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私を通った男たち

作者: ダルシン

軽めのホラーでしょうか。

 はじめての男はまじめな男だった。

 会社の跡取りとしての自覚を持ち、盛り立てて行こうと奮闘していたわね。免許をとってはじめてのドライブ。今でも覚えている。


 二番目の男はITっていうので上手くやってるみたい。アメリカ留学した時に、コンピュータの将来性を大いに感じてその世界へといち早く入っていった。雑誌に載っているあなたの記事を見たわ。昔とあまり変わってないのね。


 三番目の男は派手好き。高級外車に高級ブランド。女遊びがおさまらず、借金をした。こっちがその肩代わりもしてやったわ。


 四番目の男は大人しい。でも勉強はよくできた。司法試験に並ぶ難関の公認会計士に合格。誇らしいといえば誇らしいけど、やっぱりこの男は大人しすぎる。


 五番目の男は、この男は似ている。あの人に似ている。私を捨てたあの男に。


 六番目の子は、男なのにどこか女っぽい。

 それは実は私の責任なのだけど。幼いころは女の子の服を着せて、女の子みたに扱っていたから。だって私は一人くらい女の子が欲しかった。

 あれっ・・・。

 六番目の男は最後の男。

 最後の男は私の夫。

 私の夫よね・・・。





 私は二十歳で夫と結婚した。すぐに長男が生まれ、翌年には次男が生まれた。そして六人の男の子を生み、育てた。もちろん夫のことも大事にした。夫のご両親の世話も私がした。ずっと夫に家庭に仕えてきた。

 なのにある日夫は四十歳も年の離れた若い女を連れてきて、新しい生活をするといって出て行った。

 私は捨てられたのだ。





「あなた。あなた。帰って来てくれたのね」

「あ、まただ」

「あなた。あなた。帰って来たのね」

「母さん違うよ。落ち着いて」

「やっぱりお前は病室に入るな。お前は父さんに似すぎている。発作を誘発する」





 はじめての男はまじめな男で。

 二番目の男はアメリカ帰り。

 三番目は女好き。借金も私が肩代わりしてやった。

 どうして、みんな、ここにいるの。

 みなさんどうしてお揃いなの。

 夫に捨てられたかわいそうな私を過去の男たちが慰めに来てくれたのね。うれしいわ。

 私を覗き込む顏。

 みんな同じように心配そうにしているのね。

 みんな同じように。

 同じように。同じように。

 同じ顔・・・・。

この感じがわかってもらえると、うれしいのですが。

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