⑤弱肉強食の証明
「アモン、お前はどうする?」
最初に反対し、周囲の賛同に置いて行かれていた男に、シドリーは意地悪く尋ねる。
「相変わらず、汚ねぇ聞き方をしやがる………わぁったよ、大将の好きにしてくれや。きっちり多数決には従うからよ」
手を左右に振って、さっさと決めろとアモンが面倒そうに視線を外す。
「タイサの意見を採用する」
その上で、シドリーは個人的にと断り、タイサに疑問を投げかけた。
「何故、我々に力を貸すような策を提案する? お前の提案は人間にとって利益があるとは思えないが」
その質問に、タイサは大した理由ではないように肩をすくめて笑って見せる。
「なぁに、後から来るよく分からない奴らと仲良くするよりも、見知った奴らと仲良くした方が楽そうだと思っただけさ」
そしてアモンに視線を向けた。
「そう思わないか?」
「何で、俺に聞くんだよ。言っておくが、俺はまだお前の力を認めてないからな」
そう言ってアモンは舌打ちと共に、バルバトスを連れて部屋を後にする。
「何というか………意外と話してみると、彼は分かりやすい性格ですね」
「だろう? まぁ確かに、我々と仲良くした方が楽な事は保障しよう」
肩の力を抜き、シドリーが微笑み返した。
これで概ねタイサの予定通りに事が運ぶ事になった。上手くいけば、ハッタリで戦争が終結するかもしれない。そんな淡い期待が出る程度には、持ち直す事ができた。
「だが、問題もある」
シドリーはすぐに表情と共に言葉を切り替える。
「我々はともかく、アモンのようにいきなり来た人間、しかも今まで戦ってきた者を魔王様として担ぐ以上、反対の声があるのは当たり前だ」
タイサは勿論だと何度も頷く。
「そこで、周囲が認めさせるにもタイサ………お前には私と戦ってもらう」
「弱肉強食。確かに司令官に勝てなければ魔王は名乗れないでしょうな」
仕方がない。タイサはシドリーの提案を受け入れた。
淡い期待は泡と弾ける。やはり提案者には試練が必要となった。
「言っておくが、手を抜くつもりはないぞ? アモン程の男が認めるだけの戦い方を期待する」
シドリーが先に立ち上がり、座ったままのタイサの肩を軽く叩き、参謀のイベロスと共に部屋を出ていった。




