表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/174

説教ジジイ

PM 9:48

 風呂から上がったシゲミは、上下ピンク色のスウェットを着て自室に戻ってきた。8畳ほどの広さで、ベッド、本棚、学習机が置かれている。


 シゲミは学習机の上に置いていたスクールバッグの中に手を入れ、手榴弾を1つ取り出す。海外から仕入れた、爆発とともに炎をまき散らす焼夷(しょうい)手榴弾。ほくそ笑むシゲミ。



???「なんという危険な得物(えもの)を使おうとしとるんじゃ! シゲミ! 周りへの被害を考えんか!」



 部屋の中に年老いた男性のしゃがれた声が響く。しかし部屋にはシゲミ以外に誰もいない。



???「ここ最近のお前の仕事ぶりを見てきたが、言っておくべきことが山ほどある!正座せい!」



部屋の中心の空間が揺らぎ、死装束を着た1人の老爺が現れた。体がうっすらと透けている。



シゲミ「ジジ上!?」


シゲミの祖父「ええから正座せい!」



 シゲミは焼夷手榴弾を机の上に置き、ピンク色のカーペットの上に正座する。



シゲミの祖父「ただでさえ爆弾で人を巻き込んどるのに、なにを焼夷手榴弾なんぞ使おうとしとる! 火事になってもっと大勢が巻き込まれるじゃろうが!」


シゲミ「炎の熱エネルギーで怪異を除霊できるか試したくて……」


シゲミの祖父「絶対にやってはいかん! トモミにも言われたじゃろう? 余計な破壊はするなと! 焼夷手榴弾なんてむしろ余計な破壊をするためのもんじゃ!」


シゲミ「……でもババ上はステルス爆撃機で辺り構わず吹き飛ばすじゃん」


シゲミの祖父「お前にはハルミのようになってほしくないから口酸っぱく言っとる! アイツはイカれ切っててもう更生不可能じゃ! お前ならまだ間に合う!」


シゲミ「……はいはいわかりました」


シゲミの祖父「それから中途半端な仕事が増えとるのぉ! 怪異を駆除し切れず逃げたり、学校の同級生や先生からは報酬をとらなかったり!」


シゲミ「ジジ上にはわからない私なりのポリシーがあるの。っていうかジジ上、見てたの?」


シゲミの祖父「姿を隠して監視しとった……それも祖父としての務めよ! とにかくこれからは仕事ぶりを見直せ! 駆除しないなら怪異には手を出さない! 誰からでも報酬は取る! これを徹底しろ!」


シゲミ「……はい」


シゲミの祖父「あと、『(りょう)』とかいう組織からの依頼で大学教授を攫う仕事、やっとったな?」


シゲミ「やったけど」


シゲミの祖父「やっちゃあかんじゃろ! あんなもん完全に闇バイトじゃがな!」


シゲミ「しっ! あまり大きな声で言わないで! 私も昨今厳重に警戒されてるいかがわしい仕事だとわかりながら、誰にも知られないように遂行したんだから」


シゲミの祖父「いかん! 仕事の選び方も見直すのじゃ! 金になれば何でもやっていいわけではない! わかったか!?」


シゲミ「……説教サノバ●ッチジジイ」


シゲミの祖父「なんじゃと? 今ワシのことを悪く言ったか? おぉん?」


シゲミ「別に何も」


シゲミの祖父「そうか気のせいじゃったか、最近耳が遠くて……なんて言うと思ったか!? ちゃんとワシの鼓膜がキャッチしとったわ! 何がサノバ●ッチじゃ! お前それ、ワシの母さん、つまりお前のひいばあさんまでディスっとることになるぞ!」


シゲミ「ジジ上をこんな面倒くさいヤツに育てた大ババ上もどうかしてる」


シゲミの祖父「そうかそうか……相当ひねくれとるようじゃのう。反抗期か? シゲミ……そんなヤツにはいつものお仕置きをせんとな」



 シゲミの表情が引きつる。



シゲミ「それだけは……謝るからそれだけは勘弁して!」


シゲミの祖父「絶対に(くつがえ)さん! お前の口座の金を90%引き出し、ワシの遊ぶ金にする!」


シゲミ「いや、そ、それだけは……これからは働き方も改善するから!」


シゲミ「ダメじゃ! お前の金でキャバクラに行きまくる! シャンパン500本入れてもお釣りがくるくらいの貯金、あるんじゃろう? 知っとるぞ。人の金で行くキャバクラがこの世で一番楽しいんじゃ!」


シゲミ「本当にやめて! これ以上やるとジジ上、もっと家族から嫌われちゃうわよ! すでに『死んでもまだ家に棲み着いてる、亡霊寄生虫ジジイ』って家族のみんなから言われてるのに! これ以上孫に嫌がらせしたら……」


シゲミの祖父「ワシのためを思うなら、代わりに反省文を書けぇい! 12万字じゃ! もちろん全部手書き! ワシに悪口を言って申し訳ないという気持ちをしっかり込めて書くのじゃ!」



 この後シゲミは、祖父に見張られながら翌日の夜11時まで反省文を原稿用紙に書き続けた。



<説教ジジイ-完->

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ