表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラブステップ  作者: 里兎
7/39

スマイルパンライス


朝7時に起きて。

お弁当作り。

今日から5日間お弁当を2つ作る。

ゆいの牛乳プリンを食べてしまった俺が………。

そう。

またやってしまったのだ。

だが今度は決して寝ぼけていた訳じゃない。

プリンに名前を書いていなかったゆいのミスだ!!………と言ったらこてんぱんに怒られた。

そんなこんなで、俺は許して貰うためにお弁当を5日間作る事を提案したら渋々頷いてくれた。

本当に食の事になると厳しい……。

だから俺は頑張らなくてはいけない。

ゆいの鬼のような顔から笑顔にするために!

…………って俺……料理出来たっけ?


~1日目~


白いご飯の上に薄っぺらく焼いた卵を乗せたオムライスっぽいもの!


………結果。

苦笑いされてしまった。。


~2日目~


目玉焼きとウィンナーを焼いてご飯の上に乗せたお弁当!!


…………結果

おかずが少ないと渋い顔をされた。


~3日目~


魚を焼いてご飯の上に2つ乗せた!これでおかずに困ること無い!自信作!


……………結果

仕事場が魚臭くなったとため息をつかせてしまった………


~4日目~


ご飯の上に炒めたモヤシを敷き詰めた

臭いもしないし、おかずもたっぷり!4度目の正直!


―――「うあっ!お前の弁当ひっでぇな!?」


俺が机の上でお弁当を広げていると、隣の奴が覗きこんできた。


「……酷くない。俺の自信作。」


「えっ!?じゃあもしかしてこれと同じやつお前彼女に持たせたのか!?……やっべぇ!!ウケる!俺がお前の彼女だったら即刻別れるわぁ!」


事情を知る隣の奴……もとい藤津フジツ 悠真ユウマが涙が出そうな勢いで大笑いしている。

何がそんなに面白いのか……。

俺はいたって真剣だ。

それを無視して取り敢えずモヤシを口にした。

…………。

………………。

…………しょっぱい…。

こしょうと醤油入れすぎた……。

これは食べられるものじゃない……。


「………俺のおやつのパン食べるか?」


項垂れている俺の様子を汲み取ったのか、悠真は次々と鞄から菓子パンを取り出した。

………その鞄のどの隙間に入っていたんだよというくらいパンを俺の机に乗せていく。


「お前……これおやつレベルじゃないだろ……」


「へっ?パンは消化が良すぎるからおやつだろー?」


何故だろう。

ゆいも然り。

俺の周りは食べるのが好きな人が多い気がする。

俺も好きではあるけど……。


「でもその弁当捨てるのはもったいねーな?しょうがないから食べんの手伝ってやるよ?パンと交互に食べればなんとかなるだろ!」


悠真は笑って俺の弁当を食べるのを手伝ってくれた。だが最後まで不味そうな顔をしてたのは言うまでもない……。



―――――家に帰ると。

ゆいがお弁当箱を洗っていた。


「おかえりー?ついでに洗っちゃうからお弁当箱出してー?」


お弁当箱を出すも、その顔を見ると申し訳なくて。

ゆいの隣に立つ。


「………ごめん……今日モヤシ…すごいしょっぱかったよね……?ちゃんと残した?」


「………全部食べたよー?」


「!?何で!?俺だって1人で食べれなかったのに!」


本当に。

純粋に。

意味がわからなかった。

食べるのがこれだけ好きなゆいが。

今までもそうだったけど。

失敗したお弁当すら全部食べるなんて。


「………食べてるとね?あなたがこんな感じで、作ってるんだろうなーっていう情景が想像出来るの。味がどうこう言う前にそれが楽しくて残すの忘れちゃうんだよね?」


ゆいは洗い物をしている。

こちらを見ていない。

それでも。

それでも彼女の横顔は。

俺が好きな笑顔だった。

我慢できずにゆいを抱きしめる。


「!?ちょっ!!洗い物の途中なんですけど!!」


彼女の頬が朱色に染まっていく。


「明日のお弁当楽しみにしてて?」


俺の言葉にゆいはふぅっと息をついて濡れてるその手で俺の手に添えた。


「はいはい。分かったから…取り敢えず着替えてきて?ご飯にしよう?」


敵わないな。

本気でそう思う。

きっと。

彼女以上の女の人に会うことは無いだろう。

本気でそう思った。




―――――――次の日。


「………おっおぅ………おまっ……いやっ…俺はなんも言えねーや……」


日課の様に俺のお弁当を覗きに来た悠真は顔を青ざめながら目をそらす。

何でだ?

今日はお弁当作り最終日ともあって、最高の出来だと思うのだが…?

お弁当箱にはゆいの好きな焼きそばパンと秋らしくモンブランを詰め込んで。

デザートとしてタッパーに牛乳プリン2個と桃缶を一口サイズに切って沢山入れた!

おまけにスターウォーズの未開封ウェハース付き!

これで不味くて食べれないということは無い筈だ!


「……いやっ……やっぱり言わせてくれ!お前それっ!1つも手作ってねーだろ!!」


………………。

……………………。

…………………しまった!!!

言われてみれば!!!



だがしかし。

家に帰るとこのお弁当。

ゆいには意外と好評で。

幸せそうな。

かわいい顔で。

また作ってと言われてしまった。


料理は出来ない俺だけど。

また作ってもいいかな………?


………でもやっぱり当分はゆいの作ったお弁当を食べたいから。

料理は気が向いたら………。

そう心で頷いた。。。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ