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第15話 骨董屋は一人ではなかった。

 骨董屋は一人ではなかった。


 本来伶佳の誕生日パーティーに連れて来るはずだった人物話連れて来たのだ。


「なぜ今日になったの?」


 伶佳は詰問口調で問う。


「申し訳ありません、お嬢様。私もそうだったのですが、この者が何か呪いでも掛けられたのか急な体調不良でお伺いすることが叶いませんでした」


 骨董屋の話はただの言い訳にしか聞こえなかった。


「連絡のしようはあったのではなくて?」


「本当に申し訳ありません、ただ連絡が出来ない程体調が悪かったのです」


 伶佳は全く納得がいってはいなかったが、それよりも興味の方が勝っていた。


「まあいいわ、それで?」


「この者がお話をしておりました例の物を解読できる男です」


 その男は上から下まで真っ黒の服装をしていた。


 サングラスで目は見えないが髪も黒い男の顔だけが白く、それが悍ましい雰囲気を醸し出していた。


「お初にお目に掛ります。私の名前は無名羅都と申します」


 年恰好は伶佳よりは少し上に見える。


「米国で古書・希覯書を専門に蒐集、解読をしている者です」


 声はその風貌に合っていて少し低いいい声だった。


「それで、その本は大丈夫なの?本物なのでしょうね」


「それは間違いございません。本来であれば『ネクロノミコン』をご用意したかったのですが、これはかの『黒の書』の原本に相違ありません」


「良く手に入ったものね」


「金に糸目は付けませんでしたから。危ない橋も相当渡りましたし」


 米国で骨董屋の京極と無名の二人で相当苦労して所在を確認したうえで京極は先に帰国したが本を手に入れた無名が船便で日本に持ち込もうとしたのだ。


 但し、無名と本は同じ船での貴国が出来なかった。


 本を最低限の乗組員と奴隷を乗せて先に送り出し無名は別便にしたのだった。


 本が生贄を求めることがあるらしく、その際無名のような力を持った人間ほど求められてしまうからだった。


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