19
ちせが顔を少し紅くして、おしまい、と言った。
澪がニコリとしゃべる。
「ま、ちょっとだけお惚気だったけど、いい彼氏だねー」
ちせは頷く。
「みんなに話さなかったのはごめん。
でも、こんな自分を彼は認めてくれたから。結果的にひとりで苦しんだのも後悔なし!」
わたしも、笑顔をおくる。
外見があんだけいいのに、そんなに一途だったか。
しかも、ちせのほんとの中身をちゃんと見てくれてたなんて、できたひとだよ。
でも、れなの顔だけは少し真剣だった。
「で、彼氏の目はどんな感じなの?」
あのれなが、他人の彼氏のことを気にしてる。
やっぱり、前のれなじゃない。
「もうすぐ手術をするんだ。可能性は五分五分くらいらしいけど」
「そんな危険な手術を?」
「でもね、わたしも毎日のように通って、だいぶ心で話せるようになったから…たとえ、失敗しても大丈夫だよ」
ちせは笑顔で答える。
澪が言う。
「だから、ちせ、点字の学校に通いはじめたんだ。知ってたんだからねっ」
ちせは、舌を出しながら、ばれちゃってたかー、と言ったあとで、
「少しでも通じるものが多くなればいいなって、心だけじゃ伝わらないこともやっぱりあるし」
れなが言う。
「ほんとけなげだねーー、泣けてくる」
わたしは、ほんとにしくしく泣いていた。
それに比べ、二人はわりと冷静。
もしかして、もっと凄い経験してるってこと?
「じゃ、次は澪の番だねー」
れなが隣に座る、澪の肩を叩いて言った。
澪はこくりと頷いた。
「じゃ、わたしも後から聞いた話も含めてするね」
今度は、ちせが、
「澪こそ彼氏のおのろけですかー」
とちゃかす。
澪は真顔で
「ううん、聞いたのは彼氏のお兄さんから・・・」
彼氏のお兄さん登場とか、また複雑そう。
澪なら三角関係もありえるな、などと
わたしはいろんな想像をしながら
澪の話を待っていた。




