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フリージア王国備忘録<特別話>   作者: 天壱
100話記念

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8/144

700.特殊話・配達人は贈った。

第一部と合わせて通算七百話達成記念。


プライドの誕生日、十五才編です。

次回はまた百話で更新させて頂くと思います。


「こちらが次の配達になります。一週間後にはまた新たな配達物があるので、なるべくそれまでにこちらを終えてくれると助かります」


生返事だけ返し、いつものように主から今回の届けた分の代金と新たな書状を受け取る。

配達人をするようになってから暫く経つが、最近は特に暇がねぇ。一週間後と聞けば、また大分近い日に呼び出されたもんだと思う。しかも受け取った書状の宛先を確認すればうんざりと先に息が出た。


「またこの国か……。どうしても返事が欲しいなら国内に忍び込んでやろうか?」

「結構です。気持ちはわかりますが、その国は母上が以前から交流したいと願っている国です。お手数だとは思いますがお願いします。これしか方法はありませんから」

ケッ、と主の返答に吐き捨て、書状の宛先を覗き込もうとするガキ共に宛先だけ見せて懐にしまい込む。

他の国はどうでも良いが、その内の二枚である〝サーシス王国〟と〝チャイネンシス王国〟は一番面倒で無駄骨でしかねぇ。一方的に書状だけ受け取ったら国内にすら入れず門前払いだ。門番が受け取った書状が王族に届いているかも怪しいもんだと思う。


「そういえば主のお誕生日ってもう少しですよね?!おめでとうございます!」

「ケメト!それは次に会ったときに言う言葉でしょ!……で、でも!おめでとうございます!」

「ありがとうケメト、セフェク。何度言われたって嬉しいわ」

俺と主との会話を聞いていたからか、〝一週間後の配達物〟でケメトがすぐに検討がついたように余計な事をいいやがる。うざってぇ。

ケメトの言葉を訂正しながら、自分も続くように頭を下げるセフェクに、主は相変わらずの笑みで言葉を返した。

祝いの言葉なんざ、それこそ毎年聞き飽きるほど聞いているだろうが。主の横に並ぶ王子もさっきまでは不機嫌なツラだったが、ガキ共の祝いの言葉に眼鏡の黒縁を抑えながら肩の力を抜いた。反対隣に控える王女が「楽しみですねっ」と声を跳ねさせる。


「また城下ではお祭りですからっ!是非ケメトもセフェクもヴァルと一緒にいらっしゃって下さいね!」

その前に大量の配達があるってのに簡単に言いやがる。

どうせ一週間後の頼み物も、以前に届けた主の誕生祭への招待状の返事集めあたりだろう。時々無駄にでかい献上品を押しつけてくる王族共に、また何か運ばされることになるんだろうと今から面倒になる。

フリージア王国がバケモンと恐れられる大国の所為もあってか、同盟国や和平国でもフリージアに遜る国はわりと多い。同じ王族でも国によってまた〝上下〟があるんだと、配達人をするようになってから知った。

無駄にでかい高級品は傷をつけるのも禁じられている所為で余計に運ぶのは面倒だった。書状程度なら受け取ってそのまま次の国に行けるが、物を受け取るとそのまま一度フリージアに帰らなけりゃあならなくなる。しかも国外で休めば、わかりやすい金目の物に裏稼業連中が湧いてくる。特殊能力で運ぶ物の重さに制限がないと知ってから、余計にああいう大荷物まで任されるようになった。

考えるだけで全部が面倒になって肩ごと腕を回す。四日後までとなると、取り敢えずさっさとハナズオだけでも済ませちまいてぇ。今から最速で向かえば……と、考えたところで、二人揃って欠伸を零すセフェクとケメトが視界にチラついた。そういえばフリージアに戻ってから宿も取っていないことを思い出す。


「……。王女。ガキ共と遊ぶか?」

「!はい!是非っ」

王女の部屋ならガキ共を転がしておくには丁度良い。

ナイフ投げの誘いに目を輝かせて両手を合わせる王女は、そのままセフェクとケメトへと駆け寄った。行きましょう、とセフェクの手を取ればケメトもそれに続く。主の隣で目を光らせている王子が、また俺に文句でもあるように眼鏡の黒縁を抑えながら眼光を飛ばしてきた。王女が俺達を部屋に招く度にこれだ。主だけじゃなくこっちの王女にもうるせぇガキだ。


「邪魔するぜぇ?王子サマ」

敢えて手を振りながら馬鹿にするように笑ってやれば、目に見えて黒い覇気を零してきた。

それでも王女がしっかりと説得はできているのか、俺達を引き留める命令はなく、ただ覇気を飛ばしてくるだけだった。主も未だにこの時ばかりは間抜けな顔で見返してくる。

王女の部屋へ行く間際、軽く振り返ればちょうど目が合った主が「ヴァル」とこっちに呼びかける。


「今からゆっくりして大丈夫なの?ハナズオは王族の馬車でも十日かかるし、もし今回は回るのが難しいようだったらその二国は次の配達の時にでも……」

「余裕がなけりゃあガキの部屋なんざ上がり込むかよ。なんなら今晩一緒に寝てやっても余裕で回してやるぜ?」

ヘッ、と無駄に気を回す主を鼻で笑い、身体ごと振り返る。

ガキでもそういう言葉の意味は理解できているらしく、唇を結んだまま目を丸くした。

俺からも階段を登ろうとした足を止め、向き直ったまま主に三歩ほど歩み寄る。その途端、今度は王子だけでなく背後に控える近衛兵まで威嚇してきやがった。軽く一瞥してから、また主と目を合わす。


「どうだ主?何なら十六になる前に俺が〝女〟にしてやっても─」

「ふ、ざ、け、る、な!!」

主の代わりに王子が声を荒げる。

ギリギリと歯を食いしばり、黒い覇気から殺気に変わる。距離が開いているから今回は一発入れられずに済んだが、拳を握る手が震えているのを見るとあれでも堪えているつもりらしい。

気付いてるとわからせてやるために敢えてニヤニヤと笑い掛けてやりながら、もう一歩は踏み出さずにゆっくり踵を返す。最近は特に主のこととなるとピリつくから煽りやすくなった。

じゃあ邪魔するぜ、と今度こそ階段に足を掛けて王女の後に続く。先に登っていたケメトに「行きましょう!」と腕を引っ張られ、セフェクが「遅いわよ!!」と甲高い声で怒鳴る。

背中から主の声で「無理はしないで下さいね!!」という声で、振り返らずに手だけ軽く振って返した。


「最初にお茶の準備をしますねっ。その後はまた宜しくお願いします!」

王女の部屋へ入り、最初こそ菓子だの茶だので腹ごしらえを終えた後には早速ナイフ投げへとせがまれる。

当時、初めてだと語る王女は、どうにも妙に腕が良かった。最初教えるようになった時こそ護身用程度のもんで終わると思ったが、王女本人の希望は「敵を確実に倒せるくらいまでお願いしますっ!」だった。

頼まれた時は、けろりとしたツラして実は主の暗殺でも企ててるんじゃねぇかと疑ったが、寧ろその反対だった。

主を守りたいだ、足を引っ張りたくないだと。どう考えても騎士に守られる立場にある王女の考える思考じゃなかった。姉が姉なら妹も妹だとつくづく思った。

主もそうだが、この王女と結婚させられた男が、嫁がナイフ投げなんざできると知った時のツラは少し見てみてぇとも思う。指差して笑える程度の馬鹿面はするだろう。

俺が王女にナイフ投げを教えている間に、セフェクとケメトは思った通り何度か頭で舟をこいだ後に死んだようにソファーにも上がらず床へ転がった。目が覚めてる時は王女の練習を見ていたり勝手に寛いでいるが、最近は王女に慣れたのかここでも平気で寝るようになった。

下級層の泥の上でも寝れるわりに、人の気配に敏感な所為か傍にいる人間は慣れねぇ相手じゃない限り気にする。下級層で石を投げられ続けたガキにはよくあることだ。

それから暫くは王女にナイフ投げをいくつか教え、欠伸を数度零した。もともと筋が良い王女は教えるのにも面倒がない。……非力で体力がないところを抜けばだが。

セフェクがナイフの音に目を覚まして起き上がる頃には、大分息が上がっていたところだった。

汗を滴らせる王女の額を侍女が拭い、「丁度良いので休憩にしましょう」と間に入る。いっそ心配するならナイフ投げ自体止めてやれと思うが、どうにもそこは王女自身が譲らないらしい。俺からも面倒になり「今日はここまでにしろ」と言えば、乱れた息のまま大人しく頷いた。

起きたセフェクと、その声に釣られるようにケメトも目を擦って身体を起こす。朝でもねぇのに「おはよう」「おはようございます」とほざくガキ共はそのまま残っていたテーブルの菓子にまた手を伸ばし始めた。

汗を拭われた王女もそれに返すと、淹れ直されたカップに口を付けて一息いれる。すると、焼き菓子をかじっていたケメトは寝癖のような頭を傾けたまま思いついたように王女へと口を動かした。


「……ティアラは、主が喜ぶ物とかってわかりますか?」


「?お姉様が喜ぶ物、ですか??」

ケメトの言葉に王女がきょとんと目を丸くする。目覚めた途端になにを言いやがる。

王女もそう思ったのか、それとも単に思い当たらないだけか、大きく瞬きを繰り返しながらケメトを見返すと、今度はセフェクが「あっ!」と声を上げた。


「もしかして主の誕生日プレゼント?!ケメト何か考えてるの??」

「!そうなのですかっ!?そういうことでしたら私も相談に乗りますっ……!!」

セフェクの叫びと王女の跳ね返るような笑みに、ケメトが照れたように笑って頭を掻いた。一度視線を落とし、それからまた口を開く。


「主には僕もヴァルもセフェクもお世話になっているから、お祝いしたいんです。ティアラにも贈ったみたいに主にも贈りたいです」

「私も!私も贈りたい!!それに主、私達の誕生日もお祝いしてくれるって言ってたもの!」

照れ笑いを浮かべながら言うケメトに、セフェクも釣られるように手を上げる。

四カ月前の王女の誕生祭にも、ガキ共は配達途中の花を引き千切って贈っていた。花なんざ城にうんざりするほどに飾られてるのにも関わらず大喜びした王女を思い出せば、またこいつは同じような手でいくのかとも考える。壁に寄りかかり、頬杖を突く間もガキ共のはしゃぎ声が耳に響いてくる。


「私もお花がすっごく嬉しかったので、お姉様もお花は大好きですし、きっと喜んで下さると思いますっ。もし別のものが宜しければ、お二人は国外に出ることも多いですし、そこでしか見ない物とかならいかがでしょう?きっと喜ばれると思いますよ」

「そこでしか見ない物って虫とか?」

「あ、この前国境沿いですごく大きなムカデが……」

「⁈い、いえ!生き物以外が良いと思います‼︎‼︎」

せめて蝶で……‼︎と、セフェクとケメトのガキ共の発言に慌てて王女が青い顔で止めに入る。

主は知らねぇが、王女サマは虫が苦手らしい。整頓された建物の中で大事にぬくぬく育てられた王族らしい弱点だ。

下級層にいたセフェクが虫にも慣れているからか、ケメトも女が虫が苦手だという考え自体が頭にない。いっそ今日相談さえしなけりゃあ布袋に虫を詰めたガキ共と受け止った主の面白い顔が見れたと思えば、惜しかった気がする。

王女の必死な制止に首を左右に何度も傾けるセフェクとケメトは、今度は俺に視線を投げてきやがった。ガキや女への贈り物なんざ俺が知るか。

聞かれる前に目で睨み返してやれば、ケメトが瞬きを繰り返した後に「ヴァルは」と口を動かした。


「ヴァルは、主に何を贈るんですか?」

「アァ?……んなもん贈るかよ。何でも持ってる王族サマにやるもんなんざねぇ」

クソガキが。ふざけるんじゃねぇ。

俺達より遥かに良い暮らしで金を持ってるガキ相手になんで俺が金を使ってやらなきゃならねぇんだ。しかも元はと言えば俺達の資金は全部主からのもんだ。主から貰った金で主に返すなんざとんだ間抜けだと腹の底から思う。

セフェクが「だから主の喜ぶものをティアラから聞いてるんでしょ!」と甲高い声で返してくるが、聞こえねぇふりをする。ガキが勝手に贈る分はどうとも思わねぇ。結局俺が受け取っている主からの代金も三人分だ。契約でガキ共の金に手を出すこともできねぇ俺にとっては、その金で二人が何を買おうとどうでも良い。

そのまま王女と三人でクソガキ共が主に何を贈れば良いか相談を始めている間に、今度は俺の方が寝ることにする。適当に話して満足したらさっさと配達に向かえば良い。

何を贈るかだ、どんなのなら喜ぶか、驚くかで頭を悩ますなんざ下らなすぎて反吐が出る。しかも相手は欲しい物は何でも手に入る王族だ。


「くだらねぇ……」


もう話を振るなと意思表示に壁にもたれかかって座り、ガキ共からもわかるように腕を組んで目を閉じる。

後ろ首を掻き、腹から息を吐き出し、舌打ちを二度打った後、王女の「次はどの国にいくのですかっ?」「!そこならっ……」と弾ませる声の中、思考はゆらゆらと睡魔に溶けていった。



……



「ったく……クソガキが。無駄に時間取らせやがって」


シオン王国。

ハナズオ連合王国への配達が終わり、フリージアの同盟国であるそこで次の王族にも配達を済ませた後にだった。

この後は飯でも食って宿でも探すかと思っていた矢先に

、ガキ共に付き合わされる羽目になった。こうなるんだったら次の配達先なんざガキ共に見せるんじゃ無かったとテメェの爪の甘さを呪う。

配達を終えて城から出た途端、ケメトとセフェクに揃って市場より先に行きたい場所があると引き摺られた。しかも道なんざわからねぇくせにただただ引っ張りやがる。結局、クソガキ共の行きたいと吼える場所に俺が引き摺っていくことになった。

ガキ共曰く「主の誕生日祝い」らしい。つまりはあの王女の差し金かと思えば殺意も湧く。しかも到着したらすぐ終わるもんだと思ったら、そのまま小一時間程度酒も飲まずにガキ共に待たされることになった。

こんなに時間を食うんだったら最初から市場で酒でも買ってから来れば良かったと後悔した。しかも俺まで結局巻き添えを食らった。いつもの倍は危なっかしいガキ共に結局最後まで目が離せなかった。


「ごめんなさいヴァル……。でも、こんなに沢山見つかりました!」

「そうよ!ちゃんと無事に主への誕生日祝いを用意できたんだから良いじゃない!」

そう言って見せつけてくる袋の中身に、一瞥だけして舌打ちで返す。

ンなもんゴミと変わりゃあしねぇじゃねぇか、と思うが言葉にするのは諦める。俺にはゴミ以下でも、主はガキ相手にこれでも喜ぶんだろうと嫌でもわかる。どうせ何でも喜ぶならその辺の草でも引っこ抜いて渡しちまえばこんな手間もなかった。

べちゃべちゃと足が重く、汗で全身も重い。セフェクもケメトもピチャピチャと滴らせて歩いては、重そうに主への贈り物を二人で抱えて歩いた。ただでさえ俺より歩幅がない上によろめくから余計に遅くなる。仕方なく手を伸ばし「貸せ」とその布袋を受け取った。


「ありがとうございます!!」

「大事に持ってよ!主への贈り物なんだから!」

「知るか。それより先に服だ。適当に市場で仕入れるぞ」

それから飯だ、と荷袋を抱えた腕で布袋も掲げながら反対の手でケメトを引く。

荷物が増えた上に背の低いケメトに背中を丸めねぇといけねぇ所為で余計に歩きにくくなる。飯も宿も欲しいが、取り敢えずこのへばり付く服のうざったさをなんとかしてぇ。被っていたフードも今は煩わしくなり、上げてそのまま周りからの視線に睨み返して進む。

特殊能力で移動したいが、あまりにも人の目が多すぎる。さっさと服を着替えて飯にして今日は寝ることにする。ハナズオの倍は疲れた。


「あ、ヴァル!!あそこ!あそこで良いんじゃない⁈」

市場に入ってわりとすぐ、服屋は見つかった。

庶民向けというよりも、土産屋のような印象に変な伝統服しかねぇんじゃないかと思ったが、見世物用とは別に普通の服も置いていた。

掘立て小屋のような作りの店の奥に入ろうとすれば、一度止められる。濡れ物の布袋が特にいい顔をされなかった。

仕方なく口頭で今着てるのと同じような服を上から下まで注文した後は店前で持って来られるのを待つ。すぐ向かいの店が果物の店だった所為で、腹を空かせたガキ共が揃ってそっちに目移りする。……めんどくせぇ。


「セフェク、ケメト。先にそこで買ってこい」

懐から数枚だけ金を渡し、向かいの店を顎で指す。

その途端、目を輝かせたガキ共は服のことも忘れて真っ直ぐに目の前の店へ飛び込んでいった。ガキは気味の悪い服よりも腹の方が重要らしい。

向かいの店と列に並ぶガキ共を視界に入れながら舌打ちだけを何度も打つ。店主が服を抱えてきた時も苛立ちで睨みつけてやれば、わかりやすく肩が上下した。

クソが、おせぇ、と腹の中で何度も言いながら渡された服をひったくる。取り敢えず先に上着だけでも脱ぎ捨て、新しく羽織ればやっと気も幾分晴れた。代金を求める店主に懐に入れ直した布袋をもう一度取り出して払おうとした、時。


「…………」

ふと、さっきは気にならなかった陳列棚に目がいく。

棚に並べられているそれに、今までも国を回る度に何度か目にしたことのあるもんだと思う。

別に珍しくもねぇし興味もねぇ。似たようなもんはどの国でも王都に行けば必ずある。だが、買おうと思ったことは一度もない。俺自身、そしてセフェクとケメトも今までの生活で必要と思わなかった物だ。

こんなもんにわざわざ金を出すヤツは馬鹿だと思う。ただ邪魔で面倒なもんにまともな額出すなんざ金の無駄遣いだ。俺だったら悩まず捨てる。だが、……。




「………………。……店主。ついでに()()()もだ」




……



「「主!お誕生日おめでとうございます!!」」


誕生日を迎える四日前。

ジルベール宰相との打ち合わせが少し長引いてしまい、客間で待ってて貰ったヴァル達の元へ向かうと一番にセフェクとケメトが大声で祝ってくれた。

扉を開けた途端の弾けた声と眩しい笑顔に、一瞬息も忘れて目を見開いてしまう。一拍遅れて「ありがとう」の声が出れば、先に客間で待っていたティアラと背後に控えてくれていたステイルも嬉しそうに「良かったですね」と笑ってくれた。ヴァルだけが部屋の壁際で面倒そうに顔を顰めてこっちを睨んでいる。

二人とも前回も配達に行く前に祝ってくれたのに、またこうして祝ってくれるなんて本当に嬉しい。しかも扉を開けた途端だから、サプライズの気分もあって二倍嬉しくなった。


「主、これ僕らからのお祝いです!」

「私達で集めました!ティアラとも相談して決めました!」

えっ私に?!と、思わず声が上がってしまう。

まさかの今回は贈り物付きだ。仲良しのティアラだけじゃなく、まさか私まで祝ってくれるなんて思わなかった。

二人が差しだしてくれたのは、口の縛ってある布袋だった。大きく膨らんだそれは、口のところの紐は可愛らしくリボンで結わいてある。どこかで見たことがあるリボンだなと思えば、ティアラが今日つけていたリボンだ。

もしかして、と顔を向ければ、今朝はあった筈のリボン無しのティアラが気恥ずかしそうにこっちを見て笑っていた。どうやら一足先に飾り付けまで手伝ってくれたらしい。

両手で慎重に受け取ると、思った以上にずしりと重かった。ちょっと不意打ちに少しふらついてしまったけれど、ステイルがすぐに横から支えてくれる。

しっかり持てば片手でもいけるけれど、ステイルがすぐに手伝いますと手を添えてくれた。大丈夫よ、と返しながら、早速中身を確認するべく客間のテーブルにそれを乗せる。

テーブルに置いた途端、ジャリリンッと固い音がいくつも重なって聞こえた。一瞬壊しちゃったんじゃないかと背筋まで震えたけれど、目を輝かせてくれているセフェクとケメトの様子を見るとどうやら大丈夫らしい。

恐る恐る手を離し、リボンを丁寧に外した後にびっくり箱でも開くかのような感覚で布袋の口を覗いた

目に入った物に思わず口を開けて息を飲んでしまう。布袋にぎっしりと入っていたのは


「貝殻……?」


きらきらと輝く、可愛らしい貝殻の山だった。

こんなに……⁈と思わず声に出てしまう。ずっしりと重かった理由もよくわかった。これだけの数が入っていたら重いのも当然だ。巻き貝から可愛らしいピンクの貝、赤ちゃんの爪くらいの大きさからホラ貝みたいな大きさのものまで詰め込まれている。

更には綺麗な角の取れたシーグラスも入っていてもう文字通りの宝の山だった。一つひとつ手に取っては嬉しくて目が忙しい。すごい、綺麗、可愛い!とセフェクとケメトの前で子どものようにはしゃいでしまう。

ステイルも隣から覗き込んで感嘆の声を漏らしていた。ティアラが「すっごく素敵ですねっ!!」と力一杯声を跳ね上げるのに私からも全力で声を張って返してしまう。こんなに大量の貝を今世で見るのは始めてだ。


「すっっっごく嬉しいわ……!それに貝なんて、フリージアでは滅多に見れないもの……」

フリージア王国は海に面していない。だから王都どころか国のどこにも港もないし浜辺もない。だからこんな綺麗な貝をお目にかかれることなんてない。それをこんなに沢山贈ってくれるなんて、もう感激しか出てこない。

今から全部物色したいくらいだけれど、確実に重さからしてテーブルに並びきれる量を上回っている。これは私の部屋に戻ってからじっくり全部時間を掛けて堪能させて貰おう。

喜びと感動を隠しきれない私に、セフェクとケメトが紅潮した顔で嬉しそうにお互いを見合わせていた。これだけの量を集めるのにどれだけ時間が掛かったのだろう。

ケメトとセフェクが代わりばんこに、配達先で海のある国があるからそこで集めたのだと話してくれる。ハナズオにもサーシスに海があった筈だけれど、あそこは今は門前払いだし、だったらシオン王国の方だろうか。

大変だったでしょう?と両手に貝を掬いあげながら聞くと、ケメトが「ヴァルも手伝ってくれました!」と声を上げた。

ヴァルが⁈とまさかの情報に耳を疑ってしまうと、すぐさま「手伝ってねぇ」と食い気味に本人からの否定が入った。彼曰く、貝集めではなくてセフェクが転んだり、ケメトが波にさらわれかけた時の回収係だったらしい。二人が綺麗な貝に釣られるままに浜辺どころか膝下くらいの波にまで突入していったから、その後の回収で大変だったと。……うん。すごく想像できる。このくらいの歳だと、転んだだけでも波が頭から被さったら溺れかけるし、ケメトの体格だと足下ごと波に引き摺られていってもおかしくない。その度にヴァルが手を貸しに行ってたなら、彼も波を被る事態になったのだろうかと思う。三人揃ってびしょ濡れにさせたと思うと、この貝のありがたみをひしひしと感じる。絶対一粒残らず大事に保管しよう。

三人とも風邪を引かなかった?と健康状態を確認してから、改めて素敵な贈り物にお礼を言う。「でも次は無理しないでね」と丁重にお願いしたら、二人から元気な返事が返ってきた。ヴァルが「もう貝はうんざりだ」と舌打ち混じりに言っていたけれど、……二人のこの様子を見ると来年も苦労を掛けることになりそうだと思う。本当に申し訳ない。


「……セフェク、ケメト、もう済んだなら行くぞ。主、さっさと金と次の依頼を寄越せ」

壁際からゆらりと立ち上がると、ヴァルは誕生日会ムードゼロで私に掌を開いて見せた。

促されるままにステイルから受け取った今回分の報酬と、次の依頼をお願いすると、ヴァルはそのまま荷袋を担ぎ直した。セフェクと繋ぐケメトの手を引き、扉から出て行く。少し残念だ。大量に仕事を任せたのがこっちだから仕方ないけれど、折角ならもう少し時間を貰ってケメトとセフェクともお話がしたかった。

セフェクとケメト本人は、「もう行くの⁈」と声を上げたものの、ヴァルが扉を開けた時には「主!おめでとうございました!」とすんなり気持ちの良い笑顔で手を振ってくれた。私の方が名残惜しむあたり、ちょっと恥ずかしい。

次に会うのは誕生日の後だろうかと思いながら、私からも三人に手を振った。


……


「おやすみなさいませ、プライド様」


おやすみなさい、と。

専属侍女のマリーとロッテに挨拶を返して、私はベッドの中で扉が閉め切られるのを待った。パタン、と最小限の音がしてからそっと足音を立てないように注意してベッドを抜ける。

誕生祭が近いし、無理はできないけれどどうしても今日中にやっておきたいことがあった。


「折角二人が集めてくれたんだもの……」

言い訳のように呟きながら、私は机に置いていた布袋をそっと広いテーブルへと移す。

本当は日中にやりたかったけれど、そうすると確実にロッテやマリーだけでなくステイルやティアラに手伝わせてしまうことになるから敢えて回避した。数は多いけれど、私宛のプレゼントだしちゃんと私が仕分けたい。セフェクとケメトはこれを広い浜辺で海水に濡れながら拾ってくれたのだから。

ここは今夜中に全部仕分けして箱に詰めて、明日にでもティアラ達にお披露目してあげたい。ケメト達にも近々城に戻ってきた時に「こんなに綺麗に保存したわよ!」と感謝も込めて見せたい。

既に入れ物になるケースはロッテ達に用意してもらったし、あとは綺麗に分けてそれぞれ入れるだけだ。灯した小さな灯りをテーブルの側に置いた私は、まずざっくりと貝の大きさがそれぞれどれくらいの割合であるか確認から始めることにする。テーブルに中身を割らないように細心の注意を払いながら袋の中身をジャララと広げ




ガチャン。




「……あれ?」

不意に、予想外の形状で布袋から転がり出た物に目が点になる。

他の貝とは比べ物にならないくらいの大きさにまた螺貝か何かかと思ったけれど、どうやら違うらしい。目を凝らし、明かりを近づけてみても貝の形状ではない。

貝がぎっしり詰まっていた袋の一番底に入っていたらしく、砂や小さな貝が少しへばりついている。もしかして漂流物でも拾ってくれたのかなと思って手に取ってみたけれど、手に取ってみてすぐに違うとわかる。貝の下で揉みくちゃにされた所為で細かい傷がついていたけれど、古くはない。それに何よりこれはちゃんと…


「……懐中時計……?」


動いている。

カチ、カチ、カチと。歯車が壊れた様子も、錆ついたところも見当たらない。海水に浸かったら駄目になる筈なのにこれは正常に動いているし、中を開けば時間もしっかり合っている。どう見ても間違いなく新品の懐中時計だ。

手巻き式で動く小型の時計は、我が国でも持ち歩く習慣がある。上級層から庶民まで、時間の確認は等しく大事なものだ。私や王族とかだと自分は持たずに従者や侍女に任せることの方が多いけれど、それでも時間の重要性は一緒だ。

一度開いた後の蓋をまた閉じてみると、表面にはシオン王国の紋章があった。確か城下に降りた時に、フリージアでも似たようなものを見た事がある。王都の市場とかにはわりとよくあるらしい土産品だ。我が国だとフリージア王国の紋章だけど。

自国の証として民が買うことも多いけれど、その国に訪れた人向けのお土産品として人気がある品だ。一目でどこの国の品かわかるもの。

まだ成人していない私はなかなか異国には簡単に招かれないし、異国の城下に降りることなんて滅多にない。こういう市場のお土産品なんて買うことなんてできないから凄く貴重だ。


「……綺麗ね」

思わず彫られた部分を指でなぞってしまう。

彫り師が一つ一つ細工している銀色の懐中時計は、前世と違って全部が温かみもある。こんな良い物を誰が、と思えば結論はすぐに一人しか思い付かない。

セフェクとケメトはそういうサプライズがあれば教えてくれたと思うし、二人からの貝の下敷きにするところが何とも彼らしい。ヴァルが時計を身に付けてるところなんて見たことないし、彼の私物が紛れ込んだわけでもないだろう。そうなるとこれは私への誕生日祝いもとい、お土産ということだろうか。

仕事の雇い主とはいえ、そういう義理を通してくれるなんてちょっぴり意外だ。でもその倍は嬉しい。

確認を含めて今度会った時にお礼を言うべきかなとも思ったけれど、すぐに踏み止まる。あの場で言ってくれなかった上にセフェクとケメトも知らなかったということは、大嫌いな王族である私に贈り物をしたという事実自体を隠したかった可能性が高い。それに、…………これだ。

チャリ、と懐中時計から伸びる鎖を指で摘む。

身に付ける為、銀時計には基本的に鎖が付属している。服やベルトに留めてポケットに入れたり、首に下げたりと使用方法も鎖の長さや使う人によって異なる。けれどこれはその長さが極端に短い。……というか、明らかに途中で引き千切られている。

敢えて身に付けられないように留め具ごと鎖が壊されているのは暗に「持ち歩くな」の意思表示だろう。まぁ確かに他国の懐中時計なんて王族の私が身に付けていたら指摘の嵐だけれども。そういうところがまた本当に彼らしい。

何かのついでか、それとも彼の気まぐれかはわからない。それでも贈ってくれたという事実だけで胸の底から温まった。王族嫌いのあのヴァルからだなんて、それこそこれが一生で一度あるか無いかの貴重な品だ。

短い鎖から手を離し、銀時計を軽く掴む。蓋を開け、カチカチと鳴る時計の針を暫く眺め続けた後、時間が見えるようにしてテーブルの上に置いた。

改めてセフェクとケメトが集めたくれた貝を摘み上げ、大きさを見比べながらケースへと仕分け始める。


「……三人らしいわ」

ところどころ貝についた海の砂と潮の香り。

鎖の千切れた懐中時計。

月明かりが細く入る薄暗い部屋は、今にも細波の音が聞こえてくるかのようで。


彼らと共に夜を過ごしているような感覚に、気が付けばのめり込むように私は時を刻み続けた。




………




「だっ……駄目ですよセフェク。ヴァルを起こす前にそんなことしちゃうのは」


朝日が登った時間。

配達からフリージア王国に戻り、いつものように宿で部屋を取った彼らだが、まだ一人目を覚ましていなかった。最初にセフェク、そして彼女が起きる気配に引っ張られるようにケメトも目を覚ましたが、ヴァルだけが朝陽を浴びても未だ熟睡したままだ。

寝るのも遅いヴァルが、朝は三人の中で一番目覚めが遅いのも珍しくはない。時にはケメトも同じだけ寝ていることもある。そしてその彼らを起こすのがセフェクの習慣でもあった。

身支度らしいことを殆どしないヴァルと違い、セフェクは朝の内に女性としての身支度をしっかり済ませ、それからヴァルを起こす。ケメトも最低限は顔を拭いたり部屋を片付けたり荷物を整理したりとするが、一番時間が掛かるのはセフェクだった。

そして今、その身支度も終えた彼女はまだヴァルを起こそうとしない。単に、いつもより彼を起こす時間がまだ早いこともあるが、その前にやってみたいことがあった。


「良いじゃない。私達が集めた贈り物だもの。ちょっと主に渡す前にどれくらい貝を集められたか数えてみましょうよ」

そう言ってセフェクはテーブルに置かれた、潮の香りが染み付いた布袋へ向けて手を伸ばす。

毎年、プライドへの贈り物として布袋いっぱいの貝を拾い集めている彼女達は今年は特に気合が入っていた。

拾う中でも綺麗な貝を一つ一つ選別し、一生懸命時間をかけた。今までの中でも一番の数と質になったと二人は思う。


何せ、奪還戦を終えて初めてのプライドの誕生祭前日なのだから。


自分達からの誕生日以外の祝いの気持ちも込めて、うんと良いものを贈りたかった。

数を数えたいのもあるがセフェクはもう一度、拾った貝が全て満足いくものかどうかも確認したかった。ヒビが入ったり、よく見たら綺麗でないものだったらと。

初めてプライドに贈った時から、レオンの婚約解消後に彼女が見せてくれたケースへ綺麗に宝石のように閉じ込められた貝の数々を見てからは余計に気になるようになっていた。ケメトもセフェクが面白半分ではなく、それを気にして中身を見たがっているのはわかっている。しかし


「駄目ですよ!だって……」

声を上げそうになって、そこで口を覆う。

まだ寝ているヴァルを起こしてしまったのではないかと目で振り返り、まだ熟睡していると確認する。

二人でほっと胸を撫で下ろしたところで、セフェクは改めて「だって?」とケメトへ首を傾けた。口を覆った両手を下ろしたケメトは、そこで再び潜めた声で口を動かす。


「……だって。中身を一度出しちゃったら、その拍子に割れちゃうかもしれません。主に贈る前に一個でも割れちゃったら悲しいです。今日の配達が終わったら主に渡しますし、我慢しましょう?」

きっとどれも綺麗ですよ、と。そう言って眉を僅かに垂らしながら笑うケメトにセフェクも唇を絞る。

確かにそうかもしれないと、気が急いてしまいながらもここで自分で割った方が悲しいと思う。「……わかったわ」とちょっぴり残念に思いながらも布袋に背中を向けて我慢した。納得してくれたセフェクにケメトはポンポンと腕を伸ばして頭を撫でて笑い掛ける。


「また主がケースに飾ってくれたら一緒に数えましょうね」

ケメトは、知っている。

初めてプライドに貝を贈った前夜、楽しみで寝付けなかった彼は身動ぎ一つしないまま目蓋の裏で気付いた。自分達と一緒に寝ていた筈のヴァルが殆ど音もなくベッドから抜け出したことを。

テーブルに置いていた貝の詰まった布袋の奥底に、何か捻じ込んでいたことを。

それから毎年、その頃になると毎回違う国で一度だけ彼が土産屋に寄っていることを。

そして今年。プライドの十九の誕生日を間近にした昨日、彼が宿を取る前に〝フリージア王国〟の土産屋に足を運んでいたことを。

そして昨夜、同じように毛布に潜って寝た振りをして待っていたケメトは今年も見た。月明かりに照らされる中、布袋に突っ込まれる寸前に。




じゃらりと()()()()()()()懐中時計を。




「今年も主、喜んでくれると良いですね!」

にこにこと笑うケメトに、セフェクも今度は顔を綻ばせて頷いた。

そうね!と力一杯声を上げれば、とうとう甲高いその声にヴァルが目を覚ます。「うるせぇ」と苛立たしげに第一声を零せば、次の瞬間二人は揃って彼のベッドに飛び込む。

早く城に行きましょうよ、僕も早く主に贈り物したいです!と交互に耳の近くで叫ばれ、完全に目を覚ましきってから部屋に響く声でヴァルは怒鳴った。


配達人再始動伴い任された、プライドの誕生祭への各国出欠席確認。

彼らがプライドに贈り物を手渡すのは、それを全て終えてからのことだった。


プライドが、自分が押し付けた懐中時計をどうしているかヴァルは知らない。

そしてどうでも良いとも思う。少なくともあんな安物を身に付けるような馬鹿な真似や、わざわざ自分達に尋ねてこなかったことだけで充分だった。もし、尋ねられてしまえば服を買うついでの安物だと嘘にならない言い訳も考えていたが、その時は今後もう二度と贈るまいと決めていた。

自己満足の贈り物に、いっそ漂流物と間違えて捨てていれば良いとも毎回思う。ケメトとセフェクが彼女に布袋を引き渡す度、ほんの一瞬だけわざわざこんな小細工をしてまで贈り続けていることを毎回後悔し、渡した後は一秒でも早くその場を去りたくて苛立ちが強まった。もう贈るのはやめようかと毎年本気で思った。……今年、以外は。


「お姉様、本当に宜しいのですか?セフェクとケメトからの贈り物をケースに仕舞うの、私もお手伝いしてみたいですっ」

「俺も手伝いますよ。毎年プライド一人では大変でしょう。せめてロッテやマリーに手伝って貰ってはいかがですか」

「ううん良いの。ごめんなさいね、ありがとうティアラ、ステイル」



「これは、私だけで」


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