⑥人、それを告白と言う
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「そこまでだ」
タイサとアモンの戦いは一人の女性の声によって阻まれた。
「誰だ………って、大将かよ」
アモンが不満そうに振り返り、自軍の総司令官の姿を見て溜め息をつく。そして今の気持ちを表すかのように両手を不躾に振り、黒炎を払い消す。
「アモン、事前に話はしておいたはずだぞ?」
ズボンのポケットに手を突っ込み、口笛と軽い足取りで戻って来たアモンに、シドリーが視線で追いかけながら強い口調で声をかけた。
「味見ですよ味見。本当に奴がそうなのか、ね」
彼女の側で足を止め、彼は肩をすくめる。
「んじゃ、後は宜しくお願いしますぜ。司令官」
片手を振り、アモンは街の中へと消えていく。
タイサは持っていた剣を鞘に納めると、再び腰のベルトにつける。
「とりあえずはマシな状況になったかな」
「隊長!」
様子が変わり、エコーがタイサの下へと走ってきた。
「おぉ、エコーか? どうやら上手くい………ごっふぉぉぉっ!」
エコーの拳がタイサの脇腹に沈む。
「また無茶をして! 武器を捨てて近付くなんて、一体何を考えているんですか!」
「しまった………忘れていたたたた。済まん、それしか思い付かなかった」
ボーマが運転する馬車が遅れて到着する。
「いやぁ、相変わらずのようで」
暑くもないのにボーマが手で顔を扇いでいた。
「隊長! もう私は決めました!」
「な、何を!?」
タイサの鼻先に指を突き付けて威圧感を全開にするエコーに気圧され、タイサの顔が仰け反り、引きつく。
彼女は大きく息を吸い込んだ。
「今後は絶対に! 絶対に私が隣に付きますから!」
「え、ええぇ!?」
「えぇ、ではありません! 絶対です! ぜ・っ・た・い、です!」
ボーマが手を叩いて笑っている。顔を近付けてくるエコーの迫力に、反論できないタイサは、代わりにボーマを精一杯睨みながら口を尖らせた。
「隊長! 分かったら返事してください!」
「は、はい! これからは俺の傍にいて下さい!」
胸を張って空を向き、大きな声を出したタイサの言葉に、今度はエコーが顔を赤くした。
「た、隊長! こ、こんな時に何て事を言うんですか!?」
「うおぉぉい! どうすりゃいいんだぁぁぁぁっ!」
どうしてそう捉えられたのか。意図しない形で伝わってしまったタイサは、両手で顔を隠し、首を左右に振り続けた。
「ひっ、ひはははは! もう最高に面白すぎるぅ! 本当に、二人とも最高っすよ! だ、駄目だ! 腹がよじれるぅぅぅ! 痛いぃぃ………弾けるぅぅぅ!」
ボーマが馬車の上で顔よりも飛び出た腹を抱えて転がっていた。我慢出来ずに両足を上下に振り、呼吸を整えようと必死に目の前の惨状に抗い続ける。




