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Lost19 二人の魔王  作者: JHST
第五章 魔王就任
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④裏切りの仲間達

「幸いにも、ここに黒の剣を普通に扱える人間がいる」

 そう言い、タイサは自分を指さした。


 その言葉に、シドリー達が全てを理解する。

「馬鹿か、テメェ! つまり何だ、お前を魔王様に仕立てろってことか!?」

 真っ先に口を開いたのはアモンだった。

「正解」

 自分に向けていた指を、アモンへと向けるタイサ。

「正解、じゃねぇ! いくら魔剣を扱えるからって、調子こいてんじゃねぇぞ!? ぶっ殺すぞ!」

「だが、このままでは新生派の魔王軍が攻めて来るんだろう? お前達だけで勝てる戦いならば、そもそも俺達と交渉する必要もないはずだ。違うか?」

 タイサの直球な言葉に、アモンは大きく舌打ちするが、彼にはそれ以上の言葉が出て来なかった。


 さらにタイサが畳みかける。

「嘘でも何でも、相手が魔王だと思ってくれればいい。そちらの司令官が黒い霧になるよりかは、遥かにいい案だと思うが」

 恐らくシドリーは、いや間違いなく黒い霧になる。持ち主としてタイサにはそれが分かっていた。もしも扱える力が彼女にあるのならば、ブレイダスでの戦いで、シドリーは戦い続けていたはずである。そこまで見越した上で、タイサはシドリーに詰め寄った。


「………俺は、タイサの案に賛成する」

「「「オセ!?」」」

 オセが手を挙げた事に、タイサ達よりもシドリー達が驚き、声を上げる。

 だが、彼女の目は決して冗談で言っているものではなかった。

「そ、そりゃぁ、今まで戦って死んでいった奴らには悪いけどさ………姉さ、いや司令官が消えてなくなるよりか、こいつの案に乗った方が良いと思う。だってさ………皆姉さんの思いに応えた奴らばかりだぜ。その姉さんがいなくなってどうしてこれからも戦えるのさ」


「そうだな。俺も人間の案に賛成だ」

 今まで沈黙していたバードマンが組んだ足を解いて手を挙げる。

「77柱のフォルカルだ。俺も司令官を失いたくはない………どうせ勝手に出撃した身だ。今更さらに嘘をついても変わらんだろうよ」

「………タシカニ、カクリツテキニハ、コノオトコノ、イウトオリダロウ」

「バルバトス、お前まで!?」

 銀色の人型の魔物が腕を組んだまま、肩から新しい腕が生えて手が上がる。隣でアモンが驚いているが、それでも咳払い一つで冷静に佇んでいた。

 気が付けば、大きな獅子のブエルも金色の尾を立てて賛成の姿勢をとっている。


「シドリー司令官、申し訳ありません。私も彼の意見に賛成です」

 副官のイベロスもタイサの案に同意して手を上げた。

「我々には貴方の存在が必要です。ここで塵に返る事は、ただの自己満足にしかなりません。是非、司令官として最後まで我々をお導きください」

「………お前達、今までそんな言い方をしてこなかっただろう」

 ずるい言い方をする、とシドリーは背もたれに体を預けて天井を見上げる。

 その時間は僅かに数秒程度だったが、シドリーは覚悟を決めざるを得なかった。

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