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魔王の残したその軌跡  作者: 椎谷
第二章 『ハーヴェストフェス』
20/20

デート?

「マリー司祭。もうすぐ収穫祭の季節ということで、教皇から各村々の状況を見て回って報告してほしいと連絡があった」


 なぜ俺まで呼ばれてるんだ。俺関係なくね?それにマリーも水晶持ってなかったっけか?


「わかりました」


 仕事の時だけは真面目なんだよな……。普段から同じくらい真面目だったらいいのにな。


「で、だ。君にはマリー司祭と一緒に各村を見てもらいたい。特になにかしてほしいというわけじゃないが、君の目で見て我が国の村がどう映るか率直な意見を聞きたい」


「いいけど、俺農業とか全然わかんないぞ?そっち方面の知識は吸収してないんだ」


 いくら浅く広くといっても農業までは手回んなかったよ。これを機にちょっと勉強してもいいかもな。


「どちらかというと農業より村の生活の方かな。私が直に見て回りたいところだが日程的に難しくてね」


「そういうことなら問題ないかな。けど、あんま期待すんなよ」


「報告さえしてくれれば構わないよ」


「了解。それで、出発はいつ?」


「これからだ。すまないね」


「急だな。まあ、わかったよ。あとちゃんと休めよ?」


 隈が目立ち始めてるのは言わないでおくか。


「はは、わかったよ。じゃあよろしく頼むよ。マリー司祭もよろしく」


 -------------------


「しかし本当に急な話だったな」


 馬車に揺られながらと言っても、あんまり揺れないんだけどな。


「私は近々そういう機会があるだろうなと思ってたので」


「へぇ。やっぱり毎年恒例なの?こういう収穫祭の下見って」


「ええ。私は今回が初めてですけど、別の司祭が見回ってますね」


「けど、何を見るんだ?そんな毎年毎年見なきゃいけないようなものなの?」


「一年を通して使った農具を焼くんです。道具と収穫に感謝を込めて」


 道具に感謝するって、なんか日本でもそんな行事あったような気がするな。


「じゃあ農家は大変だな毎年農具を作らないといけないんだろ?」


「大変かどうかはともかく、寒い時期は多分出来ることも少ないですからね。その時期に用意してるんだと思いますよ」


「そういうもんか。因みになんだけど、今回馬車で回るのってもしかして、俺が馬に乗れないからだったりするのか?」


「ええ、そうだと思います。私一人だったら馬車ではなく、馬に乗って回っていたと思いますから」


 この世界で生きていくんだったら馬車の動かし方はともかく、馬ぐらいは乗れるようになっといた方が良さそうだな。乗る機会があるかどうかはともかくとして。


「馬車にも色んな種類があるんだな。今乗ってるのみたいに二輪で簡単な作りなのもあるんだな」


「相談役さんは別の世界から来たんですよね?相談役さんの世界にはどんな馬車があったんですか?」


「うーん。馬車は使われる機会少なかったと思うな。代わりに馬が必要のない車ってのがあって、移動手段は主に車かな」


 他にも飛行機とか色々あるけど、今ここで行ってもしょうがないしな。


「それはなんだかすごいですね。馬無しで動くなんて想像できないです」


「いずれはこっちでも似たようなのが作れればいいんだけど、そこら辺は魔女じゃなかった。賢者の腕にかかってる。想像はできても作るのは賢者だからな」


「生活が豊かになるのはいいことですね。期待してます」


「本音は」


「楽したいです」


「素直でよろしい。楽できるのかね?まあ生活に便利なものはどんどん作りたいなとは思ってるけど、移動に関しては速度が早くなるとかそんな利点しか無いと思うぞ?」


「野営の回数が少なくなるのも楽に入るのでは?」


「まあ見方によってはそういう見方もあるのか」


「ええ、魔獣は魔界のような魔素の濃い場所にしかいないので、特に気にする必要はありませんが、魔物もいますからね」


「魔物って温和なんじゃなかったのか?」


「普通に襲ってくる魔物もいますよ?狼とか熊とか色々と」


 なんだよアンリ温和なんじゃなかったのかよ……皆魔物って一括りで言ってたからどんなもんかと思ってたけど、ただ動物が魔物って言われてるだけっぽいな。


「そうなのか。でも野営するとなると、俺戦闘力皆無だから夜の見張りとか出来るかわかんないぞ?」


「聖国も小さいですがレイシア王国もそんなに大きい国ではないので、今回の行程では野営はないと思います。多分」


「そりゃよかった」

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