はじめての野営
しまった。気にせず精霊の翼を使ってしまった。怪しまれなかっただろうか。
夕暮れ時、空から降りて手ごろな場所でテントを張る。王宮にいたときにはこんな生活できなかったから妙に楽しい。
たき火にあたりながらふと思う。この世界そんなに変わっていないんじゃないかと。ただ魔法使いが希少になっている気がするが。
それに魔物討伐時も恐怖やためらいはなかった。この体になったおかげなのだろうか。まだ知らないことがたくさんある。
精霊姫・・・私にふさわしいんだろうか。わからないことだらけだ。
ん。テントに紙がはさんである。
旅のお供に結界石、4つ集めて安眠を取り戻せ
結界石・・・あった。四隅にこう置けばいいのかな?
すると結界がテントの周りを囲った。
強度は・・・大丈夫そうだね。安心して寝られるわけか。
「・・・ふっぁああ・・・そろそろ寝よう」
初めての野営は無事過ごせたのだった、
「おはよう」。誰もいないか・・・慣れないなぁ
今日も一人旅、アリアはすすむ。
すると馬車が止まっていた。
「じいさん無理だ。車軸が折れちまってる。あきらめるしかない」
「何とかならんかのう」
「どうしました?」
「馬車が壊れちまってよ、これは無理だぜ」
「ちょっといいですか」
女神の瞳、鑑定・・・
「できねーだろ?」
「これからやることは他言無用でお願いします」
マジックバックから鉄を取り出し、破損したパーツを融合した
「嬢ちゃんそれ錬金術じゃ・・・」
「ふう・・・終わりましたよ。前よりも頑丈になっているはずです。」
「ありがとう助かったよ。わしはゴレダ商会のゴレダだ。お礼もしたい。町まで乗っていかないか?」
「良いんですか?」
「もちろんだとも」
そこからは馬車の旅となった
話を聞いてると商談帰りだったらしい。荷物が重すぎて負荷が来たのではないかと笑っていた。
「ここからその街はどれくらいなんですか?」
「3日もあればつくと思うぞ。食料のことか気にするな用意しといてやるからよ」
なんとも気前がいい。
「あの二人も護衛なんだが、嬢ちゃんも剣を持ってるだろ護衛を頼まれてくれないか」
「道中までならいいですよ」
・・・・む、レーダーに反応があった。
「正面から5キロ先ウルフ系が5匹来ます」
「嬢ちゃん探知持ちか?」
「ウルフ程度なら我らでいける。任せろ」
どうやら迎え撃つようだ
「きた。迎え撃つぞ、バット」
「へい。くらいな」。投げナイフがウルフめがけて突き刺さる。3体はやったか?
「逃がさん、ふぬぅうう」。大剣で残る2匹まとめて吹き飛ばす。きまった。
「ざっとこんなもんよ早くとるものとっておさらばさ」
「まって片付ける、火よファイア」
「魔法まで使えるのですか?」
「初級レベルだけどね」(うまくごまかしておこう)
「いやー嬢ちゃんのおかげで旅は順調そうだ。このままあと1日あれば付くだろう」
「・・・・・・・・」
どうした嬢ちゃん
「人が10人・・・正面で待ち構えている」
「ほんとか、これは・・・盗賊だな。逃げるにかぎるな」
「だめ、後ろからも着かれている」
「おいおいまじかよ」
どう始末しよう・・・・深く考えていると
「嬢ちゃん俺たちがひきつけるからその間に旦那を逃がしてやってくれ頼む」
面倒だこうしよう。
「ゴレダさん今見た光景はだれにも言わないでね」
「え、はい」
「嬢ちゃん・・・・うぅ・・・・バタッ」
まずは2人には眠ってもらって
「おい出て来いよ商人、いるのはわかってるんだよ。積み荷と女をおいてけ」
「くっ・・・」
「さて積み荷はっと・・・」
刹那、男の首が転がり落ちる。
「は?」
驚いてる間にまた首が落ちる。恐怖でしかなかった。
「逃げろ殺され・・・」ボトッ
「ギャー助け・・・」ポトッ
ここでようやく姿をあらわす。
「もう残ってるのはあなただけみたいだよ?」
「お前がやったのか見えてるならば・・・」
シュン・・・
最後の首が落ちたのだった。
「うーんここは、はっ盗賊は?」
「盗賊はお帰り頂きましたよ」
「なんであっさり・・・」
「それはわかりませんがよかったじゃないですか」
「うーん腑に落ちないがよしとするか」
(うまくいきましたね)
(あの盗賊団名のある盗賊だったようです)
(アジトに行けば財宝がたくさんですよ)
(いまはいいかな。探すのめんどそうだし)
(私一生あなたに付いていきますぞ)
(ついてこなくていいかな・・・あはは)
最後の野営、思うところはある。今日人を殺した。罪悪感はそれほどない。精霊姫の力がそうさせているのだろうか。
この世界で初めて人の悪意を感じた。見たらすぐわかるくらいのレベルだ。見極めるにはちょうどいいだろう。
精霊でもお腹は空く、今日は大好きなシチューとパンだ。
体が温まる。うとうとするまえに結界石を四隅においておやすみなさい。