#バズが止まらない(2/2)
「……今日は歩いて帰る」
私は待たせておいた馬車の方へ向かったけど、何となく乗る気になれなくて、御者さんに一言だけ言って、足を進めた。元々、歩いて通えないような距離じゃないしね。
でも、無意識の内に私が向かっていたのは、中央聖教会だった。
……私、もしかしてレジーナさんに相談しようとしてたの? でもレジーナさん、MNS関係以外の悩みなんか聞いてくれるのかな?
なんて思いながら教会の敷地を歩いてると、曲がり角からやって来た誰かにぶつかった。
「あっ、あなた……」
尻もちをついてしまった私が顔を上げると、そこにいたのは、ライリーとかいう、レジーナさんのストーカーの男の人だった。
「……また来たのか。レジーナ様に会いに」
私が誰だか分かると、ライリーは不機嫌な表情になった。
「言っておくが、レジーナ様はお前の存在を疎んじているぞ」
……何? このブーメラン発言。
嫌われてるのはあなたの方じゃん。影でレジーナさんに、『ぶっ飛ばしてやる』とか言われてたこと、あなた知らないでしょう?
「その証拠にレジーナ様は、お前の投稿を見て不機嫌になってしまわれた。お労しいことに、錯乱なさった挙げ句、『ふざけんじゃないわよ!』などというお言葉を発してしまわれて……」
いや、それ、いつものレジーナさんじゃん。
……うん? でも、ちょっと待って? 『レジーナさんが私たちの投稿を見て不機嫌になった』って、どういうこと?
「ライリーさん?」
「俺はレジーナ様を守らなければならない。美しい聖女様。俺だけの女王を……」
私はもっと突っ込んで聞きたかったけど、すでにライリーは、こっちの話に耳を貸すどころじゃなくなってしまっていた。どこか夢見るような目つきで、教会の敷地の奥へ引っ込んでいく。
……何、あの人。変なの。
やっぱり本人に聞く方がいいかな。でも私、レジーナさんに迷惑をかけるような投稿をした覚え、全然ないんだけど……。
「えっ、面会謝絶ですか?」
宿舎まで行った私は、思いもかけなかったことを言われた。
「ええ、レジーナ様は、『気分が優れないから、今は誰にも会いたくない』とおっしゃっていました」
「病気なんですか?」
「さあ、そこまでは何とも」
宿舎の管理人さんは、首を振った。本当に何も知らないみたい。
それでも管理人さんは、あんまり深刻そうな顔はしてないから、ちょっとした体調不良とかなのかな。夏バテかもしれない。
最近、どんどん気温が上がってきてるせいで、この間、私の妹のエリィさんも体調を崩してたもんね。
私は食いしん坊じゃないけど、体力と栄養をつけるためにモリモリ食べるように気をつけてるから、今のところはなんともないけど。
「じゃあ、また来ます。『お大事に』って言っておいてください」
私は管理人さんに伝言を頼んで、中央聖教会を後にした。
結局レジーナさんには相談できないままだったけど、これって、『自分で何とかしろ』ってことなのかなってちょっと思ってしまった。
ほら、レジーナさんの好きな、『汝、思考せよ』ってやつだ。




