トップ会談
「さて、マリー司祭。急に呼び出して悪かったね」
今日呼ぶ予定はなかったマリー司祭を呼び出したのは上役と話すためか?急に呼び出したからめっちゃキョドってるぞ。
「え、ええ。急な呼び出しには驚きましたわ。私を呼び出されたのは、こちらを使いたいのですね」
そう言って取り出したのは水晶玉だ。一見ただの水晶玉に見えるが、これで通話が出来るというのだから驚きだ。マリー司祭は敷物を敷いて机の上に水晶玉を置いた。
「今朝、呼び出しのお話をいただいた際にもしかしたらと思い大司教にはお話をして、教皇様とお話ができるように手配しております」
「それは助かる。礼を言う」
こういうところは仕事できるんだな。けど、今日いきなり教皇と話するとは思わなかった。てっきり後日になるかと思ってたよ。
「さて、早速だが教皇と話をしたいと思っているのだが問題ないかね?」
「はい。では呼び出しをしますので少々お待ちください」
彼女が水晶に両手で触れ、水晶は淡い光を発し始めた。魔力を込めると発光するのか。通信手段の限られた世界では重宝されるんだろう。
聖国がこの技術を独占しているのか?だとすると良い稼ぎになりそうな気がするな。
『こちらはラ・イーガ聖国フリードリヒ・ヴォルフガング・ルルツ。よろしく頼む。さて、マリー司祭からある程度は聞いているが改めて用件を聞かせてもらえるかな』
結構渋めの声だな。なんとなく優しそうな声色のおじいちゃんを想像してたけどちょっと違ったな。
「お久しぶりです教皇。レイシア王国アンリです。まずはお時間を作っていただいたことに感謝を。それでは昨日、聖国の暗部により国内で襲撃事件がありました。襲撃場所にいたのは我が国から相談役と騎士の二名。聖国側はマリー司祭一名がおりました。暗部の目的は恐らく先日元聖国暗部のカルロという人物によって我が国に持ち込まれた、未知の言語によって書かれた本だと見ている。幸い暗部は騎士によって撃退され人的被害は出ていない。が、聖国暗部が我が国内で作戦行動をしていたことについて、教皇にお話を伺いたくこの場を設けてもらいました」
『まずは謝罪を。我が国の暗部が貴国での襲撃を行ったことについて申し訳ない。現在誰が命令を下したのか確認しているがいまだ分かっていないというのが現状だ。これに関しても申し訳ない。さて件の本だが、先日我が国から持ち出された本だと認識している。その本は勇者が残した本だとされていて、我が国でも解読を試みていたのだが解読は進んでいなかったものだ。マリー司祭から話は聞いたが、貴国には解読の用意があると聞いている。これに関してはぜひお願いしたいと思っている……』
「謝罪受け入れました。こちらとしては賠償として通信用の魔道具を要求したいと思っているのですがどうでしょうか」
やっぱ賠償とかの話になるよな。そんな話する場に俺いていいのかな?マリー司祭もだけど。
けど賠償が金銭じゃなくて魔道具ってことはやっぱりこの水晶って結構価値あるもんなのか。
『賠償要求受け入れた。通信用の魔道具二対貴国には後日送らせてもらおう。さてこの場に未知の言語を読むことができる者は同席しているのかな?』
アンリがこちらを見て頷いた。俺が喋っていいってことなんだろう。
「レイシア王国相談役、波多江と申します。以降お見知り置きを。さて早速ですが、私はこの言語を読むことができます。まず初めに、解読の用意があると申しましたが、すでに解読は済んでおります。勝手に読んでしまったことについてまず謝罪を。まず、この本は勇者が残したものではなく恐らく魔王が残したものだと思われます。理由ですがレイシア王国に伝わる魔王が残した日記と筆跡が酷似していること。そして内容の中で魔王はなぜ自分が魔王で、帯谷という人が勇者なのか疑問に思っていたようです。このことからこの本は勇者が残したものではなく魔王の手記だと思われるということです。この世界に伝わっている話として魔王は女性で、勇者は男性という認識で間違いないですね」
『色々と衝撃的だがまさか魔王の手記だったとは。いやそれに関してはいい。そなたの言う通り勇者は男性で、魔王は女性という認識で伝わっている。続きを聞かせてくれるかな』
「はい。では、まず勇者ですが、勇者という称号にはふさわしくない人物だったようです。非常に利己的で奴隷を
『ちょ、ちょっと待ってくれ。この話は直接私が貴国に赴いて聞いたほうがいい話のようだ。奴隷は現在各国で禁止されている。そんな奴隷を勇者が所持していたとなれば問題が出てくる。マリー司祭今の話は聞かなかったことにしてくれ。レイシア国王よ、すぐに出発する。後日会おう』
教皇、焦って素が出てるな。この世界で勇者ってどういう人物で伝わってるんだろうだいぶ捻じ曲がって伝わってそうだな。
「なんか一方的に通信切られちゃったよ。どうすんのこれ。相当教皇焦ってたけど」
「ふむ。予想外の結果になってしまったな。数日はかかるが、教皇を迎える準備でも進めておくか」
「えーっと私は何も聞いていません」
焦った教皇が通信切断したことで、なんとも言えない空気になちゃったよ。やってくれたな教皇め。
「今日は解散か?」
「そうだね想定外だが解散かな。すまなかったねマリー司祭」
「私は何も聞いてません」
なんか自閉モード入っちゃったよ。はぁ。教皇め。




