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フリージア王国備忘録<特別話>   作者: 天壱
周年記念

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42/144

〈三周年記念・特殊話〉病める人は

三年間連載存続達成記念。本編と一応関係はありません。

IFストーリー。

〝もし、ジルベールがもっと早くプライドと関わっていたら〟



「いや……私には向かないよアルバート。お願いだから考え直してくれ」


王配の執務室。そこで一歩壁際に下がる若き宰相は、その日珍しく王配の言葉を拒んだ。

異例の若さと略歴で宰相の任を得た彼は、経験不足と若ささえ目を瞑れば間違いなく優秀な宰相である。城で働き始めた頃から頭角を現していたが、異例の若さで宰相としての役職を与えられた後からは求められる以上の成績を収めている。

今では伯爵家の婚約者と屋敷も得た彼は、平民の誰もが憧れる全てを手にしたといっても過言ではない。彼の出生こそ表では知られていないが、突如として国の最上総部の傍らに立つことを許された彼に対してやっかみが生まれなかったこともその手腕によるものが大きい。

与えられた役職のみでなく、周囲の人間から現王配と女王にも信頼を得た。優秀且つ希少な特殊能力を認められ、その完璧とも呼べる手腕も含めて城からの信頼も厚い。

当然上層部からの相談も依頼も、そして王配からの依頼も見事に応え続けている。そんな完璧なまでの手腕と権力を与えられた彼は今


「そう言うなジルベール。私もこの通り最近は忙しい、私が他に任せられるのは」

「その続きは言わないでくれ……。君の補佐ならば何でも喜んでしよう。しかし〝それ〟は宰相の業務じゃない」

壁際に下がったジルベールをさらに一歩距離を詰める王配は、鋭い眼光を再びジルベールの鼻先まで近づけた。

睨んでいるようにも見える彼の眼つきの悪さには慣れたジルベールだが、今は顎の覚悟ごと目を逸らしてしまう。両手の平を胸の前で僅かに開き止め、アルバートがこれ以上詰め寄ってこないようにと防止した。

素手での護身術については王族である彼にも勝てる自信があるが、それを主であるアルバートへ振るおうとは思わない。

しかし微かな抵抗として距離を保てば、アルバートもそれ以上は詰め寄ってこなかった。それでも高い鼻先に圧迫感を感じる程度には既に距離が近い。

王族男性特有の高貴な香水の香りがはっきりとジルベールの鼻に届いた。ここまで強く詰め寄られたことなど滅多にないジルベールだが、やはり頷こうとは思えなかった。

たとえ自分が頷かずとも、正式な王配からの命令であれば自分に逆らう権利などないがそれでも必死の抵抗である。いつもは優雅な笑みを浮かべていた口元が今だけはわずかに引き攣ってしまう。額から頬までうっすらと汗すら染みてきた。

それほどまでに、アルバートから打診された内容は頷きたくないものだった。しかしアルバートは「頼む」と鋭い眼光で彼に詰め寄り続ける。これを受けて貰えるまで公務にも戻らないと意思を示す。




「プライドの面倒をみろとは言わない。私の代わりに会いに行ってくれれば良い」




無理だ……、とジルベールにしてはあまりに弱弱しい声でまた返した。

フリージア王国の幼き第一王女、プライド・ロイヤル・アイビー。

今はまだ〝姫〟と呼ばれるその少女は、とある理由で母親から距離を置かれていた。更には愛情を注いでいる父親も、連日の公務が忙しく最近は一目会いに行くことも難しい状況だった。ジルベールの補佐が届く机の上での仕事ならまだ回っている。しかし、フリージア王国から同盟打診や和平打診、交流打診を行っている周辺諸国の来賓がここ最近は立て続けてしまった。外交担当である女王と摂政のみならず、王配もまた来賓への持て成しで身体がいくつあっても足りないのが現状だった。

女王の意向の為、他国との結びつきを深める為にも王配である自分も動かないわけにはいかない。その結果、愛しい娘に会いに行く頻度がここ最近は激減していた。


「私が会いに行く数が減っている所為で、最近のプライドは以前にも増して我儘や使用人達への当たりが強くなっている。この前もまた一人侍女が異動した。お前が仲良くなってくれれば、あの子も少しは収まる筈だ」

「よりによってこの私が父親の代わりになるわけがないだろう?アルバート、君は知っているから言うが私は使用人経験はあっても子守り関係に就いたことはない」

「そんなことはわかっている!親の穴を私が埋めずどうする⁈だが、あの子は孤独なんだ。人に上手く取り入るお前ならプライドとも容易に打ち解けられるだろう」

「プライド姫はまだ文字すら読めない幼子だ。私に子守りは無理だ。子どもに関わったこともない。この先子どもを持つ気すらない人間なんだ」

そこを頼む、と。人との交渉も、読心術も社交術も人心掌握術も自在なジルベールだが、目の前のアルバートを諦めさせることだけは叶わない。

あえて王配としてではなく友人として頼み込んでくるアルバートに、ジルベールも次第に強く断ることが難しくなってきた。もともと補佐としての立場だけでなく、友人であり計り知れない恩もあるアルバートにはジルベールも弱い。しかも両親に会えず寂しがっているというのは友人と大恩ある女王の愛娘。同時に自分の愛する婚約者であるマリアンヌの友人の愛娘でもある。

その上、表沙汰にはされていないがプライドには二つ下の妹が存在していることも宰相であるジルベールは知っている。アルバートはともかく、公務で忙しいという理由だけで関係を断っているローザが実はティアラには何度が会いに行っていることも知っている。

身体が弱いからとはいえ妹に母親を奪われたプライドが、その上父親との接触も激減してしまった。考えれば同情の余地はいくらでもある。しかしどうしても子どもの相手と言われると抵抗が強かった。ジルベールにとっては、未知の生物である。

一定距離で微笑み眺める程度は良いが、関わるともなるとまた別だ。過去には下級層に転がり飢えていた子どもすら、何人見殺しにしてきたかわからない。


「プライドの話を聞いてやってくれ。言うことも聞かず諫めて良い、私が許可する。友人のお前だから私達の愛する娘を託せるんだ」

「その台詞は命令よりも狡いよ……」

今までになく決死に頼んでくる友人に、ジルベールがなくなく折れたのは問答を一時間以上続けた後だった。



「お久しぶりです、プライド様。御父上の補佐を任されております宰相のジルベール・バトラーと申します」



今までも何度かお会いしていますが覚えてはいないでしょう、と。優雅な動作とともに続けるジルベールはにこやかにそう語りかけた。

まだ片手で数える程度の年しか生きていない、幼い姫に。


「知らない。帰って。補佐じゃなくて父上を連れてきて」


そう大人に向けて躊躇いなく言い返すプライドは、幼子とは思えない冷ややかな眼差しで彼に返した。

ジルベールが働く拠点ともなる王宮の聳え立つ王居。しかしそこは王宮とは異なる、今は幼い姫一人の為だけに存在する宮殿だった。ちょうど部屋で寛いでいた彼女は、ノックの主が父親でも母親でもないと知った時から興味は失せていた。宰相と聞いても改まる気すら沸かず、今も自身のベッドにゴロリとうつ伏せに転がったままである。

予想通りの返答に、ジルベールもそれだけでは笑みも崩さない。今までもプライドが産まれてから何度も会ったことはある。しかしあくまでアルバートと同行する形だった為、プライドの視界には全く入らなかった。

常に彼女の目に入るのは大好きな父親だけだったのだから。貴重な時間をそれ以外の有象無象にかまっていられるわけもない。

物覚えが悪いわけではない。ただ、それ以上にジルベールへ何の興味も持たなかったプライドにとっては当然、いまも興味の欠片すら沸きはしない。


「申し訳ありません。プライド様。王配殿下も姫君にお会いしたいと仰っていたのですがお忙しく、代わりにこうして私がご挨拶に」

「帰って。父上連れてきて、アンタなんか嫌い」

少なくとも彼女の中では初対面にも関わらずの「嫌い」に、ジルベールはひしひしとやはり〝我儘姫〟は真実だったのだなと理解する。

今まで会ってきた時は必ず父親の前で猫をかぶっていた彼女の本性をこの目にするのは、ジルベールも今日が初めてだった。

もともとアルバート同様、プライドがあきらかに良い子の振りをしていることは察していたがここまで態度が違うといっそ清々しい。両親本人ではないとはいえ、その〝補佐〟として近い存在である自分には取り繕わないところは、やはりまだ幼子だと分析までしてしまう。

表と裏が使い分けきれていない。本当に両親をだまし切りたいのなら、宰相だけを前にしても良い子のふりをしなければ意味がない。こんなぬるさでは〝我儘姫〟の本性を両親に隠しきれるわけもなかった。

目の前で寝転がる生き物に、ジルベールは観察を続ける。いまもプライドの周囲には侍女がいるが、乳母はいない。その為、誰もがプライドへ強く出ることもできずに今も宰相である自分への失言を指摘する者もいなかった。幼い姫の言動にびくびくしつつ眉を垂らして機嫌を取るか、存在を徹底的に消して空気に徹するかの二極である。傍らで姫へと扇いでそよ風を送る侍女もまた、手が震えていた。


いつまでたっても出ていかず自分をじろじろ見降ろす宰相に、プライドもぎろりと吊り上がった目をさらに鋭く尖らせた。

他の使用人達であれば萎縮してしまうその眼光も、アルバートの眼光を受け慣れているジルベールには全く効果がない。にこにこ笑っている顔よりも、こうやって睨む顔を見れば父親似だなと関心する。正直両親どちらにも特筆して似ている印象がなかったが、その考えはいま改まった。


「さっさとどっかいって‼︎じゃないと宰相じゃいられなくしてやるんだから‼︎」

「ほぉ、ちなみにそれは具体的にはどのような方法で?」

部屋いっぱいに広がる声を張り上げるプライドに、ジルベールは興味本位で尋ねてみる。

いっそ宰相である自分が王配に直接彼女の手の内から全てを具体的に報告してみるのもいいかもしれないと考えた。やはり立場の低い使用人達だけでは報告できる域にも限界がある。

クビにされることや、愛娘を侮辱したと逆に罰を受けることを恐れて口を噤むことが普通者である。アルバートからも窘める許可を得ている今、ジルベールにとって幼い姫は脅威ではない。むしろ、こんな子どもがどうやって侍女を何人も追いつめてきたのかの方が気になった。


「酷いことしたって父上にいいつけるから‼︎父上絶対怒るしアンタなんか死刑よ!」

「情報が不十分ですねぇ。具体的にどのような酷いことをしたと言わねば刑罰は決めかねますよ」

ぴくっ、と。初めてプライドの目が強く見開かれた。

今までこのセリフを言えば、大概の人間は自分にひれ伏し謝罪するか機嫌をとるか泣き出すか絶句するかのどれかだった。なのに、まさかそれ以外を返されるとは思わなかった。

しかもまるで教師のような指摘に、気が付けば自然と腕に乗せていた顎が離れて上がる。まだ幼い少女には何が不十分なのかもわからない。刑罰に〝とても重い罰〟で死刑があることは知っていても、どんな種類があるのかまでは知りもしない。

プライドから嫌悪以外の視線を受けたことを確認したジルベールは、そこでさらに問いを重ねてみることにする。


「酷いこと、と仰るとどのような行為を想定されていますでしょうか。暴行の類ですと、その証拠偽造の為に姫様が自ら痛い思いをしなければなりませんしおすすめは致しません」

「…………。……私が?なんで⁇」

大人の言う言葉は半分近くは飲み込み切れず抜けていく。

しかし、自分が痛い思いをしないといけないという言葉は聞き捨てならず首を捻った。自分が言えば父親は信じるに決まっているとしか考えていない幼い少女に、証拠偽装の概念は難しい。


「暴行罪の場合は、まずその証拠が大事なのですよ。たとえばプライド様がー……いえ、これ以上はやめておきましょう。安易に真似されても困りますから。それこそ御父上に私が酷く怒られてしまいます」

肩を竦め、途中で止める。

まさか気に入らない一人を陥れる為だけにしないとは思うが、本当にこれでプライドが自分で自分に傷をつくるような事態を作れば大変なことになる。平然とした表情の裏で、舌を丸めるジルベールは具体的な証拠偽造方法は飲み込んだ。

途中で話をもったいぶるように止められたプライドからは「なによ‼︎」と叫ばれたが、それこそ聞かなかったことにする。とりあえず寝そべっている状態から身体を起こし始めた様子に、少しは自分に興味を持ち始めたようだと考える。


「ちなみに暴行罪は子ども相手には特に信憑性が低下致します。ただでさえ怪我しやすい生き物とされていますからそれを思いつき半分で大人の所為にされても困りますので。まぁプライド様ほどの御方であれば、騒ぎ立てるだけでも大概の話も白を黒に黒を白にできたでしょう。ですがそのような王族では安心して御父上もお母上も後任をプライド姫にお任せすることはできないでしょうね。……まぁ、私の立場を追いやるか困らせる程度であれば、小細工などせずとも簡単に言葉一つで可能ですが」

「なぁに⁇」

長く早口で息継ぎの間もなく言うジルベールの言葉に、途中で集中力も切れたプライドはきちんとわからない。しかし最後に誘うようにゆっくり言葉の速度を落としてきた〝追いやる方法〟に、わかりやすく飛びついた。いま目の前の人間を他の使用人達のように困らせる方法を、その本人に直接訪ねる。そこに疑問を持てる齢にはまだ至っていない。

敢えて唇を結び、切長な眼差しだけで見返してくるジルベールにプライドはとうとうベッドから降りた。上等な靴で着地しながら「何なの!」と、ジルベールの裾を自ら掴んで爪先立ちをした。二度目のお預けに我慢ができなくなる。

うーん、と考える素振りをして見せるジルベールはわざと目を逸らした。足元で苛立ちを積み上げる幼女に、ゆっくりと見下ろし視線を合わせた。にっこりと優雅な余裕の笑みで、自分をこれから陥れようとする幼女へ優しい声で答えを返した。


思ったよりも話が通じそうだ、と。頭の中で打算的に考えを巡らしながら。



……




「ジルベール。ここ最近、プライドが毎日のようにお前のことを〝ソウメイ〟で〝ケイガン〟だと私に言付けを送ってくるのはどういう理由だ」


フフッ……‼︎と、ジルベールは耐えられずアルバートの言葉に笑いを溢した。

顔こそアルバートに背けるまでは間に合ったが、その後はぷるぷると肩を震わせてしまう。遅れて口元を隠したが、同時にアルバートは自身の刻まれた眉間を二本指で押さえた。やはりそういうことかと、ジルベールから事情を問いただす前からある程度理解する。

今まで、プライドから直接はなくとも侍女や衛兵に乱暴された、酷いことをされたクビにしてと苦情を従者か衛兵伝てに聞くことはあった。しかし、今回初めてプライドからひっきりなしに訴えられた言葉は「ジルベール宰相がソウメイでケイガン」という旨だけだった。まさかたった一度会っただけでそこまでジルベールを褒めるのかと最初は流石の手腕だと関心もしたが、流石に何日も続けば疑問も抱く。しかも最初にそれをジルベールへ話した時の返答も気になった。


『きちんと言葉の意味を知らないだけだよ』


苦笑気味に語った彼にてっきりいつもの謙遜だと思ったが、そうではなかったのだとアルバートはいま確信した。

確かにまだ文字を覚えている途中の幼い娘が〝聡明〟や〝慧眼〟という言葉を覚えていたことには驚いたが、蓋を開ければそういうことである。

まったく……と呟きながら、いまだに笑っているジルベールを肘で突く。「いい加減に話せ」と言えば大きく深呼吸をしたジルベールもすぐにまた、いつもの笑顔でアルバートに振り返った。


「いやはや、まさかひと月も続くとは思いませんでした。流石は幼くともアルバート殿下の娘、諦めも飽きも知らない」

「人の娘で遊ぶんじゃない」

敢えて言葉を整え揶揄ってくるジルベールに、アルバートも今度は正真正銘鋭い目で睨みつけた。

プライドを窘めることは許したが、まさか遊ばれるとは思ってもみなかった。あんなに嫌がっていたわりには楽しんでいるじゃないかと思いつつ、まともな返答を待てばやっと肩を竦めた笑みが返された。「すまない」と謝り、いつもよりお怒りの主にジルベールも正直に口を開く。


「思ったよりも物覚えも飲み込みも良かったものだから。あの年にしてはかなり賢い方だ。私を陥れる言葉として悪い言葉の代わりに教えただけだよ」

「つまりあの言葉はそのままお前への悪口のつもりか」

そうだね、とジルベールもすんなりと肯定した。

もともとアルバートをだまし続けるつもりで口を噤んだわけではない。ただいつまでプライドがその言葉をアルバートへ訴え続けるかと、彼がいつ指摘してくるかが気になっただけの悪戯心である。自分が子守り役を返上させられれば素直に明かすつもりだった。……しかし。



「それにしてはプライドがお前に会いたがるのはどういう理由だ」



「…………さぁ。私にも女心はわからないかな」

腕を組み、睨みを強める王配にこればかりはジルベールも静かな笑みだけで返した。

一度プライドと会ってから、二度三度と父親代理として訪問を繰り返すうちにいつの日からかプライド本人から要望が入るようになった。変わらずジルベールが聡明で慧眼だという訴えに重ねて、「父上が来てくれないならジルベールを呼んで!」と彼女自らがジルベールを指名する。アルバートが一か月間もの間、謎の褒め言葉を、疑問に抱かなかった理由もそこにある。

しかも、ジルベールが通うようになってから本当に使用人が頭を悩ますことが減っていた。気になって何度か使用人達の様子を探らせてみれば、以前よりも明らかに働きやすく過ごしている。一体どんな手を使ったのか、とアルバートも直接見に行きたかったが、もともと忙しい身だからこそのジルベールである。

自分が頼んだとはいえ、ここまで明らかな変化があれば何をしたのかと気になるのは当然だった。今まで自分がどれほどローザの分愛情を注いでも行動を顧みなかった幼い娘が、たったひと月で驚くほど改善したのだから。

しかし鋭い眼光をただ細め固定するアルバートに、ジルベールは素知らぬ顔で書類を渡した。今は子守りではなく、あくまで宰相の業務中である。


「この後またプライド様からお呼びがかかっているから。書類だけでもある程度私の方で先にまとめておくよ」


そう抑揚のつけた声で語りかけるジルベールは、もう初日のように重く背中を丸めることもなくなっていた。



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