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夜空に瞬く星に向かって  作者: 松由実行
第八章 地球市民 (Citizens of TERRA)
223/264

24. 地球市民


■ 8.24.1

 

 

 その男は、何日か前にヌクニョワVIステーションで出会った男だった。

 

「何故お前がここに居る?」

 

 その男が、他のガンルームの中で寛いでいる士官達と同じ服を着ているのを見て状況は殆ど察してしまったのだが、それとは裏腹に俺の口から出た言葉は自分でもかなり間抜けと思える言葉だった。

 

「そりゃお前、ここが俺の職場だからさ。」

 

 そう言って男はニヤリと笑うと、右手に持ったフォークをトレイに置き、辺りを見回しながら両手を軽く広げた。

 成る程、そういう事か。

 俺はそのまま男が座っているテーブルに近づくと、椅子を引きだして男の正面に座った。

 

「お前もそうだったのか、ゴールドマン。ならば、俺をダシに使う必要は無かったんじゃないのか?」

 

「万が一にも失敗できない作戦には、二重三重の保険を掛けるものよ。今回はあなたの素晴らしい働きで、保険を一つも使う事無く危なげなく成功したわ。礼を言うわ。」

 

 テーブルに肘を突いて乗り出し気味に男を睨み付ける俺に、ガンルームの入り口、つまり後ろから声が掛けられた。

 後ろを向くと、他の士官達と同じ制服に身を包んではいるが、中佐の階級章を付けたスラリとした女がこちらに近づいてくるところだった。

 

「あんたは?」

 

 話の内容と中佐の階級章から、その女がこの艦の艦長であろうと想像は付いたのだが、色々と少々ささくれだった気分を少しでも収めるために白々しく尋ねた。

 

「ジョリー・ロジャー艦長のキャリー・ルアンよ。よろしくね、キリタニ船長。」

 

 肩の下まで伸ばした艶のある黒い髪と、その髪に縁取られた少しつり上がった大きめの黒い瞳が印象的な女だった。

 見たところ、三十歳をそれ程出ていない年齢に見える。日本で生まれた俺が、東洋系の顔立ちの女の歳をそれ程見誤るとは思えなかった。

 つまり、その歳で中佐になり、艦を一つ、もしかすると部隊をまるごと任されていると云うことは、そういう女なのだろう。

 今ひとつ気は向かなかったが、俺は今座ったばかりの椅子から立ち上がると、女が差し出してきた右手を握った。

 

「Regina Mensis II船長のマサシ・キリタニだ。マサシでいい。」

 

「ありがとう。面倒だから私のこともキャリーで構わないわ。皆そう呼ぶ。」

 

「皆? 艦長のあんたを? 冗談だろう?」

 

「本当よ。まあ、軍の誰かの前では仕方ないけれどね。」

 

 どうも話が噛み合わない。この艦は第七基幹艦隊の戦艦だろう。

 

「待ってくれ。この艦は軍艦だろう。あんたの口ぶりでは、まるでこの艦は軍艦では無い様に聞こえるし、あんた達は軍人では無いみたいに聞こえる。」

 

「そうよ? 知らないの?」

 

 知る訳が無いだろう。

 

「あんたは中佐の階級章を付けているし、他の皆もそうだ。もっとも制服は、地球軍の艦隊勤務将官のものとはかなり違っている様だが。」

 

「当然よ。私達は軍人では無くて地球連邦政府職員ですもの。まあ、皆の殆どは元軍人で、政府外郭団体への転籍という形だけれどね。でも軍人じゃ無いのは確かだわ。」

 

 自分のことをキャリーと呼べと言った艦長は、随分と色々な情報を与えてくれているのだが、俺の戸惑いと混乱は深まるばかりだった。

 

「ではその階級章は?」

 

「軍の艦隊に組み込まれるのに指示系統をはっきりさせなければあちらさんが混乱するからよ。まあ、大体が私達の元々の階級をそのまま使ってるんだけれどね。」

 

 駄目だ。

 どうしても一点、はっきりさせなければどうにもどんどん迷宮に嵌まっていって居る様な気になる。

 

「あー、答えられないならそれでも良いんだが・・・あんた達が世に言う『ST部隊』なのか?」

 

「そうよ。何を今更言っているの、あなたは。」

 

 まるで出来の悪い生徒を嗜める様な口調で、僅かに眉をひそめてキャリーが言った。

 その噂や評判から受ける印象を完全に裏切って、キャリーは俺の質問をあっさりと肯定した。

 拍子抜けするほど、というよりもむしろ呆気にとられた。

 

「いいのか、そんな事。部外者の俺にはっきり言って。」

 

「ここまで巻き込まれて部外者も何もないものだけれど。別に隠す様な事じゃ無いでしょ。実際私達は隠していないし。軍は隠そうとしているみたいだけれど。まったく彼らと来たら、銃口と勲章以外は何でもかんでも隠そうとするんだから。」

 

 歴史の中に組み込まれたお伽噺(ファンタジー)の中では、一騎当千の撃墜王ばかりを集め、接触戦争のバランスをひっくり返すのに一役買った凄腕の特殊部隊として語り継がれ、そして現代では、秘密のベールに包まれた今なお生き残るエリート特殊部隊として噂される者達が、今まさに俺の眼の前に居る。

 だが彼ら自身は自分達のことを軍人では無く連邦政府職員だと言い、実際艦内に漂う緩い雰囲気は軍隊のものとはまったく異なる。

 しかし俺は、今俺がいる艦ジョリー・ロジャーの脇を固める駆逐艦、ジャーヴィスとライラが実際に目の覚める様な機動で鮮やかに攻撃を決めるのを見ている。

 その余りに激しい落差を理解して飲み込むことが出来ず戸惑っている。

 一つだけ確かな事は、今俺の眼の前に立っている東洋系の美人が、極めて特殊な部隊をまとめる立場にある割には随分話せる女だという事だ。

 

「なあ(かしら)。折角部屋取ったんだ。そろそろ移動しねえか?」

 

 いつの間にか横に立っていたゴールドマンが言った。

 この男は俺達が立ち話をしている横で黙々と食事を続け、つい今し方食事を終えてこちらに近づいて来たのだ。

 

「頭言うな。名前で呼んでって言ってるでしょ。そうね。お客様を招いておいて立ち話も失礼よね。こちらへ。ファルシャード、第二?」

 

「いや。勿論第一さ。頭。」

 

 多分本名であろうファルシャードと呼ばれたゴールドマンを一睨みして、キャリーは俺を先導して歩き始めた。

 キャリーに続いてガンルームから続く小部屋に入ると、そこは壁一面にどこか南の島の風景が投映されている会議室だった。

 キャリーとファルシャードが白い砂浜に続く海側に、そしてテーブルを挟んでその向かいに座った俺の後ろには、草原のすぐ向こうに椰子の木の林が見えた。脇には静かに水を湛えたプールが見える。プールサイドには幾つものビーチベッドが置かれ、その脇にある大きな白いパラソルが影を落としている。

 まるで本当に会議室の中に風が吹いたかの様に、プールの水面がさざ波立ち、プールサイドの椰子の葉がゆっくりと揺れる。

 まるでそよ風が耳を撫でる音が聞こえる様だった。

 

「良いでしょ? この部屋お気に入りなのよ。癒やされるわよね。」

 

 キャリーが少し得意げな笑顔で言った。

 俺の横の椅子に座ったニュクスは、壁に投映された景色を眺め回しながら、機嫌良さそうに床に届かない脚をパタパタと動かしている。

 今は南の島のビーチサイドに設定されているが、多分使用者の好みに合わせてヨーロッパアルプスでもモンゴルの大草原にでも、ストラスブールの会議室にでも幾らでも替えられるのだろう。

 

「で。早速だが。俺を呼んだ用件を聞こうか。」

 

 先ほどの少尉が四人の前にコーヒーカップを置いて回る中、俺は話を切り出した。

 しばらく前から色々と度肝を抜かれすぎている。こちらから切り込むことで、少しでも場の主導権を奪い返そうと思った。つまり、無駄な抵抗というやつだ。

 

「わざわざご足労願ったのは事情聴取のため、というのは勿論表向きの話で、今回色々と迷惑を掛けた謝罪と御礼と、今後の建設的で良好な関係の構築の為。要するに、顔繋ぎよ。一度お互い顔を合わせておいた方が良いでしょうし、ね。」

 

 つまりそれは、今後も軍か政府絡みの仕事がやって来るという意味だ。

 

「断る。俺のことは調べているのだろう? 俺が軍や政府絡みの仕事を嫌っているというのは知っているだろう? ついでに言うと、妙な脅され方をして無理矢理やらされるならば、地球を捨てようと考えているのも、そろそろ伝わっているだろう。

「今回の件は、俺とあんた達の利害がたまたま一致して、いつの間にかあんた達がこっちの動きに乗っかっていただけの話で、あんた達からの依頼では無い。俺は自分の個人的都合で動いただけだ。今後もあんた達からの依頼を受けるつもりは無い。」

 

 俺の台詞を聞いても、キャリーは微笑みを絶やさなかった。

 気に入らない。

 

「噂通りねえ。貴方とこちらの利害が一致した場合でも断るつもりなの?」

 

「何を言っているんだ。金のやりとりを含めて、お互いの利害が一致して合意の元に実行されるのが依頼だろう。あんた達の利益だけしかないならば、それはただの強制だ。」

 

「まあいいわ。貴方のポリシーをひっくり返せるとは、こちらも思っていないから。ただ一つだけ覚えておいて欲しいのは、軍を含めて私達政府機関は、地球市民個人の生命と権利を守る事も大切な仕事の一つなのよ。勿論その個人とは、貴方が地球市民で居る限り貴方を含むわ。」

 

 白々しい話だ。

 

「百億の命を守る為に、一人を犠牲にすることは当然あるわ。私達を含めてね。命の重さに差が無い、などという綺麗事を並べるつもりも無いわ。連邦議会議長と、海賊一人の命のどちらかを選べといわれれば、迷わず議長を取るでしょう。当たり前の話よね。

「それを踏まえた上で、私達は地球市民一人一人を守る為に存在する事を忘れないで。貴方が銀河のどこかで助けを求めるなら、私達にはそこに駆け付ける義務がある。綺麗事じゃ無いのよ。それが私達の存在理由で、それを忘れた時、地球市民の誰も私達を支持しなくなり、私達は存在出来なくなる。それが民主国家というものよ。だから私達自身の生き残りの為にも、私達はその様に行動する。」

 

 俺は黙って、会議用テーブルの向こうに座る年若い艦長の眼を見続けていた。

 当然色々な思惑はあるだろう。

 だがその眼は、口先だけで相手を誑かして良い様に使い回そうとする人間の眼では無かった。

 目尻の少し上がった大きな黒い瞳が真っ直ぐに俺を見ていた。

 

「あんたが言っているのは、軍人なり官吏なりとして当たり前のことだ。それを自慢げに振りかざされてもな。

「一つだけ約束しよう。あんた達が正直に話をする限り、こちらもその様に対応する。だが、仕事を受けるのは別の話だ。都合の良い便利屋にされるのは御免だ。仕事を受けさせたいなら、都度納得出来るだけの話を持って来い。」

 

 軍も政府機関も、何も生み出さない。安全や安寧といったものを提供するサービス業なのだ。そういう意味では、運送業の俺と同業者とも言える。

 真っ直ぐに俺の眼を射貫いていた視線が笑顔に変わった。

 

「分かったわ。こちらも誠意を見せる。そうすればそちらも誠意のある対応をして戴ける、でいいかしら? 当たり前のことなのにね。胸に刻んでおくわ。」

 

「言葉だけ、この場限りの言い抜けで無いことを期待する。基本的にあんた達を信用していないことに変わりはない。」

 

「では早速誠意を見せることとしましょうか。この度のことは、貴方の都合を勝手に使わせてもらって悪いと思っているわ。ただ、私達がいることを意識してしまって貴方の行動が変わることと、私達の影がちらついて、ジャキョセクションの出方が変わってしまうことを危惧していたの。

「もっとも、貴方が危機に陥った時に私達が介入する準備があるという事は、アステロイド警察の一件で気付いてもらえていたと思っているけれど。」

 

 やはりあの一件は、軍からのメッセージだったようだ。彼女に言わせれば政府外郭団体から、とでもなるのか。

 とは言っても、だ。

 

「俺にジャキョとバペッソをけしかけたのは、ファルシャード、だったか? あんただろう。とても誠意ある対応の一部とは思えないのだが?」

 

 元ゴールドマン、艦長からファルシャードと呼ばれたその西アジアの血を引くと思われる男は、皮肉げに笑い言った。

 

「遡及するのは勘弁してくれないか。あんたなら生き延びて刃向かってくるだろうと思っていたんだ・・・冗談だ。睨むなよ。逆だ。ジャキョが攻撃艦隊を送ろうとしていたのをどうにか止めて、あんたに恨みを持つチンピラどもを手先に使って、自分達は手を汚さない様に進言したんだ。幾らあんたでも、戦艦や巡洋艦に追い回されては堪らんだろう? ホントだぜ? 逆にこっちがそこまでしたのに、まさか当のあんたが自らあの大組織に独りで喧嘩売ってくるなんて思ってもいなかった。」

 

 辻褄は合って、筋は通っている。

 勿論、上手いこと言いくるめられている可能性も残っている。

 疑いの眼を向ける俺に、さらにファルシャードは続けた。

 

「信用されてねえな。まあ仕方ねえと思うが。

「あんたがバペッソに喧嘩を売るところまでは織り込み済みだった。それはやらかすだろうと思っていた。だがそれだけで充分だった。ローカルな小規模組織とは云え歴としたヤクザと、小国家並みの力を持った闇商人に付け狙われる、地球船籍の哀れな民間貨物船を地球軍が保護し、この件を調査する内にジャキョセクションから色々埃が出てきて、それを調査する為に地球軍がジャキョをガサ入れすると色々出てきて目出度く星系占領、ってのが本来の粗筋だった。あんたがパイニエに乗り込んでいって、一回バペッソと当たるだけで充分だったんだ。」

 

 ファルシャードは一度言葉を切って、テーブルの上のコーヒーカップを手に取った。

 誰も口を開かないので、ファルシャードはそのまま先を続け始めた。

 

「ところが現実のあんたは、確かにバペッソと一回当たりはしたものの、予想を裏切ってその一回の接触でバペッソを叩き潰し、その勢いに乗ってアリョンッラ星系にまで乗り込んだ。そしてここでは、こっちが想定していないほどの大規模作戦を企画して、しかもホントにそれを実行に移しやがった。俺がやんわり止めとけと言ったにも関わらず。

「あの時点で第七艦隊はすでに出撃準備に入っていた。もう充分だったんだよ。あんたとあんたの艦がこの星系にいる時点で、充分すぎて行き過ぎていた。

「だがあんたはそれでもなお止まらなかった。焦ったね。本気で。あんた達は事もあろうに星系全体に対してサイバー攻撃を仕掛けた上に、そいつを梃子にして物理的な打撃力を一瞬で編成した。目を疑ったよ。しかもそのあり合わせ急ごしらえのツギハギ艦隊をあんた達はものの見事に操って見せた。

「あのポンコツ中古船の寄り合い所帯の様な船団を、信じられないレベルでまとめ上げ、こっちの予想を遥かに上回る戦果を叩き出した。余りの被害にビビって、戦艦の艦長達が各自の判断で勝手に飛び出した時点で、星系内のジャキョセクションの戦力はもう殆ど残っていなかったんだ。

「それだけやっておきながら、あんたの船団はなおも充分な数が生き残っていて、有効な打撃力を充分に残していた。」

 

 ファルシャードは徐々に上がってきたテンションを冷ますかの様に、再びコーヒーを一口啜った。

 

「有り得ねえよ、あんた。幾ら乗員の中にその道の一流どころが揃っているとは言え、民間の貨物船がやって良いことじゃねえ。軍の情報部の特殊工作船でもやりきれるかどうか。俺達だって成功させる自信がねえ。それをただの零細運送会社の社長とそのスタッフが、思いつく限り最大限の成果をもってやり遂げて、しかも手前等は怪我一つなくケロッとしていやがる。有り得ねえよ。」

 

 零細運送会社で悪かったな。

 それも元はといえば、お前達の提案に乗った結果だけれどな、と言いたいところを堪える。

 

「それがあんたが今この艦に乗っていて、俺達と面通ししている最大の理由だ。

「任務達成率で数値化した時に、あんたのチームは下手な『こっち側』の特殊工作船チームよりも遥かに良いスコアを毎度叩き出してるんだ。あんたがどんなに嫌がっても、俺達にいつまでもつきまとわれる理由が分かっただろう?」

 

 ファルシャードはひとしきり喋り終えると、冷め始めたコーヒーをまるで手で温めるかの様に両手で包んで、眼だけはこちらをずっと見ていた。

 

 諜報機関から高い評価を与えられているのは、はっきり言ってただの迷惑だ。

 運送業界の中でも「荒事専門」などと云う不本意な評価を与えられている。

 俺達としては、毎度降りかかる火の粉をその場その場で振り払っていたに過ぎない。

 

「この後ジャキョセクションはどうなる?」

 

 俺にとってはそれが今回の最大の心配事だった。

 連中が今後もまだ色々ちょっかいを出してくる様ならば、こちらもその対応を考えなければならない。

 

「ご想像の通りよ。徹底的に手入れされた後に、一部の合法的な商売のみを許されて、ほぼ完全に解体される予定よ。貴方にとって一番都合の良い決着でしょう?」

 

「分かった。それで良い。」

 

 確かに俺にとってそれ以上の回答は無かった。

 地球政府の都合に上手く利用された形にはなったが、こちらの目的は予想以上の結果をもって達成出来た。文句は無い。

 

「さてと。関係改善に僅かながらも進展が見られたところで、私はこの辺りで失礼するわね。次の打合せが入っているのよ。占領なんて慣れないことをやらかしたものだから、忙しくてね。」

 

 キャリーはそう言って再び笑顔を浮かべ、席を立った。

 俺もこれ以上ここに居る理由は無かった。

 小部屋の前でキャリーと握手をして別れる。

 

 帰り道は、部屋の前で待機していた少尉と、ファルシャードが俺達と同道した。

 

「なああんた。本気で転職を考えないか? あんたのチームごと。」

 

 立場は違えど、この男にスカウトされるのはこれで二度目だった。

 軍人だろうが政府外郭団体職員だろうが、宮仕えなどまっぴら御免だ。

 俺は公共の福祉などと云う高尚なものの為に働くつもりは無い。

 俺は俺と仲間達の為に働く。

 何を目的として誰の為に働いているのか分からなくなってくる様な働き方をするつもりは全く無かった。

 

「悪いが、幾ら誘われてもその話に乗る気は無い。俺は俺と仲間達の為だけに働く。地球人類だとか、公共の福祉だとか、俺の手には大きすぎて扱い切れんね。」

 

 第七基幹艦隊司令が、地球軍がアリョンッラ星系を全面的に占領したことと、この星系を地球領とする事を厳めしい言葉で宣言するのを聞いたのは、ちょうどジョリー・ロジャーとレジーナとの間に架かったボーディングゲートを歩いている時だった。

 


 いつも拙作お読み戴きありがとうございます。

 

 ちょっと長くなってしまいました。

 だらだら三話も続けるのもアレなんで、無理に押し込みました。

 第八章はこれで終わりです。

 次は久々のインターミッションが入りますが、どちらかというとショートストーリーという感じになります。

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