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入院から数ヶ月が過ぎた。


やっとちせへのことを思い出しても少し落ち着いて

考えられる感じになっていたころ、男友達が見舞いにきた。


親友には事実を話していた。


ただ、誰にもばれないようにできたら病院には来ないでくれ、と伝えていた。


「なんできたんだよ?」


慌てて、入ってきていきなり彼は言った。


「ちせちゃん大変なことなってるぞ!」


心がざわついた。


「何があったんだ?」


「彼女…学校きてないぞ」


「え、なんで?」


援交の噂が広まったこと、疫病神扱いされたこと、

そして不登校になったこと…


全て話してくれた。



がく然とした。


ぜんぶおれのせいだ。


今すぐちせに連絡を取りたかった。


友達に頼んでメールを送ってもらう。


「おい、メール戻ってくるぞー」


携帯もかけてもらうが、つながらない。


おれも拒否られている。


当たり前か…


おれが先に拒否ったんだ。おれが勝手に消えたんだ。

おれには何もできない。


「お前、ほんとに連絡を取りたいか?」

と友達が小さな声で呟く。


「なんか彼女、ブログしてるみたいだから…アクセスしてみたら取れるかもな」


ブログ?


知らなかった。

初めて聞いた。


彼が続けて言う。

「ただ、元カレの立場としては読みたくないかも」


「そんなこと気にしない! そのサイト教えてくれよ!」

おれは病室内にも関わらず、大声で叫ぶ。


そこに、ちせは存在する。

ただ自分の目ではもう読むことができない。


彼に頼んだが、それはちょっとごめん、

と言って申し訳なさそうに病室を出ていった。



しばらく呆然としていたとき、


「体調はどう?」


母親が入ってきた。


「母さんお願いがあるんだ・・・・」


面会に来た母親に、友達から聞いたサイトにアクセスしてもらうよう話した。


母さんは、はいはい、と言ってちせのブログにアクセスしてくれた。


しかし何も声がない。


しばらくして母親がやっと口を開いた。


「これ、ほんとにちせちゃんなの?」


おれは頷く。


「なんでこんなことに…」

母親は驚いた様子。


「ぜんぶおれのせいだよ」

おれが告白してしまったからだ。


「…それにしても完全に別人じゃない」


いや、ちせは変わってないはず。


自分の道が見えなくなってるんだ。

おれの目が見えなくなったように。


「気持ちは、わかるけど今のあなたに何ができるの? ちせちゃんには悪いけど、もう忘れなさい」


おれは頭をふる。


「母さん、いいから書いてることぜんぶ読んでいって」


すべてを読みおえて、母親はため息をついた。



おれはただ呆然として涙さえでない。


たちの悪いアダルト小説を聞いてる感じだった、妙にリアル過ぎる内容。


しかも、あのちせがと思うと悪い夢を見てるとしか思えなかった。


心がカラカラと音をたてる。


大切なひとの人生を、おれが変えてしまった。


そして、いま、彼女を死に導いている。


死のカウントダウン…

おれのせいで、愛するひとを殺すのか。


おれがあのとき声をかけたせいで。


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