『宴』
原稿用紙二枚の縛りで作成した短編小説です。
高尚な文学小説にしようと思ったら大失敗をかまして、なんちゃってな要素しか残らなかった”若気の至り”作品。
人の罪深さにその身を朱に染め上げ膨れ上がる禍々しい月が、万那由他の闇を重ねた天に漂い、閨房の窓から房事の熱にさめやらぬ稚ない恋人たちを抱擁する。
静寂のなかで身を削り、煌々と輝く蝋燭だけが時を刻む。
揺らめく灯りを伝い、音もなく戯れるように二羽の蜉蝣が迷い込み、円舞を踊る。
その白い身体は不気味なほどに闇に映え、女はその姿に心奪われる。
少年は赫々と沸き立つ嫉妬を覚え、蜉蝣を捕えようと手をのばす。
その手をするりと逃れ、彼らは蜀台の許へと流れて睦まじさを見せつける。
突然に、ほんの少しの気の迷い。
一羽の舞姫は、その身を猛々しく燃える炎に犯された。激しい抱擁に翻弄され、幾度となく怪しげに身を捩り、途切れ途切れに喘ぎをあげて地を這う。
いくつもの色が散らばり、やがてすべてが泡沫のように消えた。
何度も恋人の亡骸の上を飛び回った蜉蝣は、躊躇うことなくその身を劫火にくべ、寄り添うように堕ちた。
狂おしいほどに鮮烈で、真摯な蜉蝣の想いがそこに散った。
劣情を駆り立てる暗香を部屋に残して。
「彼らが羨ましく思う」
儚さゆえに、終焉を迎える絶望は怖い。まして、憧憬し続けた昼の蝶を手に入れた少年には。
それ故に、相手を思う情熱は、愚直にも思える感情の波濤に溺れていた。
“わたしは…哀れで恐ろしいと思うわ”
女は口にせず、少年の屈託のない真摯な視線に、ただ笑みを零すのみだった。