①魔王復活の前に
タイサ達は案内された食堂で朝食を済ませると、オセから先日の会議室に来るようにと声をかけられた。
そして会議室。
部屋には既に77柱の幹部達が揃い、昨日と同じ位置でタイサ達を様々な思いで見つめていた。
「朝から早々に呼んで済まない」
既に座っていたシドリーが短く声をかけると、タイサ達に席に着くように促す。
「早速だが、先日の返事を聞かせてもらいたい」
黒の剣を渡すか否か。シドリーはタイサに決断を迫った。
タイサがエコーの顔を見る。
エコーもまたタイサに向かって小さく頷く。
「質問をしても?」
タイサはシドリーの威圧に負けず、相手の返事を待たずして問いかけた。
「この剣に魔王が封印されている、との事ですが、その封印を解く方法を貴方達は知っているのですか?」
分からなければ渡しても仕方がない。タイサはそう言い切った。
そして、それは説明しなければ交渉を打ち切るという訴えでもあった。
「………古い伝承がある」
「司令官………何もそこまで」
「いや、説明は必要だ」
イベロスが声を挟んだが、シドリーは止むを得ないと話を続ける。
「伝承では、世界の存亡の際、それに抗う力無き時、漆黒の剣を持つ者によって王が再び現れると語られている。そして、封印を解くには全ての感情を糧とし、黒き霧を力とし、全てを捨てる覚悟を証明する事によって、王が目覚めると語り継がれている」
「何だか、分かりやすいような、分かりにくいような。一応言葉の意味は理解できますが………」
具体的な方法までは、タイサにも分からなかった。
「これは、あくまでも我々の解釈なのですが………」
イベロスが会話の間に入る。
「ご存知の通り、黒の剣はその強大な呪いにより、誰でも扱える武器ではありません。つまり、扱える者のが現れ、それを使わざるを得ない時点で、世界は何かしらの危機に瀕していると、魔王様はお考えになられたのだと思います」
それが前半の解釈だと説明する。
「後半は、復活の為の方法です。司令官から聞きましたが、黒い剣で斬った物、影響を受けた事象は皆等しく黒い霧になったそうで。そしてその黒い霧が剣に吸い込まれていく事から、物質が持つクレーテル、つまり魔力の源を剣が吸収していると予想出来ます」
それが魔王の力と、故に一定量の霧が必要なのだろうと彼が推測する。
「残った表現は『全ての感情を糧に』と『全てを捨てる覚悟』の二つですが………これは恐らく持ち主の命が必要なのだと考えられます」
「持ち主が………? それは本当ですか?」
エコーが思わずタイサの顔を見たが、イベロスがいやいやと声をかける。
「今はまだ大丈夫でしょう。ですが、この制限がある事により、持ち主の欲によって魔王を復活させ、世界を混沌とさせると事を防ごうとしたのでしょう」
「あくまでも、世界の為に自分が犠牲になる覚悟が必要だと?」
それならば、おいそれと乱用する事は出来なくなる。
「はい。魔王様は自分の力が悪用される事を最後まで気にされていたのでしょう」
イベロスが自分の言葉に頷き、魔王の素晴らしさを謳っていた。




