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第25話「珍しいな」

「珍しいな、お前にも得手不得手があるということか」


「いや違う。ステイツと日本を一緒にしないでくれ、ということだ」


「では日本では難しいと?」


「困難ではあるが不可能ではない。ただ金がかかるのだよ」


 そのあたりのことは羅都にはよく判らない。日本有数のお嬢様である西条伶佳の依頼なのだ、金に糸目は付けないだろうに。


「お前が普段見たこともない金が動くことになるんだよ」


 羅都は普段金持ちの道楽として稀覯書探索でそこそこの金を貰っていると思っていた。金持ちの考えていることはよく判らない。


「それでも西条家なら問題ない、ということなんだろ?」


「それはそうなんだが。時間も掛かると思っていてくれ」


「金も時間も、となるとお嬢様が許さないんじゃないか?」


 京極が一番恐れていることはお得意様が減ってしまう事だ。道楽で高い金を払ってくれる金蔓が居なくなってしまうと、こっちが干上がってしまう。稀覯書を手に入れるにも本物であれば莫大な金がかかるのだ。


「それに揃わなければまず本自体の封印が解けないぞ」


 稀覯書も『無名祭祀書』クラスになると内容を解読するだけではなく本そのものに封印が施されている。まずはそれを解く必要がある。それが解けないと解読は最後まで至らないのだ。


 そして、今その最後の封印が解ける直前の所まで来ている。その確信が羅都にはあった。


「確かにアメリカでも金次第ではあるが、そこそこ手間がかかることではあるが」


「だから一緒にするな。江戸時代ならまだしも文明開化の世の中なんだぞ」


「文明開化?」


「いや、悪い。忘れてくれ。いずれにしても少し時間が欲しい。犯罪に手を汚すことになるんだからな」


「でなければ封印が解けない。あまり待てないぞ、星辰が揃う日が最後の封印が解かれないと判らないんだからな」


「判っているさ。解けたはいいが星辰が揃ったのは昨日でした、なんてことになったら俺は殺されるだろう」


「それは多分俺も同じだ。俺たちの命が掛かっているんだ、よろしく頼む」


 羅都は日本では京極に頼るしかなかった。西条家にお願いしてもいいのだが、西条家が直接動く訳には行かない。いずれにしても金は出してもらうことになるのだ。






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