風景シリーズ 2
相変わらずボンヤリしています。
『 ニセウサギのホットケーキ 』
今夜も偽物の月が出ている
僕はそれを見上げ涙する
偽物の月には
偽物のウサギが住んでいて
餅はつかず
ホットケーキを焼いている
地上では
その甘い香りに惹かれて
夢遊病者が彷徨い歩く
『 』
僕は夜を待つ
多くの澱んだ感情を飲み込んだ
月の光に洗われて
澄んだ深い空気へと
生まれ変わっていくのだ
『 浅く広くより、深く狭く 』
大陸棚に住む熱帯魚より
僕は深海魚を愛する
忙しく通り過ぎていゆく回遊魚達とは
仲良くなる暇もない
『 青 』
空の青と海の青とが
違うものだと僕は知っている
何もかも突きぬけていくような空の青
何もかも呑み込むような海の青
空の青は海の青が映ったものだと
ロマンを語る者もいるが
サファイアとアメジストほどに違うあの青が
同じものだとは思えない
水平線ですら彼らを混じり合わせる事は出来ないのだ