聖のかけがえのない1日の始まり(永遠のラブストーリー番外編)
ちょっと、とある1日の朝の出来事を、聖目線で書きたくなっちゃいました。気軽に読んでください。あまり、本編のストーリーとは関係ありません。
なんだ?ほっぺたがくすぐったい。何かが当たってる。ふわ、ふわって。なんだっけ?これ、なんだっけ?
パチ。目が覚めた。ああ、桃子ちゃんの髪だ。
それに、すうってかわいい寝息も聞こえる。
外から雀の鳴き声が聞こえる。カーテンの隙間から、朝日が差し込んでる。ああ、朝だ。
えっと、今日は何曜日だった?ああ、そうだ。土曜日だ。大学が始まって、土日のバイトは夜だけになったんだっけ。
桃子ちゃんも学校休みだし、なんだ、もっとゆっくり寝ててもいいんじゃん。
「う…ん」
あれ?桃子ちゃん、起きた?
「聖君」
「うん」
「はあ…。胸キュンだ」
「は?」
桃子ちゃんの顔をのぞいてみた。なんだか、にやけてるし、頬が赤く染まって見える。でも、しっかりと寝てる…。寝言だ。
また、寝言だ。桃子ちゃんは寝言多いんだよね。それにしても、胸キュンって何?俺にもしかして、ときめいてる夢?
まったく。かわいいんだから、どんな夢だよ。
じっと桃子ちゃんを見た。桃子ちゃんって絶対に、赤ちゃんの時と同じ顔で寝てると思う。かわいくてあどけない。
桃子ちゃんって、ほんと、色が白いんだよね。だから、赤くなるとすぐにわかる。
そっとほっぺたにキスをしてみた。ああ、柔らかい。かわいい。なんつうの?マシュマロみたいな感じ?
それから、そっと唇にもキスをしてみた。ふわ。ああ、唇も柔らかい。
なんでこうも、やわらかくって、あったかくって、かわいいんだろうか。駄目だ。眠れそうにない。このまま、じっと桃子ちゃんを見ていようかな。
手、小さいんだよね。すげえかわいい。指は細くて、やっぱり色が白くって。だけど、掌はピンクなんだ。触るとやっぱり、柔らかいんだよね。
それに爪もピンク色してるんだよね、小指の爪なんて、めちゃ小さくてかわいいんだ。あ、そうだ。足の爪もかわいいんだよね。
鼻もかわいいんだよね。小さくもなく高いわけでもない。あまり主張もしていないし、だからといって、目立たないわけでもない。
ぐにってつまみやすくってかわいいんだ。だからつい、つまんでしまう。
桃子ちゃんのまつ毛もかわいい。くるんってしてるんだ。それから眉毛は、濃くもないし、そうだな。どっちかっていったら、薄いほうなのかな。眉毛の色も、髪の色と一緒で、ちょっと茶色いんだ。
目を閉じてるから今は見えないけど、瞳も茶色いんだよね。
桃子ちゃんは嫌がってるけど、そばかすも俺はかわいいって思ってるし、ほくろまでかわいいんだ。お尻にあるほくろなんて、見つけた時には、俺、まじでかわいすぎる~~って、感激したくらいだもんな。
やばい。お尻のことは思い出さないほうがよかったかな。今、ちょこっとムラッてしちゃった。寝込み襲ったらさすがに、怒られちゃうって。
いや、怒らないかな。桃子ちゃんってほんと、怒んないもんな。
ああ、桃子ちゃんが起きたら、朝からいちゃついていようかな。駄目かな。いいよね?早く起きないかな。
「うん…」
あれ?寝返りうっちゃった。
まあ、いいや。桃子ちゃんの背中、抱きしめちゃおう。むぎゅ。ああ、肩も小さくって、かわいい。胸は柔らかい。妊娠して、まじでどんどん大きくなってるよね。もっとでっかくなっちゃうのかな。
「聖君」
「え?」
ドキ。起きた?
「寝込み襲わないで」
「はい」
俺は胸から手を外した。
「すう…」
すう?あれ?まさか今の寝言?って、じゃ、どんな夢を見てるんだよ。
ああ、寝込みを俺が襲ってるって夢か。まさに、今の状況と同じじゃん。
「聖君」
「え?」
これも寝言かな。桃子ちゃんの寝言ははっきりしてるから、起きてるのかどうかの区別がたまにつかない。
「そんな目で見ないで…」
ど、どんな目?
きっと、俺に迫られて、俺に熱い視線で見られちゃって、そんで、結局は抵抗もできず、俺のえじきになっちゃうって夢だ。
う~~ん。その夢を途中で中断してもいいものかどうか。俺からしてみたら、夢の中の俺に襲われちゃうよりも、俺本人に、襲われてほしいんだけどな。
ま、いいや。寝てても。
って、俺はまた、桃子ちゃんに抱きつき、うなじにキスをした。
うわ!桃子ちゃんから、かわいい甘い香りがした。う、桃子ちゃんフェロモンだ~~。
やばい。
ムズ。
非常にやばい。
ウズ。
桃子ちゃんの背中、かわいすぎる。それにお尻も、かわいすぎだよ。どうして、寝姿がこんなにもかわいいんだよ。足も、腕も、全部がかわいいじゃんかよっ。
ちょっとお腹が出てきたけど、それすらかわいく見えてしまうから、不思議だ。
スル…。こら、俺の手、勝手に桃子ちゃんのパジャマを脱がそうとしないの。う、我慢、我慢。
だから~~~。なんで、パジャマの上着の中に、手、入れてるかな。こら。こら、こら、こら。
ああ。やばい。胸、柔らかくって、あったかくって、気持ちがいい。
っていうか、どうして桃子ちゃん、ブラしてないんだよ~~~!!!
あれ?昨日もしかして、俺脱がせた?
いや、昨日はちゃんと、おとなしく寝ましたよ?俺も、桃子ちゃんも。
あれ?じゃ、ブラつけないで寝たの?桃子ちゃんってば。え?どうして?忘れただけ?
もしや、その気があったとか。なのに俺、それに気が付かないで、寝ちゃったとか。
昨日の夜は、一緒に風呂に入って、えっと。確か、体を拭いてあげたけど、そのあとは、先に俺、出てきちゃって。そうそう、お父さんが風呂から出たら、何やら話しかけてきて。意気投合してそのまま、1時間くらい話してて。
で、部屋に行ったら桃子ちゃんは、もう髪も乾かしてしまってて、日記も書き終えてて、すっかり寝るだけになってて、で、俺の髪が乾いて、凪の日記を書いてる間に、寝ちゃってたんだっけ?
もしかして、怒ってた?いつの間にか寝てたけど、あれ、ふて寝だった?なんだよ、寝ちゃってるよ、かわいいな、なんて勝手に俺、浮かれてたけど、もしかして、怒って寝ちゃったの?
むぎゅ。
え?!なんで、俺の手、握ってきたの?それも、俺が桃子ちゃんの胸を触ってる上から。あ、もしかして、振り払うつもりで、かな?
「聖君の手…」
「う、うん」
あ、胸触ってるから、怒った?
「大きい」
「へ?」
今のも、寝言?!
「すう…」
だね。今のも寝言だ。
桃子ちゃん、俺の手から手を離した。なんだったんだ、今のは。
ああ。それにしても、凪が生まれたら、この胸、凪のものになっちゃうんだよね。なんか、ちょびっと寂しい。
「聖君…」
また寝言か~~。今度は何かな?
「なんで胸、触ってるの?」
「え?」
「朝から、襲わないで」
「…」
あれ?今のも寝言?それとも起きた?
「桃子ちゃん?」
「うん」
「起きた?」
「うん」
「おはよう」
「おはよう」
桃子ちゃんはまだ、背中を向けたままだ。って、俺が抱きしめてるから、動けないでいるのか。
それに、襲わないでと言いつつも、なんの抵抗もしてこないじゃんか。
俺はそのまま、桃子ちゃんを抱きしめ、胸を触っていた。
「聖君?」
「今日、土曜日だね」
「うん」
「ゆっくりしててもいいよね?」
「うん」
「じゃ、いちゃついていようね」
「へ?」
「もうちょっと、こうやって抱きついてていいよね?」
「…でも」
「うん」
「…」
「なあに?」
桃子ちゃんが何かを言いたそうにしてる。
「う、うずいちゃうから、やっぱり駄目」
「え?」
そうなんだ。ウズってしてるんだ。俺と一緒じゃん。
「じゃ、このまま、俺に抱かれちゃって?」
「え?朝から?!」
「うん」
し~~ん。あれ?黙った。もしや、桃子ちゃんもその気、とか?
それとも、思い切り呆れてる、とか?
「聖君」
「ん?なに?」
「昨日、私が先に寝ちゃって、怒った?」
「俺?いいや、なんで?」
「聖君、もしかして、その…」
「ああ、桃子ちゃんと昨日も抱き合いたいって、思ってたと思った?」
「うん」
「そうだな。でも、俺がお父さんと話して、盛り上がっちゃったんだし、桃子ちゃんが先に寝ちゃっても、怒ったりはしなかったよ。っていうかさ、桃子ちゃんが怒っちゃってたんじゃないの?」
「私?」
「俺がなかなか部屋に行かなかったから」
「怒ってないよ。でも、寂しかったけど」
「そうなんだ」
ああ、なんだよ、かわいいな~~。
「で?」
「え?」
「抵抗しないのは、いいの?OKってこと?」
「え?」
「胸、触っても抵抗しないじゃん」
「…」
あ、また黙っちゃった。これ、いいってことかな~?顔が見えないと、わかんないんだよね。
うなじにキスをしてみた。あ、何も言ってこない。いいの?いいってこと?
ちょっと顔をあげ、桃子ちゃんの顔を覗き込んだ。すると、桃子ちゃんがこっちを見てきた。
うわ。なんだよ、すげえ、色っぽい目で見てるじゃん。それ、誘ってるの?
それ、OKってことだよね?っていうか、もうそれしかないっしょ!
桃子ちゃんをこっちに向かせて、思い切りキスをした。やっぱり、そうだ。桃子ちゃん、無抵抗だ。
あれ?じゃあ、もしかしてあれだ。桃子ちゃんの夢、正夢だったんだ。
俺に、寝込み襲われる夢。今、そうなっちゃってるもん。
桃子ちゃんに腕枕をした。桃子ちゃんは俺の胸に顔をうずめてきた。ああ、これ、好きなんだよね。髪がほっぺに触るけど、それもくすぐったくって、桃子ちゃんが瞬きをすると、胸にまつ毛が触って、それもまた、くすぐったいけど、それも全部、愛しい。
「だ~~っ!」
「え?何?」
「桃子ちゃん、キスはやめて。それはさすがに、くすぐったすぎる!」
「駄目?」
「うん。その辺、弱いからやめてね」
「どこならいいの?」
「どこって」
ていうか、何?なんで俺の胸にキスしてきたわけ?それもいきなり。
「胸とか、脇とか、その辺は駄目」
「お腹は?」
「へ?お腹?!」
「背中は?」
「…」
「聖君って、首も弱いでしょ?」
「う、うん」
「じゃあ、鎖骨は?」
待って、待って。何言ってんの?それ、俺のこと襲ってきたいってこと?それに鎖骨にキスって?え?俺の鎖骨にキス?!
駄目だ。頭くらくらしてきた。どうしちゃったんだ、桃子ちゃん。
「えっと、どうしたの?桃子ちゃん」
「え?」
「変だよ。なんでそんなこと聞くの」
「…だって」
「うん」
「だって、聖君のこと」
「うん」
「愛したいんだもん」
へ?!!!
「私からも、愛したいの」
ままま待って。今、かなりの大胆発言をしてますけど?
それから、桃子ちゃんが俺の上に乗っかってきた。え??なんで?
「桃子ちゃん、何?」
桃子ちゃんがキスをしてきた。
「ど、どうしたの?」
「聖君…」
「うん」
「大好き」
「う、うん」
「聖君、愛してる」
「うん」
「聖君」
「うん」
「起きて」
「へ?」
「もう、8時になっちゃった。起きて」
「え?え?え?」
パチ。
あれ?!あれれれ?!
桃子ちゃんが、俺の顔を見て、にっこりとしている。
「え?あれ?」
「やった。初めて、私が聖君のことを起こした」
「え?」
「ぐっすりと寝てたもんね」
「夢?」
「ああ、なんか、寝言言ってたね」
「なんて?」
「うんうんって、うなづいてみたり、ええ?って驚いてみたり。いったい、どんな夢?」
「夢~~~~?!!!!」
「?」
桃子ちゃんが、きょとんとしている。
「あれ?何?桃子ちゃんの夢が正夢になるって、それを夢見てたの?」
「私の夢?」
「何?今までの全部夢?!」
「?」
桃子ちゃんが、またきょとんと首をかしげた。
「桃子ちゃん」
桃子ちゃんの胸をパジャマの上から触ってみた。あ、ブラしてる…。
「な、なあに?」
桃子ちゃんが恥ずかしがって、胸を手で隠した。
「桃子ちゃん、その…、今日って土曜」
「うん」
「だから、その、もう少しいちゃついても」
「もう8時だよ?」
「でも、桃子ちゃんのこと、今から抱いても」
「ええ?あ、朝だよ?今」
あ、真っ赤になった。
「俺のこと、襲いたくなったりしない?」
「私が?!」
あ、声が裏返った。
「俺の背中や、胸や、鎖骨、キスしたくならない?」
「な、なるわけないじゃん!何を言ってるの、もう~~。今日は私のほうが、先に一階に行っちゃうからね」
そう言うと、桃子ちゃんはベッドを降りて、服を着替えて、部屋を出て行ってしまった。
「夢?」
なんつうリアルな、長い夢だったんだ。だってさ、夢の中で確かに、抱き合ってたんだよ?あったかかったし、桃子ちゃんの肌のぬくもりや、感触もしっかりあったし、キスだって。
「夢だった?」
なんだよ。
ああ、でも、あんなふうに迫られたら、俺、まじで焦りまくるかも。
いつか、そんな日が来たりするんだろうか。
いや、こないかもな~~。
がっかりしたんだか、嬉しかったんだか、残念なんだか、ほっとしたんだか、それすらわからないまま、今日も1日が始まったのでした。
う、でもやっぱり、かなり残念。夜は思い切り、いちゃついてやる~~~!
本編も、よろしくお願いします。