行間
オヤジと話していると、店の奥から怒声が聞こえて来た。
「テメェ誰に楯突いてるか分かってんのか?あん?」
「知らねぇよお前こそお前が舐めた真似してきたんだろうがよ」
聞き馴染みの無い声と聞き馴染みの有る声が喧嘩してた。
花形の奴見ないと思ったら‥
「また喧嘩してやがる‥」
ボソっと呟いた俺に対してオヤジが、知り合いか?と聞いてきた。
「まあ‥身内だ」
「この俺が誰だが分かって無いのか?俺は魔王討伐軍第三部隊所属フーっ」
喋ってる途中で花形の容赦ない一撃が顔面に決まってて、不覚にも笑ってしまった。
「おい旅の人今すぐに荷物まとめて逃げた方がいいぞ‥アレは魔王討伐軍だ‥」
魔王討伐軍ね‥はいはい厄介なのは御免なんで逃げるとしよう‥でもこれから先どうしようか‥
等と考えていたら横から声を掛けられた‥
「お前旅人なんだな‥随分面白そうな話ししてんな」
と声を掛けて来たのは27~8歳くらいに見える青年だった。
「ちょっと外で話そうぜアンタの望む話が出来るかもしれねぇぜ?」
「ああ‥ちょっと待ってね‥連れが今国家権力に殴りかかってる」
「おーい程々にしとけぇー先出てるぞぉー」
最近大人しくなっていたのに‥どうもあの部分は変わらないものらしい。
「大変そうだなアンタ‥」
「まあ慣れた」
事実、花形が男だろうが女だろうが喧嘩っぱやい上、
すこぶる腕が立つって点では慣れれば大して苦では無い。だってほっといても負けないもん。
面倒なのは後処理だけど‥待てよ‥今アイツ一人じゃなくね?マキは?
あかん!
「どうした旅人?」
「友人の友人が危ない‥」
そりゃあ大変だ‥と青年はカラカラと笑った。