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炎に選ばれし者  作者: 雨あられ
1/3

「焰の残影」

~12/7 ~

今日もいつもと変わらない一日が始まったはずだった。でも、あの日から全てが変わった。あの日、大学の図書館で偶然見つけた本が、俺の運命を大きく動かし始めた。


その本は古びていて、ページがぼろぼろになっていた。最初はただの古い本だと思って手に取っただけだったけど、よく見ると、そこには父親、アラストル・ヴァルデスの名前が書かれていて、さらに「選ばれし者」と書かれていた。俺にとってその言葉はまるで謎解きのようだった。なぜなら、父親が何をしていたのか、なぜ死んだのか、そのすべてが謎に包まれているからだ。


そして、ページをめくった瞬間、まるで何かが目覚めるような感覚に襲われた。だんだんとその意味がわかってきた。「選ばれし者」――それは俺が受け継ぐべき力を示していた。父親が遺した力、それを俺が引き継ぐ運命にあったのだと。


その瞬間、突然現れたリリス・アナトリス。名前だけは知っていた。父親と関わりの深い人物だと。だけど、顔を見た瞬間、俺は何か懐かしい感覚を覚えたけど、誰だか思い出せなかった。リリスは冷静に言った。「あなたは選ばれた者、私たちはあなたが覚醒するのを待っていた。」その言葉は驚きの中にも、どこか決定的なものがあった。


リリスが続けた。「あなたの父親、アラストル・ヴァルデスが遺した力は、あなたが受け継ぐべきもの。だが、その力には大きな代償が伴う。」その言葉に、胸が締め付けられる思いだった。父親が残した秘密、それが俺に関わっているのは確かだった。でも、どうしてそんな力を俺に託したのか、そしてその力がどれほど危険なものなのか、全く想像がつかなかった。


リリスの話に耳を傾けていると、何かが変わるのを感じた。力が目覚める。そんな気がした。それと同時に、リリスは俺を父親が最期に向かった場所に導いた。そこがどこだか、どんな場所なのか、何度も夢に見たことがある場所だった。遺跡、その場所に足を踏み入れた瞬間、異常な感覚に襲われた。まるで次元が歪んでいるような、異空間にいるような感じだった。


その遺跡の中で、俺は一人の男と対峙した。彼は俺の父親の後継者として立ち塞がる者だった。目を見開いて、その男の問いを受けた。「ケイ・ヴァルデス、お前はこの力を受け入れる覚悟があるのか?」正直、その瞬間、俺は全く自信がなかった。でも、俺は答えた。「自分の力を受け入れ、真実を知る覚悟がある。」その答えが、何かを動かした。


試練が始まった。空気が一変し、俺の体に異常な熱さが広がった。それは、まるで炎に包まれるような感覚だった。痛みではない。むしろ、その力が全身に広がり、俺を支配しようとしていた。だけど、どうしてもその力を制御できなかった。炎が強くなり、俺の体を焼き尽くしそうになった。けれど、リリスの冷静な声が響いた。「その力を受け入れるんだ、ケイ。お前がそれを使いこなせば、過去の謎も明らかになる。」その言葉を信じ、必死に力を抑えようとした。でも、その力はどんどん強くなり、俺は耐えきれなくなった。


その時、聞こえた。父親の声だ。あの、もう聞いたことのない声。父親の声が、俺の中に響いた。「ケイ、お前はその力を使いこなすことができる。だが、その力はお前だけのものではない。」その瞬間、俺の中で何かが変わった。炎が消え、力を制御できた。それと同時に、俺の体は無傷のままで、全てが元通りになった。


リリスが微笑んだ。「お前は覚醒した、ケイ。でも、これはただの試練に過ぎない。」その言葉に、まだ全てを理解しているわけではない自分がいた。でも、何かが変わったのは確かだった。俺の中に眠っていた力が目覚め、試練を乗り越えた今、次に待つべき未来に立ち向かう準備が整ったのだ。


これから、俺の前に立ちはだかる者たちはただの試練ではない。リリスは言った。「お前がその力を使いこなすためには、戦うことを選ばなければならない。」戦わなければならない。その言葉が頭から離れなかった。だけど、もう怖くはなかった。


これから待ち受ける未来がどれほど厳しくとも、俺はそれを受け入れる覚悟を決めた。そして、どんな敵でも、どんな試練でも乗り越えていこうと思った。


明日から、また新しい一歩を踏み出すんだ。

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