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VS ポコポコ様 Round3①

AM 11:31

 自室の全身鏡の前で、ピンクのスウェットからブレザーに着替えるシゲミ。午後に心霊同好会のメンバーと学校で待ち合わせをしている。


 シゲミの部屋の扉を勢い良く開けて入るハルミ。迷彩柄の戦闘服に身を包んでいる。


 シゲミはスカートを履き、ネクタイを締め、ジャケットを着ると、背後にいるハルミのほうを向いた。



シゲミ「ババ上、どうしたの? おめかししちゃって」


ハルミ「敬老会の友達とサバゲーしに行こうと思っとったんじゃが、緊急事態が発生したようでのぉ」


シゲミ「緊急事態って?」


ハルミ「その詳細をこれから聞くところじゃ。シゲミ、リビングに来い。トモミ、キリミ、サシミもおる」



 シゲミの部屋から出るハルミ。その後ろをシゲミが着いていく。階段を下りて1階のリビングへ。


 リビングの中央にあるテーブルの上にノートパソコンが開いた状態で置かれている。その前、横並びで椅子に座るキリミとサシミ。キリミは黒のパーカーを、サシミは対照的な白のパーカーを着ている。下はおそろいのデニム。


 キリミとサシミの後ろに立つトモミ。紺色のワンピースをまとい、胸のあたりで猫又(ねこまた)・キアヌを抱えている。


 シゲミとハルミは、トモミの右隣に立った。そしてキリミとサシミの背中越しにノートパソコンの画面を覗く。Web会議ツールが起動しており、黒い背景の中心、丸いオレンジ色に白い文字で「魎」の字が表示されている。誰かとオンラインで通信中のようだ。


 ハルミが画面に向かって「そろったぞ」と一言。パソコンから若い女性の声が流れる。



???「お時間を取っていただき、ありがとうございます。()()()()()()()()()()()初めまして。私は怪異研究機関『(りょう)』創設者の鬼河原(おにがわら) モロと申します」


シゲミ「『魎』の創設者……アナタが?」


モロ「シゲミさん、『魎』の職員が何度もお世話になったと聞いています」


シゲミ「どうも。声の感じからして、かなり若いわね。私とそう変わらないんじゃないかしら? 代理人とかではなくて?」



 椅子に座っていたキリミが後ろを向き、右手の人差し指を立てて左右に振りながら「ちっちっちっちっ」と呟く。



キリミ「シゲミ(ねぇ)、甘いぜ。この世には還暦超えても幼児の声が出せる人もいるんだ。声だけじゃ年齢なんてわからねーよ」


モロ「たしかに。ですがシゲミさんの予想どおり、私は18歳の若輩者です。組織を運営しようにも、経験も知識も乏しい。だから『魎』の運営は元起業家を理事として雇い、彼らにほぼ全て任せていました」


シゲミ「だとしてもまだ納得できない部分があるわ。『魎』を設立、運営する資金はどうやって捻出したの? 『魎』には1000人の職員がいて、各地に支社があると聞いているわ。莫大な費用がかかるはず」


モロ「お金は私の祖父が残した遺産で工面しておりました。祖父は生前、あらゆる企業の株や、暗号通貨を保有してまして。死後もなお利益を生み出し続けているのです。放っておくと使えきれないほど増えてしまう……だから()()()()()を継ぎ、怪異の研究および発生の抑止を目的とする『魎』を設立しました」


シゲミ「お祖父様の意思……」



 キアヌのお腹をなでながら、トモミが口を開く。



トモミ「私、ちんぷんかんぷんなのですが、みんなは『魎』って組織のことを知っているの? 私だけ仲間はずれ?」


サシミ「そっか。ママは『魎』からの仕事、受けたことがないんだっけ」


キリミ「お袋は報酬額を吊り上げすぎなんだよ。だから依頼が全然来ないんだ」


トモミ「仕方ないじゃないですか。家事と仕事、両立するは大変なのですから。少ない仕事量で効率良く稼がないと」


ハルミ「無駄口はそこまでにせい。モロさん、アタシャらに連絡してきた理由、聞かせてくれるか? 緊急事態なんじゃろう?」



 5秒ほど間が空き、モロが話し出す。



モロ「今朝、『魎』本部が消滅しました。原因は収容していた邪神・ポコポコの脱走です。本部にいた職員も全滅。現在ポコポコは破壊を繰り返しながら、本部ビルがあった東京都西部から23区方面へ移動しつつあります。皆様にはポコポコを駆除し、これ以上の破壊を止めていただきたいのです」


ハルミ「本部の消滅にポコポコの脱走……何があったんじゃ?」


モロ「マンティノイドという、カマキリと人間を配合した怪異により本部が襲撃されました。彼らの狙いは収容中のポコポコを解放することだったようです。ポコポコは『魎』で収容中だった他の怪異を食らい、力をつけ、破壊活動を開始。現状、自衛隊が出動して足止めをしていますが、そう長く()ちそうにありません」



 シゲミは、ツバサが危惧していたとおりの状況に陥っていることを察する。そしてポコポコと戦ったからこそわかる、事態の深刻さも。ただでさえ超人的な力を持っていたポコポコがパワーアップして暴れている。放置しておけば東京だけでなく日本全体、やがては世界中に被害が拡大することは容易に想像がついた。

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