Panic 7. 侵入者を捕まえろ
「じゃあ、ゴレムン!お願いね!」
「分かった!」
その日の夜。
ポワンたちは侵入者を捕まえるために、屋敷の裏の目撃証言のあった森に集まっていた。
「へぇ~~~~!ゴレムンって人間みたいにしゃべれるのね!もっと、『ワカッタ』みたいな機械的な声だと思っていたわ!」
マコリンがゴレムンの音声機能に感心していると、
「そうだよ!『機械の国』の最新機種だもの!」
ポワンが鼻を高くしている。
「それで、ゴレムンのセンサーで侵入者を見つけるのね?」
マコリンの問いに、
「そう!そしてコドランが空から、コビトンが地上から取り囲むの!」
ポワンが作戦を説明した。
「結構、本格的じゃない!...ところで...」
「なに?」
何か言いたそうなマコリンに、ポワンが首を傾げる。
「なんで私まで参加してるのかしら?...夜更かしはお肌に悪いんだけど...」
マコリンは部屋着のワンピースにサンダルで、不愉快そうな顔をしている。
明らかに、捜査に加わるなど、考えてもいなかったのだろう。
その格好がそれを物語っている。
「なんでって...マコリンも一緒じゃなきゃつまんない!」
ポワンが当然のように答える。
ちなみにポワンは、オリヅルンが仕立てた、新しいメイド服を着ている。
胸の形がハッキリ分かるように工夫されたデザインで、スカート部分の丈もとても短い。
それを見たマコリンは、
(オリヅルン、グッジョブ!!...まっ、いいか!...これを見られるなら...)
心の中でそう思いながらも、
「仕方ないわね!特別よ!」
照れているのがバレないように、そっぽを向くと、高飛車に言った。すると、
「わ~~~~い!!一緒に捕まえようね!」
ポワンがうれしそうに、腕に抱きついてくる。
「ちょ、ちょっと!...胸が...」
腕に感じる柔らかい感触に、赤くなるマコリン。
(そういえばポワン、下着はつけてないはず!...つ、つまり...)
マコリンの目がメイド服の裾に釘付けになる。
「ポワン...」
マコリンがポワンの前にしゃがみこむ、
「ダ、ダメだよ!そんなことしたら...見えちゃう...」
するとポワンは、顔を赤くしながら、スカートでそこを隠してしまった。
「ふふふ!服が汚れちゃうわよ!大丈夫!こうしたら見えないから!」
「あん!!」
マコリンがポワンの大事な部分を手で包む。
ポワンは思わず、なまめかしい声を上げた。
「ほら!見えない!」
マコリンが笑いかけると、
「ダ、ダメ!!そんな場所!!...汚いよ~~!」
ポワンは抵抗があるのか、軽く頬を染めると、目で訴えてくる。
「ポワンのなら全然、平気よ!...それとも...私じゃ...イヤ?」
マコリンが少し、目を伏せると、
「そ、そんなことない!!マコリンなら...あっ!」
そこまで口にしたポワンは、自分の言葉の意味に気づき、真っ赤になる。
それを見たマコリンは、
「ふふふ!ポワンの...とっても素敵よ!」
そう言ってにっこり笑った。
「・・・」
「・・・」
しばらくそうしていた二人だったが、
「ポワンの...あっかたい...」
「!!」
マコリンがふと、つぶやいた言葉に、ポワンが頬を染める。
「そ、そ、それは!...マコリンが...」
ポワンは何か言おうとするが、言い訳が思い浮かばないようだ。
見ると、ポワンの顔は紅潮し、興奮しているのが分かった。
「いいのよ!ポワンが良ければ...」
マコリンが安心させるように微笑むと、
「ポワンも...」
ふと、ポワンが口を開く。
「なに?」
マコリンの問いに、
「ポワンもマコリンの、隠してあげたい!!」
ポワンは真っ赤な顔で、マコリンを見つめてきた。
「えっ?!でも...私、下着つけてるし...」
マコリンが戸惑いながら答えると、
「下着?」
それを聞いたポワンは、謎の単語に首を傾げている。
「この世界では、人間は大事なところをこれで守っているのよ!後でポワンにも買ってあげるわね!」
マコリンが優しく『下着』というものを説明してあげると、
「あっ!あの時、はいてた...」
ポワンは向こうの世界でのことを思い出す。
マコリンのスカートをめくると、白い布のようなものであそこを被っていたのだ。
「...見せて!」
「えっ?!」
ポワンが口にした言葉に、マコリンが耳を疑っていると、
「もう一度、見たい!!どんなの?」
ポワンが再び、お願いしてくる。
(ど、どうしよう...自ら下着を見せるなんて...)
マコリンは迷ったが、
(し、下着くらいいいよね!私はポワンのあそこを見ちゃってるわけだし...)
そう思い直すと、小さく答える。
「...いいよ!」
そしてワンピースの裾に手をかけると...
「・・・」
顔を染め、ゆっくりと腰までたくしあげた。
「わぁぁ~~~~~!!」
ポワンの歓声が聞こえる。
「ど、どう?」
マコリンが恥ずかしげに尋ねると、
「とっても可愛い!...もっと近くで見ていい?」
ポワンはそう聞いてくる。
「...うん...」
マコリンが頬を染め、小さくうなずくと、ポワンは顔がくっつきそうなほど近づいてきた。
(やだ!こんな近くで!!)
マコリンは真っ赤になってしまうが、ポワンはまじまじと下着を見つめ始める。
(可愛い!!)
下着のデザインを楽しんでいたポワンだったが、ふとあることに気づく。
(あれ?かすかに感じるこのにおい...もしかしてマコリンの!!)
ポワンの顔が真っ赤になった。そして、
(もっとちゃんと嗅ぎたい!!それに...マコリンのあそこ、見たい!!)
自分の中からそんな欲望が生まれてくる。
(ダ、ダメだよ!そんな...)
一生懸命、その気持ちを否定するポワン。
しかし、一度生まれた感情は、どんどんと増幅され、制御できなくなる。
「マコリン!!」
ポワンは叫ぶように声を上げた。
「どうしたの?何か変なところでも...」
(ま、まさかおしっこの跡とか?!)
マコリンが下着を気にしていると、
「マコリンの下着、脱がせてもいい?!」
ポワンが思い切ったようにお願いしてくる。
「もちろ...え~~~~~~!!」
それの意味するところに、大声を上げるマコリン。
しかしポワンは、
「ポワン、どうしても見たいの!!」
訴えるようにそう言った。
「ポワン...」
真剣なポワンの顔を見続けるマコリン。
(ポワンがこんな真面目にお願いしてくるなんて...)
ポワンのそんな顔は初めてだ。それに勇気を出して言った言葉だというのも十分、伝わった。
(...私の...一番、大事なところ...まだ...誰にも見せてない...でも...ポワンになら...)
マコリンはそんな気分になる。そして、
「...いいよ...」
蚊の鳴くような声で答えた。
「うれしい!!」
ポワンの弾んだ声が聞こえる。
そして、ポワンの手が下着の両横にかけられた。
(!!私!!ついに!!)
マコリンが覚悟を決め、ギュッと目を閉じる。
そしてポワンの手が動き始めた、ちょうどその時!
「見つけた!森の奥の方にいるようだ!」
ゴレムンの声が二人を邪魔した。
「!!」
「!!」
慌てて離れる二人。
「ど、ど、どこにいるのかしら?」
「ゴ、ゴレムン!映してみて!」
マコリンとポワンがどもりながら尋ねると、ゴレムンは胸から光線を出す。
するとマコリンたちの目の前に、ホログラムのような2つの立体的な像が映し出された。
一つは上空から屋敷全体を見た俯瞰図で、侵入者の位置が赤色で、ポワンたちの位置が青色で点滅している。
もう一つは、侵入者の姿が鮮明に映し出されていた。
「あの格好!」
マコリンは侵入者の姿に見覚えがあった。
「うん!盗賊系の職種の冒険者だね!」
ポワンも同意する。
それはファンタジーのゲームなどでよく見る、盗賊の姿、そのものだった。
頭に布を巻き、身軽な格好をしている。手にはナイフのような武器を持っていた。
「もしかして異世界の住人?なんで家に?」
マコリンが首をひねるが、
「とにかく、捕まえよう!聞けば分かるよ!」
ポワンはそう答える。
「そ、そうね!...でもどうやって捕まえるの?」
マコリンの問いに、
「とりあえず、コドランに空から網を落としてもらおうと思うの!上手くいくといいけど...」
少し、気がかりがありそうだが、ポワンが手順を説明した。
「頑張れ!コドラン!」
いつの間にかマコリンも、捕り物劇に夢中になっていた。