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隣人

作者: 本野郎
掲載日:2025/05/26


あ、人が来るーーーー


カーブミラー越しにそう思い、自転車で立ち止まり待つが一向に人は来ない。


あ、生きている人じゃなかったのかーーーー



いつもの事ながら生きている人との見分けがつきにくい。



あまりに区別がつきにくく近くに当たり前のようにいる存在なので霊体の事を「隣人」と勝手に呼んでいる。


けれど私が知っている隣人は色んなタイプがいる。


驚かしてくるタイプ

怖がらせて楽しむタイプ

生きている時と同様普通に日常生活を送っているタイプ

奇怪な動きをしているタイプ

突っ立っているだけのタイプ

近づいてくるタイプ

体の一部分的しか見えないタイプ

絶対に近寄ったり話しかけてはいけないタイプ


今思いつく限りはこんなものだが、私がよく見かける隣人は大体はこんなのが多い。

こんなによく見えるが追い払ったり、祓う方法は皆無である。


なんたってただ見えるだけなのだから。


けれど悪い事ばかりではなく、良い事もあれば、不思議な事も多々ある。


良い事と言えば、亡くなった祖父母たちに会えた事だ。


私はそうやって亡くなった祖父母に会えた事で悲しみが嬉しさに変わった。


不思議な事は、よくテレビやネット等で見る写真に写る「オーブ」とやらを生で見た時や

昔からよく聞く「火の玉」を墓場で見たことがあったり

漫画や本で見たことがある「妖怪」と呼ばれる類を見た時だ。



色んな体験をしているが私は隣人さんとお話ができるタイプではない。


話はできないが不思議な事にイメージと言えば伝わりやすいのか、頭の中にその「イメージ」が急に流れてくる時がある。

けどそのイメージはかなり鮮明であり余り良いものではない。


そして毎日見えるのでもない。

隣人達と波長が合ったときに見えてしまっているらしい。


そんな日常を送っていると多分おかしな行動を取っていると周りから冷たい目で見られる事も良くあるが、慣れもあり普通に人生を送っている。




私が夫と付き合いたての頃、電話をしながら寝るというのが日課だった。


そんな時、電話をしながら寝ていると電話越しに夫のうなされている声に気が付いた。


夫に呼びかけても中々起きなかったので呼びかけていると夫は怯えながら起きた。



どうしたの?


女の人が俺をずっと睨んでる

ゆいちゃんが起こしてくれなかったら俺はあの世に連れてかれてたと思う



怯えながらぽつぽつ話してくれた夫は寝ている体を起こした。


するとまた怯えだした。




ドアの隅にいる

こっちを鬼のような顔で睨んでる




私は分からなかったのでとりあえず夫の母は夜型でまだ起きていると聞いたので、気晴らしに母親と話にリビングに行くことを勧めた。


夫がいなくなった電話越しから人の気配がした。


するとイメージが頭の中に落ちてきた。


夫が話していた女性だった。

女性はかなり怒っていた。


怒りを露わにした姿がイメージで伝わってきた。


女性のイメージを言葉にするとこうだ。



夫は生前女性が想いを寄せていた男性に容姿が似ているらしい。

その想いを寄せていた人と夫を勘違いし

隣人になって夫の部屋を通ろうと入ったところ、想いを寄せていた人をまた見つけたと勘違いし夫の傍にいたみたいだった。

だが夫が私と付き合いだし想いを寄せていた人を私に取られてしまう。

そう思った彼女は夫が寝ている隙に一緒にあの世へ連れて行ってしまおうと考えたみたいだった。


私はそれは困ると思い、取り合えず夫は人違いだという事を伝えた。


彼女は最初怒っていたが丁寧に私が説明してあげるとあの世へ連れ行くことを断念してくれた。


先ほども書いたが私は隣人さんとの直接の会話はできないので、夫が不在の部屋に電話越しにただ一人で話しているだけなのでこれを誰かに聞かれると説明がかなり面倒である。


だがその女性はいなくなったわけではない。

ましてや隣人なので消えるのもない。



女性のイメージによれば、あの世へ連れて行くのはやめたが夫の事は気に入ってしまったらしい。

そして夫の実家も。


なので気が済むまで夫の家に居座るらしい。


なにかしてくる訳でもなさそうなので隣人の彼女は居座っている。




だがここ最近は夫の家に行っても見かけないし、彼女の気配もない。


今はどこか他の場所に行ってしまったか、夫が結婚して実家にいなくなったのでつまらなくなって夫の実家に居座るのをやめたか。




どちらにしても彼女に大事なことを言い忘れた。


もう他の人をあの世に連れて行ってはいけないと。




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