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猫の女王様  作者: 瑞雨
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零 死する者、死を見送る者



ねぇ、ねぇ來。


あたしあなたがいてくれて良かった。あなたがいたからあたしいつも楽しくて、幸せで、辛いことも悲しいことも、あなたがいたからあたし笑顔でいられた。



あなたは歳をとらないことを嘆いていたけれど、あたしはそうは思わない。あなたはたくさんの人の生と死、善と悪を目にしてきたでしょう。それは辛いことかもしれない。たったひとり世に取り残されたような、そんな気持ちがあるかもしれない。


だけど、あたしはあなたが羨ましい。


あたしが生まれる時には、前に生きていた時よりも文化も技術も進んでいて、あたしはいつも様変わりした世に生まれるの。だけどあなたは世の移り変わりをいつも自分の目で見られるのよ?それってとっても素晴らしいことだわ。でもあたしが永遠の命が欲しいと思うのはそれだけではないの。


あたし、あなたと一緒に生きていきたいの。あたしはあなたと出逢う度に別れを経験する。もうあんな思いをしたくないの。あなたにあんな思いをさせたくないの。



あたし、絶世の美貌とか、博識な頭とか、妖艶な肉体とか、かわいらしい歌声とかいらない。あなたといれたさえそれでいいの。でもそれが一番欲深い願いかもしれないね。


ねぇ、來。

あたしあなたを愛しているわ。


あなたがいれば他になにもいらない。あなたがあたしのそばにいてくれるなら、今あるもの全てを捨ててもいいの。あたしたち、いつもどんなときも一緒よ。


あたしね、あたしたちを恋人とか家族とかそんな言葉で表すのは間違いだと思うの。


だって確かにあたしは來を愛しているし、來もあたしを愛してくれているけれど、恋人とか家族とかなんて言葉じゃあたしたちを表すことはできないんだもの。あたしたちは二人で一つ。どちらが欠けてもだめ。あたしは來がいないとだめだし、來もあたしがいないとだめでしょ?何度離れてもその度にあなたはあたしを見つけてくれる。


ねぇ、來。

今度はあたしがあなたを見つけてあげる。


だから來、待ってて?


そしてお願いだから、笑顔であたしを迎えて。

あたしはあなたを必ず捜し出してみせるから。



來、あたし、あなたがいないとだめなの。





二人を別つ死は時に優しく、時に残酷。

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