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シゲミ、逮捕される②

シゲミ「ジジ上! どうしてここに?」


シゲミの祖父「お前が逮捕されたと、学校からウチに連絡があってな。ハルミの指示でワシが助けに来たんじゃ」


シゲミ「ジジ上……」


シゲミの祖父「牢屋の鍵は盗んできた。今すぐ出してやる。じゃが問題はどうやって警察署から脱出するかじゃ。ワシ1人なら余裕なんじゃが」


シゲミ「大丈夫。何とかする」



 シゲミの祖父は鉄製の輪っかに取り付けられた大量の鍵を1つずつ鍵穴に入れて回する。7本目で扉が開いた。シゲミは牢屋の外に出る寸前、振り返る。パイセンは相変わらず背を向けたまま寝そべっていた。



シゲミ「パイセンはどうする?」


パイセン「言っただろ? ここから脱獄なんてできねぇ。俺は残る」


シゲミ「これはチャンスよ。私たちで力を合わせれば出られるかもしれない」


パイセン「ダメだ。その鉄格子が開いたとしても、俺の心の牢屋が脱獄することを許してねぇ。俺だけ逃げおおせたとして、天国にいる妻と娘にどう顔向けすればいい」


シゲミ「……わかった」


パイセン「鍵は閉めていってくれ。俺が心変わりしないように」


シゲミの祖父「シゲミ、急ぐぞ」



 シゲミが牢屋の外に出ると、シゲミの祖父は扉を閉じ、鍵をかけた。



−−−−−−−−−−



PM 3:32

 市目鯖(しめさば)警察署内に非常ベルの音が鳴り響く。廊下を走るシゲミとシゲミの祖父。2人を追いかけながら3人の警官が発砲する。シゲミの祖父の左頬を弾丸がかすめた。



シゲミの祖父「ヒィィッ! 撃ってきよったぞ! アイツら頭おかしいんか!?」


シゲミ「脱獄者は即射殺されるらしい」


シゲミの祖父「クソッ! こんな危険な場所だと知ってたら侵入なんぞしなかったのにぃ! 幽霊のワシでも、弾丸が持つ運動エネルギーと熱エネルギーを大量に食らったらあの世行きじゃ!」



 シゲミとシゲミの祖父は銃弾をかわしながら廊下の突き当たりを右に曲がる。15mほど先に4人の警官が待ち構えていた。



女性警官「止まれ! 止まらなくても撃つけれども!」


シゲミの祖父「いかん! 挟み撃ちにされるぞ!」


シゲミ「ジジ上、公務執行妨害と正当防衛ってどっちが優先されるの?」


シゲミの祖父「知らん! とにかく何とかせぇい!」



 正面の警官たちが銃を構え、発砲する。シゲミは左右に動いて銃弾を避けながら前進し、廊下の壁を走り抜けると、体を回転させながら警官たちの頭に上段蹴りを見舞った。倒れた警官たちを踏みつけ、階段へと向かう。シゲミの祖父もシゲミの後を追った。



シゲミの祖父「ここは地下2階じゃ! 出口があるのは1階!」


シゲミ「もうすぐね」



 階段を駆け上がるシゲミとシゲミの祖父。1階に到着し、廊下を走って受付ロビーに出る。そこには30人近い警官が待機しており、半円状にシゲミたちを包囲した。全員拳銃を構えている。



男性警官「ここまでだ……市目鯖警察署の規則に従い、貴様らをこの場で射殺する」


シゲミ「まずいわね」


シゲミの祖父「イヤじゃイヤじゃ! あの世になど行きたくない!」



 警官たちが引き金に指をかける。



???「全員銃を下ろせ」



 野太い男性の声がロビーに響いた。警官たちをかき分け、制服を着た年配の男性が姿を表す。



男性「爆弾魔シゲミ、キミは釈放だ」


シゲミ「……えっ?」


男性「誤認逮捕だった。キミは何も法律を犯していない。大変申し訳ないことをした」



 男性は頭を下げる。顔を見合わせるシゲミとシゲミの祖父。周りの警官たちも突然の出来事で動揺している。男性は頭を上げた。



男性「すぐ家に帰れるよう手配しよう。そこのキミ、彼女の荷物を全て返却し、パトカーを出せ。2人をお送りしろ」



 指名された、警察帽を被った男性警官は「はっ」と敬礼すると、シゲミとシゲミの祖父を地下へ行くよう促した。



−−−−−−−−−−



PM 3:56

 男性警官が運転するパトカーの後部座席に座るシゲミとシゲミの祖父。シゲミが警官に向かって口を開く。



シゲミ「助かったわ、()()



 運転席の警官が警察帽を脱ぎ、助手席に置く。その正体は警官に(ふん)したシゲミの父・ゴウシロウだった。



シゲミの祖父「ゴ、ゴウシロウくん!? キミも来ておったのかね? 全然気づかんかったわ……」


ゴウシロウ「ええ。娘のピンチですから」


シゲミ「どうやって誤認逮捕ということにしたの?」


ゴウシロウ「情報操作はパパの得意分野だ。警察とは、所轄の警察署よりはるか上層部とつながりがある。その人たちに口を利いてもらえば、ちょちょいのちょいだよ」


シゲミ「何だかものすごく悪いことをしている気がする」


ゴウシロウ「心配ない。警察は私たち家族の事情をよくわかっている。もし私たちが活動できなくなれば怪異がはびこり、一般人に及ぶ被害は甚大。だからよほど危険なことをしない限り黙認してくれるんだよ」


シゲミ「はぁそうですか」


シゲミの祖父「何はともあれ助かったぞゴウシロウくん。寿命が縮んだわい」



−−−−−−−−−−



2日後 AM 8:11

 昇降口で鼻歌を歌いながら上履きを履くフミヤ。その右肩が背後から2回叩かれた。フミヤが振り向くと、目の前にシゲミが立っていた。



シゲミ「おはよう、フミヤくん」


フミヤ「シシシシゲシゲシゲミィィィッ!?」



 フミヤは驚き、下駄箱に背中を貼りつける。



シゲミ「釈放されちゃった」


フミヤ「あ、ありえないぃ……お前は間違いなく捕まったはず……証拠だってあった……どうやって!?」


シゲミ「残念無念また来週〜」



 シゲミはスキップしながらその場を後にする。フミヤは白目を剥き、腰を抜かした。



<シゲミ、逮捕される-完->

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