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VS ポコポコ様 Round3⑤

PM 0:21

 逃げ惑う人々で混乱する商店街。自衛隊の救援が到着しておらず、多くの一般市民が残されていた。


 そこにマンティノイドの軍勢が現れ、人々を斬り殺していく。ものの数分で、1000人以上の人間が肉塊と化し、商店街はゴーストタウンになった。


 軍勢を率いていたリーダー・リュウジが、近くのマンティノイドたちに「進むぞ」と指示を出した。その直後、ある異変に気づく。人々を斬っている間は気にも留めなかったが、雨も降っていないのに地面が濡れている。


 そして頭上から女性の声が響いた。



トモミ「身体能力は高いものの、嗅覚はイマイチのようですね」



 声がした方向へ顔を向けるリュウジ。すぐ背後にある電柱のてっぺんに、シゲミの母・トモミが右手にスピリタスの瓶を、左手にジッポライターを持ってしゃがんでいる。



リュウジ「何者だ?」



 電柱を蹴って、真っ直ぐ上に跳躍するトモミ。空中でスピリタスの瓶を唇につけ、中身を口に含む。左手に持ったジッポライターに火をつけ宙に投げると、酒を吹きかけるかけた。


 ライターの火が酒に燃え移り、無数の火の粉となって地面に落下。人混みに紛れながらトモミが撒いていたガソリンに引火し、辺り一面が炎の海と化した。炎はリュウジたちマンティノイドの足から、全身を包み込む。



リュウジ「おわぁぁぁぁっ!」



 電柱の頂上に着地するトモミ。炎の海は、トモミがいる地点から周囲1kmほどに広がる。豪炎はリュウジが率いていたマンティノイドの軍勢約170体を全て焼き尽くした。



トモミ「いささか火力が強すぎましたか……しかし敵も倒せて、亡くなった方々の火葬もできて、一石二鳥ですね」



−−−−−−−−−−



PM 0:39

 線路の上でマンティノイドと戦うキリミとサシミ。キリミは、正面にいるマンティノイドが振るった右手をバック宙でかわし、着地すると同時に距離を詰める。そしてコンバットナイフをマンティノイドの右目に突き刺した。大きな目の中に、ナイフと一緒にキリミの腕も深々と侵入する。


 キリミは腕をマンティノイドの頭の中心に向かって動かし、ナイフの刃先を脳にまで到達させた。電池が切れたかのように力を失い、立っていられなくなるマンティノイド。その体を蹴って、キリミは自分の腕を目から引き抜く。



キリミ「何体()った?」



 背後で戦うサシミに尋ねる。サシミは戦っていたマンティノイドの両目に仕込み針を大量に投げつけ、絶命させると「これで9体目」と答えた。眉をひそめるキリミ。



キリミ「1体分アタシの負けか! くそっ、もうちょいで敵が尽きちまう!」



 キリミとサシミの周りには、マンティノイドの死骸の山ができつつあった。25体いたマンティノイドは、残り8体。敵の殲滅までもう少しのところまできていた。


 しかし、先ほどのおよそ倍、50体近いマンティノイドが背中の透明な翼を羽ばたかせて空から飛来する。



キリミ「……競争は長引きそうだな。短距離走だと思ってたが、いつの間にやらマラソンになってやがる」


サシミ「お姉ちゃん、無理なら休んでていいよ」


キリミ「へっ、あと1体多かったら厳しかったが、この程度でへばるキリミ様じゃねーぜ」



 強がるキリミとサシミ。だが体の至る所に傷を負い、出血している。長期戦になれば一層不利になることは、本人たちにも明白だった。


 キリミはコンバットナイフを、サシミは仕込み針を構え、マンティノイドたちの一斉攻撃に備える。


 そのとき、キリミとサシミが左耳に装着していたハンズフリーイヤホンから、鬼河原(おにがわら) モロの声が流れた。



モロ「キリミさん、サシミさん、5秒後に今いるレールの上から離れてください」



 目を大きく開き、顔を見合わせるキリミとサシミ。2人の隙を突き、マンティノイドたちが翼を羽ばたかせながら、正面より襲いかかる。モロの指示通り、キリミとサシミはそれぞれ左右にジャンプした。2人の背後から、電車が猛スピードで到来。マンティノイドたちと衝突し、嵐を突っ切るかのように群れの中を進んだ。


 キリミとサシミを襲っていた50体を超えるマンティノイドのおよそ7割を電車がひき殺す。電車の動きが完全に停止すると、運転席の扉が開き、トモミが降車した。


 トモミは後部車両に沿って走る。5両目と6両目の間に差し掛かり、隣の線路の上で片膝をついているサシミを発見。右脇に抱える。頭を下げながら車両の下を素早く通り抜け反対側に出た。うつ伏せでお尻を上げたまま倒れているキリミを左脇に抱え、線路のすぐ横に立っている民家の2階の屋根に飛び上がる。そして他の家の屋根を伝って一目散に電車から離れた。



サシミ「ママ!?」


キリミ「お袋!? 何でここに!?」


トモミ「モロさんから戦況を伝えてもらい、アナタたちが苦戦していると聞いたので」



 生き残ったマンティノイドが滑空し、車両の上に着地。背を向けて逃走するトモミたちを眺める。



キリミ「お袋、戻れ! 仕留めきれてねぇ!」


サシミ「私たち、まだ戦える! 逃げる必要なんてない!」


トモミ「逃げる? 違いますよ。私たちは逃げているのではなく、避難しているのです」


キリミ「どう違うんだよ!?」



 トモミは右手の中に握っていた、円筒形のデバイスのスイッチを親指で押す。1秒後、トモミが乗ってきた電車の車両10台全ての窓から炎が吹き出し、爆破した。車両に乗っていたマンティノイドたちは爆炎に飲み込まれる。


 爆発音を聞き、2階建てアパートの屋根の上で足を止めるトモミ。キリミとサシミを抱えたまま。燃え上がる電車のほうに目をやった。



キリミ「おいマジかよ」


サシミ「……」



 トモミはキリミとサシミを下ろすと、中腰になって2人と視線の高さを合わせる。



トモミ「キリミ、サシミ、合わせて敵を何体倒しましたか?」



キリミ「アタシが18体でぇ」


サシミ「お姉ちゃん、盛ってる」


キリミ「……たぶんアタシら合わせて20体も倒せてねぇ」


トモミ「まだまだ鍛錬が必要ですね。これからは私と一緒にマンティノイドを仕留めて回ります。戦い方をよく見ておきなさい」

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