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24.メイドと畑仕事

 朝の5時。私とジークは昨晩作り置きしていた朝食を食べ終え、ノームの畑に来ていた。

 私とジークが到着する頃には既に村人が全員集まり、みんな穏やかな表情で私とジークを歓迎してくれました。

 昨晩はジークと村人から信用されてないと話してましたが杞憂ですかね?

 さて、新参者の私とジークは畑で何をするのでしょうか?


「今日は領主とミルフィも居るから説明するぞ」


 ノームの張り上げた声に私とジークが耳を傾ける。


「住人も増え子供達も食べ盛りだ。そこで今日は畑を耕す」


 簡単な説明に早速私は壁際に荷物を置き、ノームから受け取った鍬を片手にジークと其々の位置に向かいました。

 隣に並ぶ先生とコルル。そしてダイクンとマデュラの妻にぺこりと一礼し、他愛ないあいさつを。


「おはようございます」


 すると眠たげな先生とコルルが頷き、ダイクンとマデュラの妻が、


「おはよう、それとはじめましてになるね。ダイクンの妻、アルリダよ」


「貴女のことは主人と子供から聴いてる。ぼくはマデュラの妻のクレイ」


 金髪で気の強そうな女性がアルリダ。

 大人しそうで背丈は私と同じぐらいで青髪の女性がクレイですか。


「改めてまして。私は旦那さまのお屋敷でメイドとして働かせて頂いてるミルフィとお申します。旦那さま共々新参者なので色々と教えて頂けると助かります」


 そんなあいさつを返すと二人は笑みを浮かべて頷きました。

 ふむ、最初の挨拶は上手くいったと判断して問題無さそうですね。

 確かな手応えを感じながら、振り上げた鍬を硬い地面に振り下ろす。

 ざっくりと突き刺さる鍬を地面から引抜き、一歩下がりながらまた振り上げ振り下ろす。

 畑仕事は何気に初めてで新鮮だなぁ。なんて初心に浮かれていると私の視界の端で何が揺れ動く。

 何でしょうか? 少し気になって視線を動かす。

 すると視界の端でゆさゆさと揺れ動く……揺れ……っ!?!?

 私は作業の手を止めず確認の為に周囲を見た。

 先生達が鍬で土を耕す度にそれは弾んでいた。まるで存在を自己主張するかのような……っ。

 ……みんな私よりも大変素晴らしいお胸をお持ちですねっ!

 ちょっと待って、本当に待って欲しい。

 周囲から与えられる絶望感に私は思わず自分の胸に視線を落とした。

 土を耕すだけで胸が揺れるって……何なんですかぁ!?

 絶望と虚しさに打ち拉がれる私の耳に、


「おー、毎度の事だが壮観な眺めだねぇ」


「朝から気合が入る光景だ」


「マデュラとダイクンは美人の女房も居て羨ましいよ」


「ほらミルフィ! もっと足腰に力を入れんか」


 くっ! 男連中が先生達の揺れる胸に視線が釘付けですかっ。

 って最後! ウェンダムは場違いにも程が有りますよ!

 あとジークはやっぱり興味な……?!

 ふぅ、私はどうやらジークの事を誤解していた様ですね。


「領主さまもこの光景を目に焼き付けちゃどうかな?」


「いや、わたしは遠慮しておこう」


 なんて断ってますが、視線がちらちらとこっちを向いてますよ。

 私が呆れた眼差しをジーク達に向けると。


「毎度のことよ。それに単なる脂肪の塊が揺れるだけでしょう」


 先生がそんな事を。

 ちょっと聞き捨てなりませんねぇ。


「先生、私は鍬を振り下ろすだけでも揺れません!」


 私は思わず悔しさを叫んでしまっていた。


「ぼくの主人はああ言ってるけど、不快感はしないでしょ?」

 

 クレイに言われて気が付いた。

 確かに不快感は微塵も感じませんね。

 むしろ日常の中で当たり前に見る光景を見ているって感じます。


「そう言われるとそうですね。何とも不思議ですねぇ〜」


「それに隣を見てみなさい」


 アルリダが指差す方に視線を寄越す。


「ウェンダムに見られてる? 見られて……」


 何とそこには頬を火照らせ、高速で鍬で土を耕すコルルの姿が有りましたとさ。

 これが! 恋する乙女の本領ってヤツですかぁ!? 

 若干コルルの様子に気圧されている私を他所に、先生達は毎度のことなのか作業に集中していました。


「あ、あら? なんだか段々楽しくなってきたわね……!」


 先生の隣で物凄い勢いで耕しを続けるコルルに慌てた様子のノームが駆け付け、


「そんなに広くされるとオラ1人じゃあ無理だからぁ!!」


 早朝の朝、追放村のノーム農場に農主の絶叫が轟きました。

予約投稿を使ってここまで1時間毎に投稿しましたが、自分のやりたかった事ができて満足です。

明日からは1日1〜3話更新に戻りますのでゆっくり読んで頂ければ幸いです。


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