表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/174

攻撃開始④

 サツキが殺されたという樹騎矢(じゅきや)の言葉を聞き、冷たい表情で立ち上がるポコポコ。



ポコポコ「ほんまなんやろな? オレは、サツキちゃんは治療中だと聞いとったが」


樹騎矢「真実です。この目で見ましたから。『(りょう)』の連中はポコポコ様にウソをついていたのだと思います」


ポコポコ「……」



 ポコポコは体を、背後にいるリュウジのほうへ向ける。



ポコポコ「カマキリ男……リュウジっつったな? 人類殲滅のためにオレの力が必要なんやろ?」


リュウジ「はい」


ポコポコ「答え、保留にしとったが、力を貸したる。サツキちゃんがいないなら、オレがこの世に生きてる理由はもうない。人間どもを何十億人でも道連れにしたるわ」


樹騎矢「僕も、ポコポコ様とご一緒させてください」


ポコポコ「ええんか? 樹騎矢。お前も死ぬことになるかもしれんぞ?」


樹騎矢「ポコポコ様もサツキさんもいない世界なんて、考えられません」


ポコポコ「……ありがとな。気持ちはうれしいが、お前は顔が人間ってだけで他はただの犬と変わらへん。いや犬の中でも弱小や。どっかに隠れとけ」



 うつむく樹騎矢。リュウジが右膝を床につき、右手で樹騎矢の頭をなでる。



リュウジ「樹騎矢とやら、後ほど我々マンティノイドの極秘シェルターに案内する。そこにいれば安全だろう」


樹騎矢「……どうも」



 樹騎矢から手を離し、ポコポコに顔を向けるリュウジ。



リュウジ「我々マンティノイドの戦闘員がともに戦います。ポコポコ様の邪魔にはなりません」


ポコポコ「さよか」


リュウジ「ちなみに、ポコポコ様が人類滅亡を決めるほど、サツキという方は大切な人間だったのでしょうか?」


ポコポコ「……親友や」



−−−−−−−−−−



怪異研究機関「魎」本部ビル 地上8階 廊下

 体を回転させ、チェーンソーを真横に一周させるリオ。前方にいたイリナと後方にいたケンヤの胴体をチェーンソーの刃が通過し、上半身と下半身に分断した。傷口から白い体液がブシュゥッと音を立てて噴き出す。


 床に崩れ落ちたイリナとケンヤ。リオはそれぞれの頭にチェーンソーを突き刺し、息の根を止めた。



リオ「カマキリが人間サイズになったら地上最強って説があるが……再考の必要ありだぜ」



−−−−−−−−−−



「魎」本部ビル 地下11階

 収容室に隔離されていた、細くて白い体をした人型の怪異・くねくねを、掃除機で吸い込むかのように一飲みにするポコポコ。樹騎矢とリュウジを伴い、収容室から外の廊下に出る。



リュウジ「ここより上階に怪異はおりません。今し方食された怪異が最後かと」


ポコポコ「ああ、もう満足や。だいぶ腹一杯で、力が戻ってきたわ。いや戻ったどころか、発情期みたいに元気いっぱいやで!」



 ポコポコの足下からドス黒い霧が立ちこめる。非常に濃い邪気。ポコポコと同じく怪異である樹騎矢とリュウジだから(そば)にいても体に害はないが、人間なら近づいただけで即死する、猛毒そのものである。



樹騎矢「ポコポコ様! 喉具呂(のどぐろ)島にいたときより格段に邪気の量が増えてますねぇ!」


ポコポコ「邪気を持つ怪異を食うと、オレの体内で保有できる邪気の絶対量が大幅に増える……300体も食ったんや。オレは今までの10倍、いや27倍は強くなっとるはずや!」


樹騎矢「どういう計算なのかわかりませんが、さすがです!」



 盛り上がるポコポコと樹騎矢。表情や言葉には出していないが、リュウジも歓喜していた。ポコポコが力を増していることは、放つ邪気の量から明らか。これだけの力があれば、人類に対抗する強力な兵器になることを確信できたからだ。



ポコポコ「でもまだちょっと食い足りひんのよな。軽食が欲しいわ」


樹騎矢「その気持ちわかります! 別腹ってやつですよね! 味を変えて、怪異以外のものも食べたらいかがでしょう?」


ポコポコ「せやなぁ。なんかさっぱりしたもんが……いって」



 ポコポコの左側頭部に銃弾が当たる。衝撃で頭が右に倒れたが、怪我は負っていない。


 銃弾が飛んできた方向を見るポコポコ、樹騎矢、リュウジ。30mほど先に、黒い戦闘服に身を包み、三八式歩兵銃さんぱちしきほへいじゅうを構える特殊部隊員・鷹見沢(たかみざわ)が立っていた。



ポコポコ「なんだぁ?」


樹騎矢「アイツ……ポコポコ様! アイツです! サツキさんを撃った人間! 間違いありません!」



 鷹見沢は排莢(はいきょう)し、次弾を発射。ポコポコの眉間を目がけて弾丸が飛ぶ。ポコポコは左手の人差し指と中指で弾丸を挟み、受け止めた。



ポコポコ「そうか。サツキちゃんを()ったんはアイツか……ええタイミングで来てくれたわ」



−−−−−−−−−−



「魎」本部ビル 1階

 チェーンソーを左肩に担ぎながら階段を下りて来たリオは、広いロビーに出る。「魎」職員の死体が数十体転がっているだけで、生存者は誰もいない。



リオ「もう全員くたばっちまったのか? もっと楽しませてくれや」



 リオから見て右手側、エレベーターが1機起動し、下の階から上がってくる。チェーンソーを両手で握るリオ。



リオ「まだ生きてるやつがいたか……そうこなくちゃ」



 エレベーターは1階で停止し、扉が開く。中からポコポコを先頭に、樹騎矢、リュウジが出てきた。ポコポコは右手で鷹見沢の首を握り、持ち上げている。鷹見沢の両手、両足は根元で引きちぎられており、大量に流血。腹部は縦に切り裂かれ、引きずり出された小腸をポコポコがすすっていた。



鷹見沢「がっ……かはっ……」



 鷹見沢の腸が途中で千切れ、ポコポコの口の中に吸い込まれる。



ポコポコ「人間を生きたまま四肢をもいで食べる『小腸そうめん』。新鮮でさっぱりしてて、軽食に持って来いなんよなぁ」



 かろうじて生きていた鷹見沢の呼吸が止まった。



ポコポコ「あら、死んでしもた。生きているうちに食べるのが美味いのに……ほんならもういらん」



 鷹見沢の体を放り捨てるポコポコ。頭と胴体しか残っていない、マトリョーシカのような鷹見沢の体が硬い床の上を滑った。


 ポコポコの食事を10mほど離れて見ていたリオ。チェーンソーのストラップを引き、エンジンをかける。



リオ「はっは……はーっはっはっはっ! わかる……わかるぜぇ……レベチなヤツが来やがった」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ