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Lost19 二人の魔王  作者: JHST
第二章 再開
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⑤姉妹の日常

 呆れた顔のままシドリーが鼻で笑う。 

「この前戦った相手といい、あいつも散々だな。77柱の名が泣くぞ」

「………そんなに強い騎士が来たんですか? 一体、どんな人なんでしょうか」

 今度こそとカエデも会話に参戦する。


「お、カエデも流石に気になるか」

 オセが指を向け、よく聞いてくれたと声を上げた。そして、仕方がないなと両手を腰に置き、自慢気に語り始めた。

「実は姉さんと戦ったっていう、あの騎士なんだよ! いやぁ、聞いていただけで見るのは初めてだったけどさ、アモン(あいつ)の攻撃を何発も受けても………あれ、姉さん、何で()()が出てくるのさ?」

 オセがシドリーの手に握られた白銀の斧に気付く。


 カエデは何も言わずに額の上に手を乗せ、静かに数歩下がった。


 シドリーの口がゆっくりと開かれる。

「オセ、お前は私がその騎士について、気にしていた事は知っているな?」

「えっ、ああ。うん」

 瞬間。激しい風と轟音に思わずカエデが体をすくめて目を閉じる。そして再び見開くと、そこにオセの姿はなく、家の壁穴がさらに大きくなっていた。

 外も随分とよく見えるようになった。

 街行くゴブリンやオーク達が家の中を覗く度に、またかと笑い、何事もなかったかのように、仕事に戻っていく。


「全く、話す優先度を知らないのか、(あいつ)は」

 腕を組むシドリーが何度も床を踏む姿に、カエデは苦笑して誤魔化した。


―――兄貴だ!


 表情を必死に抑え、カエデの脳裏に頼りなく笑う兄の姿が浮かぶ。そして、兄だけでなくエコーや他の仲間達も来ているに違いないと確信し、拳を強く握った。

「………どうした? 仲間が助けに来たのが、そんなに嬉しいか」

「えっ!? あ、いえ………その!」

 それでも顔に出ていたのか、カエデは両手で自分の頬に蓋をする。

「表情からは分からなかったが………お前も分かりやすいな」

「うぅ………」

 シドリーに誘導されたカエデの表情がしぼむ。そしてシドリーは何かを察したように小さく頷くと、改めてカエデに顔を向けた。


「一緒に来てもらおうか? その騎士の所へ」

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