表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/18

第2関門


「さあてと、どんな攻撃を見せてくれるかな」

 実体のあるミラーは、補助魔法の選択に苦慮してた。

「相手は、なにせ、オレの幻影だ。幻影に、スピードを鈍らせる魔法や目をくらます魔法が聞くか? 霧のように突き抜けたら、魔力の無駄だ。ならばこれしかない」

「どうした仕掛けてこないのか」

「四次元魔法『マルダ』」

 実体のあるミラーは、マルダを唱えた。この魔法は、唱えたモノを四次元世界に誘うものだ。四次元にいるものは、空間を歪めて進めることができる。

 例えば、三次元の世界にいるものは、AからCに行くまで、Bを通過する必要があるが、四次元に誘われたモノは、Bを通らずも、Cに行くことができる。

 つまり三次元にいるものに比べて、四次元に誘われたものは、素早く空間を移動できるわけだ。

 幻影のミラーに比べて、レベルが落ち、しかも手負いの実体のあるミラーは、これで五分の動きができるようになったのだ。

 実体のあるミラーは、さらなる補助魔法を重ねる。

「二次元魔法『ジト』」

 さらに、幻影のミラーに対して、二次元魔法をかけた。四次元魔法が、空間を自由に動きが取れる魔法なら、この二次元魔法は、かけた相手を二次元上の動きに限定させる魔法。 

 つまり、かけられたモノは、平面上の動きに限定される。

「これで、五分どころか、手負いのオレの動きが上回る…」

 幻影のミラーは、線上の動きに限られるため、自由に動ける実体のあるミラーを捉えきれない。

 実体のあるミラーはぐるぐると回り、幻影のミラーを惑わし、必死に攻撃のしどころを伺う。

「後ろをとった。いまだ!!」

 背後をとった実体のあるミラーは、残った魔力のすべてを注ぎ込み、魔法剣『ラローシュ』に火炎魔法『ボルケス』を重ねあわせて火炎魔法剣の合わせ技で、一気に形勢逆転を狙う。

 動きに限られる幻影のミラーは、防御の遅れを取り、真っ向から火炎魔法剣の餌食になる。手応え十分。

「よしやった…!!」

 背中を切られた幻影のミラーは、炎にまみれる。

「オレがオレを切るのは、気が引けるが、これも想造魔銃剣士のためだ。許せ…」

 勝利を確信した実体のあるミラー。

 しかし謎の声は、関門突破をアナウンスしない。

「どうした、オレは勝ったんだぞ」

「残念ながら、相手は想造魔銃剣士だ。まだわからないよ」

 謎の声がいうように、幻影のミラーはま敗れ去ってはいなかった。

「エル・ホランド」

 回復魔法の上位バージョンを唱えると、すべての傷が癒えて、幻影のミラーは何事もなかったかのように、立ち上がる。

「ふう…結構な手応えだった」

「くそ…。これが想造魔銃剣士の体力、魔力が…。一筋縄にいかないぜ」

「そうだ、君とオレとはレベルが違う」

 これで魔力が底をついた実体のあるミラーは、もう為す術がない。

「一撃に止めをさせなかったのが、命取りだったね」

 幻影のミラーは、手のひらを実体のあるミラーに向けた。

「想造魔銃剣士までになると、光の魔法『マクラウス』は目潰しじゃすまないんだ」

「何…」

「光の魔法上位バージョン『マクラウスプラッシュ』

 手のひらから、部屋一面に広がる光が放たれる。四次元移動のできる実体のあるミラーもこれは逃げ切れない。

「光の量が違えば、当然、熱量も違う。君は、太陽につっこんだ特攻隊のように、熱さにほだされる」

 まともに受けた実体のあるミラーは、致命的なダメージを受ける。

「これが君とオレとの差。死にやしないから、そこは安心してくれ…」

 うつぶせになって倒れる実体のあるミラーであるが、幻影のミラーがいうとおり死んではいないようだ。

「た、助けてくれ…。く、苦しい。君は想造魔銃剣士だろ? 苦しんでいるものを放っておけるのか?」

「命乞いか…。他でもない自分の頼みだ…。聞いてやろうか。それも人々の上に立つ想造魔銃剣士の役目…。エル・ホランド」

 回復魔法によって、実体のあるミラーはみるみるうちに回復していく。

「た、助かった…。が、その優しさが命取りだ。さっきもいった通り、戦場は悪いヤツが生き残る」

 立ち上がった実体のあるミラーは諦めず、ファイティングポーズをとる。

「無駄だ。いくらやっても結果は同じ…」

「どうかな…。君は怪物であったかつての自分の恐ろしさを忘れている…」 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ