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Eclipse  作者: 楪美
【2】-Ⅱ
30/41

【2】Ⅱ-2,Waver






車の中は、揺れもエンジンの音もなく静かで、居心地が悪かった。



のろのろと動く窓ガラスの外の景色は渋滞のせいで、隣の車と建物の似たような並びしか見えない。スカートなんて履かないで、寒いのを我慢してでもバイクに乗せてもらえばよかったと後悔が滲んでくる。せっかく時間に余裕をもって出てきたのに、これでは早く着くどころか約束の時間になっても動けないのではないか。焦ってもどうしようもないのに、勝手に鼓動が速くなっていくのを感じていた。



普段の学生ルックから戻してまた元の全身真っ黒コーディネートを装った晃斗くんは、隣で腕を組んでじっと前を見据えている。表情はいつものままだったけれど、微妙に眉が寄っている。さすがの彼でも、ちっとも進まないこの渋滞には苛立っているみたいだった。



緊張を紛らわせたかった。でも、話を振る気にはなれなかった。




「何人もの人間の命を、奪ってきた人だよ」




シュン君のあの言葉を信じている訳ではなかった。でも、完全に否定しきれずにもいた。自分の中に確かに存在している不思議なインスピレーションを、無視することはできなかった。



晃斗くんも、あれから私が普通を装おうとしていることに気付いているようだった。実際、何かあったのか と聞かれた。隠しても無駄だとはわかっていた。この人は、私の下手な嘘や見栄なんていとも容易く見抜いてしまう。



だけど、打ち明けることはできなかった。



だから、半分は隠して、半分だけ、本当のことを告げた。



「お祖父さまに会うの、すっごい久しぶりだから緊張して」



今日が終われば、少しは気持ちも軽くなるはず。パーティ当日は、開き直ってとことん楽しめばいい。そうやって頭に信じ込ませるしかなかった。ただ、頑固な私の頭はそう簡単に割り切ってはくれなかった。



「あの」



突然、晃斗くんが運転手に声をかける。



「次の信号まで行ったら、どっちでもいいんで曲がってもらえますか」



運転しているというよりはハンドルを握ってフロントガラスの先を眺めていた運転手は、え と声を出す。



「多分、どこ行っても同じですよ」

「246でやっているイベントが渋滞の原因なら、遠回りでも北に出た方が早いかと」

「メーター上がってもいいんですか」

「構わない」



わかりました と運転手が答えてから実際交差点を左折するまで、五分以上かかった。そのまま細い道を通り、海の近くまで出て、ようやく本来のルートに戻ったときは、ちょっとした冒険を終えた気分だった。











「でけえな」



タクシーを降りて門の前に立った晃斗くんが、珍しく感嘆の声をあげた。



「でっかいでしょ」

「世界遺産か、ここは」

「都の重要文化財だよ。明治の初めにできた洋館の一つなんだって」

「マジでか」



八年前、初めてここに来たとき、今の晃斗くんと同じようにお城みたいだと思ったことを覚えている。冬場のこの時期でも庭園には椿が綺麗に咲いていて、生垣や芝生は少しの乱れもなくきっちり手入れされていた。



「日本国内とは思えねえ」

「離れには和室もあるよ」

「離れまであるのか」

「文化財だから建物は簡単にいじれないの。だったら敷地内に新しく建てちゃった方がいいって」

「ああ」



会話が途切れないように、頭と口をフルで動かした。喋っていないと、心臓の音が喉から出てきそうだった。



「晃斗くん、初めてだよね。お祖父さまに会うの」

「そうだな。顔は知ってるけど」

「緊張する?」

「少し」



自分のことを棚にあげて訊いてみたところで、緊張が和らぐわけはなかった。それでも、晃斗くんの答えに少し、ほっとした。



「晃斗くんでも緊張するんだ?」

「するよ、そりゃあ」

「全然見えない。どうやったらそんなにうまく隠せるの」

「隠してねえよ、別に」



嘘だ。顔は私の方を向いたまま、目だけが逸らされる。



「私がわかりやすすぎるだけ?」

「かもな」

「結構本気で気にしてるんだよ」

「じゃあ、ひとつだけ」



戻ってきた視線が、悪戯っぽく光る。こういう時の彼は、悪巧みをする少年にも、映画に出てくるような、ビジネスの場で駆け引きを仕掛けるやり手の交渉人にも見える。



「コツを教えてやる」

「人の顔をかぼちゃと思えとかはなしだよ」



何だそれ と笑う顔は、一瞬でも、重苦しい心を晴らせてくれる。



「緊張しないコツは」

「コツは?」

「でかいスクリーンを想像するんだ」

「スクリーン?」

「映画館とか、街ん中にあるでかいやつ。で、自分を、その映像を観ている、たった一人の観客だと思い込む」



全部、壁の向こうの話なんだ



そう言って晃斗くんは、たどり着いた正面玄関の大きな扉を見上げた。不意に、その指先に触りたくなって、勝手に動いた手をぎりぎりのところで留めた。



「ただの現実逃避だけど、心理的に楽になる効果は実証されているらしい」



なんでもないふうに、むしろ、少し楽しそうにすら映る晃斗くんが、ひどく遠く感じた。せっかく少しずつ近づいてきたと思った姿が、幻みたいに揺れていた。



「晃斗くんは」

「ん?」

「晃斗くんは、いつも、そうやって周りを見てるの?」



私のことも、壁の向こうに見ているの?



勝手に傷ついている自分が惨めだった。すごい技だね なんて茶化して笑おうとする自分が、さらに滑稽だった。










「久しぶりだね、ルナ」



迎えてくれた征政叔父さんは、何年か振りに会うのに少しも変わっていなかった。



「父さんは上の書斎にいるが電話中でね。茶でも飲んで待っててくれ」

「あ、私やります」

「いや、もう頼んであるからメイドさんが持ってくるよ」



そうだった。この家では、私は何一つ自分でやる必要はなかった。



「じゃあ、俺は希を呼んでくるよ。相模君も寛いでてくれ」



メイドさんが持ってきてくれた紅茶を、晃斗くんはブラックのコーヒーを飲みながら、どこかから聞こえる時計の秒針と一緒に待つ。ふかふかのソファは快適だったけれど、照明も、壁にかかっている絵もカーテンも絨毯も、何もかもが綺麗なこの部屋では、くつろぐことは難しすぎた。



「似てるな」

「叔父さん?」

「ああ、双子に」



何か話さなければと考えていたおかげで、晃斗くんが振ってきてくれた話にもすぐ反応することができた。こちらから切り出すステップさえ過ぎてしまえば、あとは途切れないように紡ぎ続ければいい。



「あの二人が老けたら、ああなるんだな」

「ヒロくんはそうかも。でもハルくんは」

「あんなにきっちりはしないか」



私の言葉を先読みしていた晃斗くんが、自分の言葉に笑う。私も、今度は自然に笑えた。



「でも性格は、どっちかといえばハルくんの方が似てる気がする。割と豪快で、フリーダムというか」

「意外」

「でしょ?それでもちゃんとWingの重役として世界中の偉い人相手にバリバリ働いてるから、すごいよね」

「次期社長ほぼ確定なんだろ」

「みたいだね。会社のことはあんまりわかんないけど」



私にとっては、たまにビジネス雑誌の写真で見かける叔父は、もっと稀にこの家で言葉を交わす叔父と同一人物には思えなかった。電子機器業界のこの先のビジョンについて難しい顔で語っているこの人が実は大の甘党で、ホールケーキを三口で食べきってしまうような人だと知ったら、雑誌の読者はどう思うだろうか。



「ヒロくんの几帳面で真面目なところは、多分叔母さんに」



ガシャン と、上のほうから何かが割れる音がした。晃斗くんとほぼ同時に、天井を見上げる。上の階から音が聞こえたからだ。



「見て来る」

「私も行く」



一人になりたくなくて、立ち上がった背中を追った。割と大きな音だったにもかかわらず、ロビーにも廊下にも他のメイドさんやスタッフの人たちの姿はない。三階まで上る階段の途中、もう一度、何かが割れる音と、今度は声が、しかも叫びに近い大きな怒声が聞こえてきた。



「もう出てって!一人にして」

「希、やめろ。落ち着け」



何かがぶつかる鈍い音が続いたあと、叫びは泣き声に変わった。現場に近づけず少し離れたところに立ったままでいると、叔父さんが溜息と一緒に部屋から出てくる。



「叔母さん、大丈夫なんですか」

「いや、かなり興奮している。今日は会わない方がいい」

「薬は?」

「最近は身体を考慮して、量を減らしているんだ。体調は良くなってはいるみたいなんだが、たまに効果が切れるとあんなふうに不安定になることがある」



さっき客間で対面した時には、気付かなかった。変わってないように思えた叔父さんの顔も疲れていて、無理に平気なふうに装っているように見えた。



「俺もこの家に戻ってくるのは二週間ぶりなんだ。それ以前もあまり希には構ってやれてなくて、薬の話も征景から聞いたばかりでな」



割れた食器やカップらしき破片をトレイに乗せたメイドさんが部屋から出てきて、こちらに向かって礼をする。



「ツケが回って来始めてるのかも知れないな」



叔父さんがメイドさんに向かって笑いかけたのか、それとも自分自身を笑ったのかはわからなかった。応えようにも、私は無知だった。何年も前からこの場所と関わりを絶ってきた私に、かけられる言葉なんてなかった。



「騒がせてすまなかった。客間に戻っていてくれ」

「でも、叔母さんは」

「心配しなくていい。一人にしてほしいと言っていた。そうさせてやろう」




違う。



頭の中に、閃くように浮かんだ。



叔父さんも、ヒロくんもハルくんもいない家でずっと一人でいた叔母さんが、本当に独りを望んでいる訳がない。



長過ぎる孤独は、本当の心を表す術すら奪ってしまう。




私は、知っている




「叔父さん」



呼び止めたところで、別の思考が過ぎった。




「えっと」



心配そうに私を覗きこむ叔父の顔は、やはり疲労が滲んでいる。眼の下には隈ができ、肌の肌理も唇も荒れていた。



「いいえ。なんでも」



結局、口には出せなかった。



先に下で一服してくるという叔父さんを見送り、静かで広い廊下に二人で残った。晃斗くんの視線を感じる。身体を動かさないように、深く息を吸って、吐く。



「大丈夫か」



先手を打たれた。また、嘘をつかなきゃいけない。



「大丈夫」



笑って応える。下手なお芝居だ。でも、喋らずにはいられなかった。



「なんか、私が口を挟めるような状況じゃないみたい」

「複雑そうだな」

「複雑ではないよ。難しいだけ」

「何が難しい?」



なんだろう と、考える前に口が動いていた。考えようとする意志すら湧いてこなかった。我ながらドライだな なんて頭の奥で分析している。




何が難しい?



答えはわかっている。でも、動けない。



頭の中の一番奥の方で、常に、いつでも警報が鳴っている。



無視することはできた。時折、気づかないくらいに遠のいて、消えてくれることもあった。



だけど今、心の一番もろくて弱い場所に、突き刺さるようにそれは鳴り響いている。繰り返し繰り返し劈くその音に、怯えている。この家に来るたびに臆病になる自分を認めずにいるには、距離を測って、見極めて、保っておくしかなかった。



何気なさを装いながらロビーの奥の窓へ近づき、外を見る。薄曇りの空のせいで緑色に濁った池を、鯉たちが狭そうに泳いでいる。あの子たちの中にもリーダーがいて、皆違う性格で、小さなコミュニティの中息苦しく生きていたりするのだろうか。少し離れたところからの気配を感じながら、そんな空想を巡らせていた。



とりとめのない思考の中に突然、また何かが、しかも今度はいくつも重なっていたものが一気に割れたような音が飛び込んできた。



「また」



すれ違いざまに耳に入ってきた晃斗くんの声は、最後まで聞こえなかった。自分の鼓動と、すごく嫌な、最悪な予感に支配されていた。



「叔母さん 、大丈夫ですか。なにがあったの?」



激しいノックと心臓の音以外、なにも聞こえない。



「お願い、開けてください。開けて」



ドアノブを握って回す手が震えていた。扉を叩き続ける拳も痺れてきていた。それでも、止められなかった。



「叔母さん!」

「ルナちゃん?」



カチャリ と鍵が外れ、ゆっくり扉が開く。その隙間に現れた叔母は、ひどく曖昧な顔で私を見た。



「いらしてたのね」

「あ、はい。あの」

「久しぶりね。どうしたの?そんなに慌てて」

「あの、さっき何かが割れた大きい音が聞こえて、それで」

「心配ないわ。ちょっと探し物をしてたら、棚の中のカップを一度にたくさん落としてしまって」



何事もないように微笑む叔母に、拍子抜けして空っぽになった私の頭は、一気に縺れた黒い糸のような混乱に埋め尽くされた。うまく喋らなければなんて焦り以外、まともな言葉が浮かんでこない。



「お茶を飲もうと思ったんだけども、気に入っていた柄のカップが見当たらないの。薔薇の模様のペアカップ」



メイドさんが持っていった、粉々になったカップの欠片の模様はどうだったか。まだまともに整理のつかない中、曖昧な記憶を辿る。そして同時に、矛盾に気付いた。



叔母は、数分前のトラブルを、自分でカップを割ったことを忘れている。



「あの、おばさ」

「貴女なの?」



私の戸惑いを見抜いてか、叔母の表情は変わっていた。



「貴女が、盗ったの?」

「違います、ただ」

「ただ、何?何か知ってるなら言って。言いなさい」

「痛っ...」



それまで立っていた戸口から部屋の中に引きずり込まれたはずみと、その中の光景に私は言葉を失った。



いくつものティーカップが棚から雪崩のように折り重なって床に散乱していて、中には欠けているもの、割れているものもあった。カーペットには先刻のいざこざでできたと思われる染みがところどころにあり、ハーブティーの強い匂いが充満していた。



「泥棒!どこにやったの?」



手首と、それから肩を掴まれた。すごい力だった。髪が叔母の指に絡まっていて、強く拒めない。



「離して叔母さん、私じゃない」

「返して、返しなさい!」

「やめて!」



私が叫んだのと、背中に軽い衝撃を感じたのと、それに目の前に影が現れたのがほぼ同時だった。



「晃斗くん…?」

「貴方は?」

「彼女の連れです。今日ここに来てから、ずっと傍にいました。彼女は無実です」



飲み込めていなかった自分の立ち位置と、感覚が戻ってくる。紅茶の匂いに混ざって、煙草の香りに包まれた。晃斗くんの、香りだった。



「庇ってるんじゃないでしょうね」



鋭い問いかけにも、恐怖は感じなかった。後ろに回された強い腕に、心臓が跳ね返っているみたいだった。



「疑うなら、家中の方に訊ねてみてください」

「そうなの?ルナちゃん」



鼓動に混じって聞こえた問いかけに、声を出さず頷く。



「そう。そうよね、ルナちゃんなわけないわね。私ったら」



怒りに満ちていた表情が、今度はみるみる緩んで、崩れていく。あまりにも激しい変化に、思考が追いつかない。



「ごめんなさい。取り乱してみっともない。ああ、ごめんなさい」



声をかけられないでいるうちに、叔母は床にしゃがみこんで、泣き出してしまった。目線と首を動かして晃斗くんの顔を見る。彼も困ったように、私の目を見た。それから、ごめん と言って私から身体を離した。一瞬強まった煙草の香りが、ふわ と遠ざかった。



「誰か呼んでくる」

「私も」

「君はここにいて、叔母さんについていた方がいい」



いや と言いかけて、口をつぐんだ。わがままを言ってる場合ではないと気づいたのと同時に、危うくわがままを言いそうになっていた自分に驚いた。



「すぐ戻ってくる」

「何事だ」



空気が、一瞬で張り詰めた。声のした方に振り向くのに、何秒もかかった気がした。



「お祖父さま」



祖父は黙ったまま、晃斗くんが動いて空けた道を通り、部屋に入ってきた。思わず、握り締めた両手が強ばる。



「お義父様」



ゆっくりと部屋の中を見渡した祖父はよろめきながら立ち上がった叔母を見て、それから私を見た。



「人は呼んだのか」

「これからです」



すぐに返事ができなかった私の代わりに、晃斗くんが答える。



「ルナ、征政を呼んできなさい」

「は、い」



平静を意識して返したつもりが、変に詰まっておかしな音が喉から出た。晃斗くんの横を通り過ぎようとしたところで、ルナちゃん と叔母に呼び止められる。



「私なら大丈夫よ。お義父様、お騒がせして申し訳ありません」

「でも」

「いいのよ。あの人に、これ以上余計な心配はかけられないわ」

「であれば、尚更だ」



進み出た祖父に、叔母の身体がびくり と震えたのが遠くからでもわかった。



「少しでも早く快復することが、本当に周囲の人間の為になるのではないのかね」



正論だった。この人の正論を聞くのが、私はいつも怖かった。そしてそれは、叔母も同じらしかった。



「ごめんなさい」

「奥で休んでいなさい」



叔母はその場から動かなかった。ごめんなさい、ごめんなさいと繰り返しながら再びしゃがみこみ、両腕で身体を抱え込むように震え出した。



「叔母さん」

「ルナ、征政を」



今度ははい と普通に返事ができた。だが、立ち上がることはできなかった。



「お願い、あの人には、征政さんには知らせないで」



手に、続けて脚にまでしがみつかれ、転びかけたのをなんとか脚に力を入れて持ち堪える。咄嗟に、祖父の顔に目をやった。表情は変わっていなかった。



「だめ、行かないで。何も言わないで」

「でも、ちゃんと話して知らせないと、叔父さん余計に心配」

「口答えしないで!貴女に何がわかるの?」



突然の大声に、部屋中の何もかもが止まった。何を言われたのかを理解するのに、何十秒もかかった気がした。



「人の心配なんて省みたことないような娘に言われたくないわ。本当は私たちに何が起ころうと、なんとも思わないんでしょう?」



心配?



真っ暗になった頭の中に、雷みたいにその一言が突き刺さる。




いつ、誰が、私を?




「これは私達の、この家の問題なの。だから貴女には」

「希!」



叔母の糾弾を遮ったのが叔父の声だと認識はできた。それ以上は、状況を掴めなかった。



誰かが、何かを言っている。



誰かが、それに答えている。



誰かが、私の肩に触れた。



反射的にそれを振り払って、私は駆け出した。



どこへ行くのか、どうして走ってるのかなんて思考は、少しも過ぎらなかった。



ただ、叔母の口から出るはずだった一言が、脳を支配していた。




わかっていた。



わかっている。



わかっているのになんで




こんなに、痛いんだろう。









ホールケーキ三口で完食って良く考えなくても恐ろしい

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