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攻撃開始⑤

 リオが握るチェーンソーがドッドッドッドッと、鼓動のようにエンジン音を鳴らす。


 血まみれのリオを見て、数多の人間を殺してきたことを察するポコポコ。そして、ポコポコはリオが着ているブレザーに見覚えがあった。



ポコポコ「ああ、その制服、爆弾魔シゲミと同じやなぁ」


リオ「……知ってんのか?」


ポコポコ「オレがこんなところに捕まってたんは、シゲミにやられたからや。お嬢ちゃんのおかげで思い出したわ。シゲミに借りを返さなアカン」


リオ「アイツはアタシの獲物だ。横取りしようってんなら……斬るぜ」


ポコポコ「……お嬢ちゃんもそうやし、シゲミもそうやし、オタクの学校は血の気の多いヤツばかり育てるんか? まったくよぉ……」



 小さくため息を吐き、額と眉間に山脈のように深いしわを寄せてリオをにらむポコポコ。



ポコポコ「誰に楯突いとると思っとんねんワレェ」



 ポコポコは右腕を床と水平になるよう上げる。その直後、背後にいたリュウジが「お待ちください」と声を発した。



リュウジ「ポコポコ様、彼女に確認したいことがあります」


ポコポコ「何や、連絡先でも聞くんか? 悪いがこの嬢ちゃんは地獄に送るから、連絡できなくなるで」


リュウジ「違います」



 リュウジは数歩前進し、ポコポコより前に出る。そして真っ直ぐにリオを見つめ、口を開いた。



リュウジ「上の階で暴れていたという、チェーンソーを持った女子高生だな? マンティノイド(俺の仲間)がお前の始末に向かったはずだが……遭わなかったか?」



 リュウジに向かって微笑むリオ。



リオ「テメーと同じようなツラしたヤツを7匹ぶった斬ってやったよ。他に何匹いるんだ? 全員バラバラにしてハトの餌にしてやる」


リュウジ「……殺す」



 怒りに飲まれ、リオに近づこうとするリュウジ。その左肩を、後ろからポコポコがつかんで止める。



ポコポコ「待て。友達が殺されて腹が立つ気持ちは理解できる。せやけど冷静になれや」


リュウジ「しかし」


ポコポコ「あの嬢ちゃん、血まみれやが体に傷が1つもあらへん。つまりお前の仲間を全員無傷で殺したっちゅうことや。仲間7体とお前1体、どっちのほうが強い? お前なら、嬢ちゃんに勝てるんか?」


リュウジ「それは……」


ポコポコ「オレなら、お前らマンティノイドが何万匹集まっても勝てる。だから樹騎矢(じゅきや)を連れて下がっとけ」


リュウジ「……」



 ポコポコに従い、リオに背を向けるリュウジ。ポコポコの後ろにいる樹騎矢を右脇に抱えて、ロビーの端へ移動した。


 再びにらみ合うポコポコとリオ。



リオ「正直、カマキリ野郎どもは手応えがなくて不満だったんだ。もっと大物を狩りたいと思ってたところだぜ」


ポコポコ「なら、オレはピッタリな獲物やな。狩れればやけど」



 右腕を上げ、手のひらをリオに見せつけるポコポコ。直後、手のひらから黒い邪気がリオを目がけ一直線に放出された。リオは迫り来る大量の邪気をチェーンソーの刃で受け止める。邪気はリオの眼前で左右に割れた。


 邪気とチェーンソーの刃が擦れ合い、火花が散る。リオが少しでも動けば、瞬く間に邪気に飲まれてしまう。ポコポコの手のひらから注がれる邪気の光線を防ぐことしかできない。



リオ「くっ……」


ポコポコ「オレの必殺・邪気レーザーをぶった斬るとは、可愛い顔してやるなぁ。ほんなら、出力をもうちょい高めよか」



 ポコポコの手から放たれる邪気の光線が倍ほどの太さになる。邪気はリオの全身を包み込み、彼方へと吹き飛ばした。


 邪気の光線が消失する。「(りょう)」本部ビルの壁面に直径10mほどの風穴を空け、数km先まで長く伸びるクレーターを残した。リオの姿はない。


 右腕を下げるポコポコ。



ポコポコ「怪異を食いまくったおかげやな。今くらいの邪気レーザーならあと500万回撃てるわ」



 右脇に樹騎矢を抱えたリュウジがポコポコに近寄る。



リュウジ「ポコポコ様」


ポコポコ「わかっとるわ。早速人類の殲滅にかかる。まずは日本を潰し、世界進出といこうや」


リュウジ「樹騎矢を避難させたら、私とマンティノイドの戦闘員も加勢します」


ポコポコ「おう。せいぜい巻き込まれんようにな。とりあえず樹騎矢を任せるで」



 うなずき、駆け足でビルの入口へ向かうリュウジ。脇に抱えられたまま、樹騎矢は大声でポコポコに「ご武運を!」と叫んだ。


 ロビーに残ったポコポコは首を左右に倒し、頸椎(けいつい)をポキポキと鳴らす。



ポコポコ「サツキちゃん、待っとれよ。友達ぎょーさん連れて会いに行くからなぁ」



−−−−−−−−−−



「魎」本部ビル 屋上

 ヘリコプターに乗り込む5人の理事たち。機体後方の座席に座り、扉を閉める。



理事A「すぐに離陸しろ」



 理事の1人が操縦士の男性に指示を出した。ヘリコプターが浮上する。



理事B「リオ the チェーンソーも『百鬼(ひゃっき)』も何をやっている!? 高い金を払っているというのに!」


理事C「あのポコポコが脱走したのだ。仕方あるまい」


理事D「総理大臣に連絡し、自衛隊に本部を攻撃させる。通常兵器がポコポコにどこまで通用するかわからんが、有効な対策方法を見つけるまでの時間稼ぎくらいにはなるだろう」


理事E「政府とのコネクションを作っておいた甲斐があったな」



 ヘリコプターが屋上から100mほどの高さまで飛び上がったとき、「魎」本部ビルが崩落。ビルの内側から巨大な黒色の竜巻が発生し、ヘリコプターを巻き込んで雲の遙か上まで高く伸びる。


 暴風で制御不能に陥ったヘリコプターは横回転しながら地面に墜落し、爆散した。



 竜巻は1分ほどで消失。その中心、上空1000mの高さにポコポコが滞空している。ポコポコは両腕を斜めに開いた。左右の手のひらから邪気の光線が放たれ、地表に着弾。ポコポコは左腕を前に、右腕を後ろに回す。その動きに合わせて光線も軌道を変え、周囲のビル群や集合住宅を消し飛ばした。



<攻撃開始-完->

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