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そして、高校に入ると同じ学校で再会。

だったけど3年で彼との距離は遠く

話しかけられない存在になっていた。

身長も伸びてた。スポーツ万能、

顔もかっこいいと学内でも評判だった。


すれ違うときに微妙に会釈するのが精一杯。


ある日、会釈したら向こうから


「ちょっと話していい?」


だれもいない音楽室に2人きり。

ドキドキして息苦しい。

彼を見つめると、笑顔でこちらを見ている。


「久しぶりだね、でもちせは全然変わってないな」


わたしは小さく頷く。


「おれは変わったかな?」


わたしはまた小さく頷く。


「おれは三年間ずっとちせが好きだった」


突然すぎて、口が金縛りにあう。

少し時間をあけて、かろうじて…

「なんでいきなり?」

かすれた声で返事した。


「言えるときに言わないと…

おれもう後悔したくないんだ」


後悔のその意味が今ならわかる。


わたしたちはそれから付き合った。


映画館でデートして、終わったあと感想を聞いたとき。


「ああぁ…寝ててあまり覚えてないよ、ごめん」

そう笑いながら言った。


声だけで理解するの大変だったよね?


プリクラ撮って、らくがきするとき、

画面に顔を近づけすぎてるの笑ったけど…


見えにくいのに必死で書こうとしてたんだね?


カラオケに行くと知ってる歌ばかり歌うから

「またおんなじやつ~、この歌好きすぎだし」

って皮肉ったけど…


暗記して歌い続けるのって大変だったよね?


すべてはわたしに気づかせないで、楽しませるため。

目が見えてないのにあんなに笑顔で一緒にいてくれたんだ。


わたしは目の前の彼に近づいて言った。


「なんで話してくれなかったの?

わたしじゃ頼りにならなかったの?」


彼は驚いている。


「わたしね、今もこれを持ってるの」


財布から写真を出した。

二人楽しく笑ってる小学生のころの写真。

わたしのが背がまだ高い。

今もわたしの宝物だった。


わたしは彼の頭に手を伸ばした。


こんなにあなたの背が高くなるまで待って、

やーっと幸せ来たんだから。


追い抜かされていつの間にか

わたしには遠い存在になって、

いつも見ているだけだったけど…


「あなたよりわたしのほうが

ずっと先に好きだったんだからね!」


彼が下を向きながら小声で言う。


「ごめん、それ気づかなかった。

おれって鈍いんだよね」


「なんで病気のことちゃんと教えてくれなかったの?」


また下を向いて黙った息子の代わりに母親が話し出した。


「一緒にいるのに見えなくて何も言えず

あなたを守れなかった自分が嫌だったのよ。

これから一緒にいても迷惑をかけてしまうだけだし」


迷惑なんて・・・


「だからせめてブログであなたを毎日、見守っていたんだけど、ある日、わたしにお願いがあるって。ぼくの分身になってちせちゃんを救って欲しいんだって」


彼女が自分の分身?

抱きしめたのも泣いたのもほんとは彼の心?


でも、わたしはそれじゃいやだ。


わたしは分身でなく本物がいい。

身も心も本物のあなたを愛したんだから。


あなたを感じたかった。

わたしは彼の頭を撫でた。

頬に触れた。

見えない目にそっと手を置いた。

どれもぜんぶ本物なんだよね。


気づくと涙がでていた。



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