モノローグ
挿絵有り。
元ネタは、各自お察しください。
我が輩は猫である。
名前はまだない。
きっと、この先だって。名前なんてないまま、過ごしていくに違いない。
でも、それを気にしたことはなかった。
別に名前なんて必要ない。あってもなくても、ボクには関係がないことだ。
どうせ、ボクは、いつも“独りぼっち”なんだから。
これまでも、これからも。ずっと、ずっと……。
ボクには家族がない。
ボクを産んでくれた両親は、まだボクが幼かった時、ボクを置いてどこかに行ってしまった。
一体何があったのか、それは分からない。
もしかしたらなにか、事故にでも巻き込まれたのかもしれないし、ただ嫌われて捨てられただけなのかもしれない。真相は闇の中だ。……まあ、あえて知ろうともしなかったけど。
友達もいない。
生まれてから今まで、いたことがない。
とはいえ、作ろうと思ったこともなかったから、これは仕方がない。
大体、ボクには“友達”というのがよく分からないのだ。
繁殖の為に、雄と雌が仲良くするのは分かる。それは、生きていく上で必要なことだ。きっとボクの両親だって、そうだったんだろうと思う。だからこそ、ボクはここでこうして生きている。
でも、“友達”というのはなんなんだろう?
別に子孫が残せる訳でもないし、生きていく為にどうしても必要っていう訳でもない。なのになんで、皆は友達を作ろうとするのか、ボクには全く理解できなかった。
だって、独りの方が気楽じゃないか。
自分以外の誰かを思いやったり気遣ったり、そんなのは煩わしくて仕方がない。
勿論、独りじゃ大変なこともある。独りじゃできないことも、沢山ある。けど、そんな時でもボクは……誰かを求めたりなんかしない。助けを求めたりなんかしない。
――自由でいたいから。
独りは自由だ。
好きな時に起き、好きな時に食べ、好きな時に寝て、好きな時に死んでも。誰にも、何も言われない。怒られたり、哀しまれることもない。何をやったって、独りなら自由だ。
寂しい生き方だ、って思うかもしれない。でも、ボクにとっては、これが一番楽な生き方だ。
ボクは孤独を望む。
誰かを思いやることなんて、煩わしいから。自由に生きていたいから。自由に、死にたいから。
だからボクは、自ら望んで、孤独な日々を……ずっと、生きてきた。
――“あの日”までは。
そう……あの日。
あの肌寒い夜、“あの人”に出逢うまでボクは……そうやって、生きてきたんだ。
誤字、脱字等ございましたら感想欄の方へお願いします。