④裏切りの仲間達
「幸いにも、ここに黒の剣を普通に扱える人間がいる」
そう言い、タイサは自分を指さした。
その言葉に、シドリー達が全てを理解する。
「馬鹿か、テメェ! つまり何だ、お前を魔王様に仕立てろってことか!?」
真っ先に口を開いたのはアモンだった。
「正解」
自分に向けていた指を、アモンへと向けるタイサ。
「正解、じゃねぇ! いくら魔剣を扱えるからって、調子こいてんじゃねぇぞ!? ぶっ殺すぞ!」
「だが、このままでは新生派の魔王軍が攻めて来るんだろう? お前達だけで勝てる戦いならば、そもそも俺達と交渉する必要もないはずだ。違うか?」
タイサの直球な言葉に、アモンは大きく舌打ちするが、彼にはそれ以上の言葉が出て来なかった。
さらにタイサが畳みかける。
「嘘でも何でも、相手が魔王だと思ってくれればいい。そちらの司令官が黒い霧になるよりかは、遥かにいい案だと思うが」
恐らくシドリーは、いや間違いなく黒い霧になる。持ち主としてタイサにはそれが分かっていた。もしも扱える力が彼女にあるのならば、ブレイダスでの戦いで、シドリーは戦い続けていたはずである。そこまで見越した上で、タイサはシドリーに詰め寄った。
「………俺は、タイサの案に賛成する」
「「「オセ!?」」」
オセが手を挙げた事に、タイサ達よりもシドリー達が驚き、声を上げる。
だが、彼女の目は決して冗談で言っているものではなかった。
「そ、そりゃぁ、今まで戦って死んでいった奴らには悪いけどさ………姉さ、いや司令官が消えてなくなるよりか、こいつの案に乗った方が良いと思う。だってさ………皆姉さんの思いに応えた奴らばかりだぜ。その姉さんがいなくなってどうしてこれからも戦えるのさ」
「そうだな。俺も人間の案に賛成だ」
今まで沈黙していたバードマンが組んだ足を解いて手を挙げる。
「77柱のフォルカルだ。俺も司令官を失いたくはない………どうせ勝手に出撃した身だ。今更さらに嘘をついても変わらんだろうよ」
「………タシカニ、カクリツテキニハ、コノオトコノ、イウトオリダロウ」
「バルバトス、お前まで!?」
銀色の人型の魔物が腕を組んだまま、肩から新しい腕が生えて手が上がる。隣でアモンが驚いているが、それでも咳払い一つで冷静に佇んでいた。
気が付けば、大きな獅子のブエルも金色の尾を立てて賛成の姿勢をとっている。
「シドリー司令官、申し訳ありません。私も彼の意見に賛成です」
副官のイベロスもタイサの案に同意して手を上げた。
「我々には貴方の存在が必要です。ここで塵に返る事は、ただの自己満足にしかなりません。是非、司令官として最後まで我々をお導きください」
「………お前達、今までそんな言い方をしてこなかっただろう」
ずるい言い方をする、とシドリーは背もたれに体を預けて天井を見上げる。
その時間は僅かに数秒程度だったが、シドリーは覚悟を決めざるを得なかった。




