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Lost19 二人の魔王  作者: JHST
第七章 共闘
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⑩馬鹿と何かは使いよう

 オヤジさんは大きな目でタイサの顔を見つめた。

「強度だけなら、既存の防具の組み合わせで作れるだろう。だが防御と重量は切っても切れない関係で、それらは機動と相反する。頑丈になればなる程、重すぎて身動き所ではなくなるぞい」

 タイサは簡単に計算した重量をオヤジさんから聞かされると、そのまま顎に手を置いて黙り込んだ。 

 それは、タイサといえども歩くのがやっとで、しかも一度倒れれば起き上がる事が出来なくなる。それほどの重さであった。


「はっ。そんなんじゃ、ある程度食らってでも、さっさと突入した方が良さそうだ」

 アモンが壁に寄りかかったまま手を振り、それ見た事かと鼻で笑う。

「まぁ、最悪それしかないんだが………何か手がないものか」

 防御力を維持しつつも十分な速度で動く方法。矛盾を可能にする奇跡の一手が思い付かない。

「そうだ、速度増加の魔法をかけたらどうだ?」

 タイサの提案に、バルバトスが顔のない頭を左右に振る。

「ハヤクナリマスガ、イチジテキナモノデス」

 常に魔法をかけ続ける事は非効率過ぎると、きっぱりと丁寧に否定された。


「簡単に思いつくなら、今頃凄い防具ができてるはずだぜ。諦めて、いつも通りの格好で行くしかねぇって事だ。それともいっその事、お前を馬にでも括り付けて走らせてやろうか?」

 馬に引きずられる魔王が、敵陣に突撃する。アモンは天井に顔を向けて一人で笑っていた。

「もうちょっと真剣にだな。それじゃぁ俺は荷馬車………ん、んんん?」

 アモンのやる気のない意見に、タイサが情けない声で返そうとしたその瞬間、脳裏にある事が思い浮かぶ。

「………ドウシマシタカ?」

 バルバトスが首を斜めに傾けた。


「アモン、さっきといい、今日のお前はかなり冴えてるな」

「………は?」

 天井を向いたまま、アモンの笑い声が綺麗に止まった。

 タイサはバルバトスに顔を向ける。

「………マサカ」

「ああ、そのマサカだ」

 タイサはバルバトスの左肩に右手を軽く乗せた。

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