それが、恐怖感とともにさらに増した。
男ってそういう生き物。
それ以来、学校の男子はもちろん
周りを歩く見知らぬ男たちでさえ
近づくだけであの言葉がこだましてくる。
『おまえってさ、可愛くもないしツマラナイよな』
だから、高校に入っても男子とは最小限しか話さなかった。
わたしは可愛くもない、面白くもない女なんだ。
ほんとは女子高に行きたかったけど学費が高くていけなかった。
だから、わたしは高校3年間、ほとんど男子と関わらなかった。
女子と一緒にいるだけで、楽しかったから。
女子の前では、自分を出せる感じがした。
まわりはよく恋バナをしていた。
話は聞くけど、頷くことしかできない。
そりゃ、うらやましかった。
知らない世界だし。
でも、聞いてるだけでも楽しかった。
わたしは男子には面白くないやつ。
また、すぐに捨てられるだけ。
慣れたら、また前に戻れるのかもしれない。
わたしだって、恋バナほんとはしたかった。
でも、今のわたしにはまだその勇気はなかった。
あのときに言われたセリフは結局、
三年間、わたしの頭から消えなかった。
でもね、女子同士でいるときは、そのセリフがどこかに隠れてくれる。
周りの友人たちに恵まれたのかもしれないけど・・・
わたしの三年間はそれで十分に楽しかったんだ。
高校時代に後悔は、なしだよ。
だから、学校に行かなくなった春休み中、
これからのことを考えると憂うつだった。
みんなと離ればなれになるんだ。
わたしの居場所、なくなってしまうのかな?
とりあえず、念願の女子大に入れたから男の人におびえる心配はない。
文学部を選んだのはもちろん、本が好きだから。
でも、ただそれだけで、何がやりたいわけでもない。
ごく普通な平凡な女子高生だったわたし。
たまに、マンガや本を読んだり妄想したり。
きっと大学に入っても変わらない。
男性を避けて、2次元に生きる女。
わたしの意味って……なに?
そんなことを考えていたとき澪から連絡があった。




