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神へのインタビュー③

 オカルト雑誌『パラノーマル・スクープ』編集長宛てに、ライターの筆見(ふでみ) サツキから「喉具呂(のどぐろ)島民の失踪事件について」という件名のメールが届いた。メールには音声データが添付されていた。以下はその内容である。



−−−−−−−−−−



サツキ「よろしくお願いします」


ポコポコ「よろしゅう」


サツキ「まずはアナタについて伺わせてください。お名前や職業など」


ポコポコ「名前はポコポコ。職業は……邪神かな」


サツキ「邪神?」


ポコポコ「3000年くらい前、オレは人々から神と崇められてたんや。でも悪いことばっかやってたからなぁ。いつの間にやら、ただの神やなくて邪神って呼ばれるようになってもうて。その点はちょっと不本意や」


サツキ「3000年前の神……ということは、アナタは人間ではないのですか?」


ポコポコ「ちゃうな。人間を超えた存在や。けど、ちょっとこのあたりややこしくてな。オレはポコポコっていう存在の劣化コピーやねん。ポコポコ本体は間違いなく人智を超えた邪神やった。そのポコポコを模して描かれた絵の中から具現化したのがオレやねん」


サツキ「……理解が追いついていないのですが、絵から具現化したというのは……?」


ポコポコ「絵が人間の想像力を吸収して、今のオレが形作られた。あくまで人間が想像できる範囲内でのオレやから、本体のスペックには遠く及んどらん。だから劣化コピー。まぁこの話はもうええやろ。喉具呂島とは直接関係のないことやから」


サツキ「わかりました。では、喉具呂島民の失踪事件についてポコポコさんがご存じのことを教えてください」


ポコポコ「ちょい待って! オレら友達やん! なんで『さん』つけて距離おくねん! もっとフレンドリーにいこうや! オレも『サツキちゃん』って呼ぶから、サツキちゃんはオレのことを『ポコポコくん』って呼んでくれや! 『ポコちゃん』でもええで。あと敬語もやめようや」


サツキ「……では『ポコポコくん』と呼びます……呼ぶね」


ポコポコ「そう。もっと距離縮めていこうや」


サツキ「島民の失踪事件について、ポコポコくんが知ってることを教えてくれる?」


ポコポコ「知ってるも何も、オレが全員喰ったで。せっかく移住してきたオレのことを歓迎もせんと殺そうとしてきたんでな。ムカついたから喰ってもうた」


サツキ「喰ったというのは?」


ポコポコ「言葉通りの意味や。丸呑みにしてやったで。今はみんなオレの腹の中や」


サツキ「ということは、ポコポコくんが島民失踪事件を引き起こした張本人?」


ポコポコ「せやで。あっ、そこにあるビール取ってくれるかぁ?」



 ゴソゴソという雑音とビールの缶を机の上に置いたと思われる音



ポコポコ「ありがとう。まぁ信じてくれへんでもええけど、数百人いた島の人間が全員消える理由なんて他に思いつくかぁ?」


サツキ「ちまたでは島民同士の殺し合いが起きたとか、台風から避難するために島から離れたとかいう説もあるけど」


ポコポコ「両方ともデマや。真相は何てことない、オレという邪神が島民をメシにした。そんだけ」



 10秒の沈黙



サツキ「この島を標的にした理由は?」


ポコポコ「特にないなぁ。東京から海を南下して、最初に着いた島が喉具呂島やったってだけ」


サツキ「場所はどこでも良かった?」


ポコポコ「どこでもええわけちゃうで。都会はうるさいから静かな離島に暮らしたかったんや」


サツキ「……ポコポコくんが食べた島民たちに対して思うことは?」


ポコポコ「う〜ん、そうやなぁ……特にないけど、強いて言うなら、『あんま旨くなかった』」


サツキ「……わかった。ありがとう。これからもしばらくポコポコくんに取材させてもらうけど、この音声データは一度出版社に送るつもり。もしかしたら雑誌にポコポコくんと私のやりとりが載って、何千人もの読者の目に留まるかもしれない」


ポコポコ「マジで!? そんな大勢に見てもらえるん!?」


サツキ「読者に対して伝えたいことは?」


ポコポコ「読者のみなさ〜ん! 現在オレは友達大募集中で〜す! 一緒にアルコールパーティしましょうや! 喉具呂島にはオレとサツキちゃんしかおらんくてちょっと寂しいから、どんどん移住して来てや〜! 海の幸と旨い酒でめちゃくちゃもてなすでぇ!」



−−−−−−−−−−



 ここまでが音声データとして記録されていた。



<神へのインタビュー-完->

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