14
明日は大晦日。
このまま一年が終わってしまう。
ほんとにそれでいいのか?
目の前はほとんどかすんで見えない。
窓の外は雪かもしれないな。
でも、目を閉じると思い浮かんでくるのはちせの姿。
彼女の笑顔を思い描きたいが、いま浮かぶのは寂しく苦しそうなちせの顔だけ。
その顔をおれにはもう笑顔にできない。
自分から去ったんだから。いや、おれは逃げただけ。
その結果、彼女を苦しめている。
ぜんぶおれのせい。
でも、あのままおれは彼女と一緒にいてよかったんだろうか?
付き合って二人でいるとき、彼女は笑いながらも、ときおり戸惑った様子だった。
気をつかっていたのか、すでに見えてないことがばれていたのか…
一緒にいて彼女を楽しませられない男に彼氏でいる資格は、ない。
告白しないほうが彼女のためだった?
でも我慢できなかった。
高校で再会し、ちせを見たとき、彼女はあのときの写真のままだった。
引っ越す前日に一緒に撮った写真のまま。
おれのほうが背も低く、どう見ても弟。
彼女はおれのお姉さんみたいで…
実際に小さいって、からかわれてたとき彼女に助けられたこともあったかな。
そんな昔と変わってない姿を見たとき、胸がざわついた。
引っ越しのときに見送られているときに感じたのと同じざわめき。
あのときは、その気持ちが何なのかわからなかった。
引っ越してからも両親は連絡を取り合っていた。
中学三年のとき、ちせが受験する高校を耳にした。
懐かしいざわめきがまた心にわきあがる。
同じ高校に行けばまた、彼女に会える。
それを希望に頑張って勉強した。
そして彼女にまた出会えた。
久しぶりの再会。
だけど、彼女はすれ違っても頭を少し下げるだけ。
昔みたいに楽しく話すことはない。
好きな相手か、彼氏がいるのだろうか。いても当たり前の年齢だ。
おれもただ頭を下げるだけ。
そんなやり取りばかり繰り返し、気がつくとお互いに受験生。
おれは何をしてるんだ?
何とかしたい、思いを伝えたい。
でも、お辞儀だけがふたりのお決まりになった。今さら何ができる。
流れる時間にこのままでは負けてしまう。
そんなおれに神様がきっかけを与えてくれた。




