お宝探し
ふぁぁ~
この辺は空気が綺麗な気がする。
私達は、エンドの街から少し離れた場所に、テントを張り、拠点を構えている。
「なあ…セイレーン…人魚の肉を喰ったら不死身になれるかな?」
「喰うの?そこのクソ気持ち悪い肉?多分腹壊すだけだぜ…それに…不死身になんてならない方がいい…不老不死なんて鳥肌がたつぜ」
「凄い拒絶するな~張り合いの無いやつ~」
なんとでも言え…とセイレーンに一蹴されてしまう…
人魚伝説…嘘なのかなぁ…
「ま…伝説がどうあれ…そんな気持ち悪いモノ食わない方がいいぜ」
「セイレーン…アンタ…何が狙いだ?」と銃の手入れをしながら福田が聞く。
「何って…冒険さ!ワクワクするじゃないか…人魚に、生命の泉!それに空飛ぶフライング珍味!」
はは冒険かぁ…やっぱりセイレーンも子供だなぁ…フライング珍味?
「ふんっまた胡散臭いな…」と福田が呟く。
「仲悪いの?」とセイレーンに聞こえないように福田に言ってみる。
「いや…仲はいい方だとは思うけど…でもなアイツ何か隠し事してるぜ?」
そっか…フライング珍味は嘘か…
「秘密は嫌い?」
「身内だとな…昔の癖で疑ってしまう…得体の知れない奴は近くにはおいて置きたく無いんだよな…」
それを仲悪いっていうのでは?と思ったが、福田的には違うらしい。
まあ、私にも少し分かるけど…私は嘘だと分かっていても、弟分を信じて刺し殺された訳だけど…
やっぱり分かんないや。
「みろマキ!この手長大根…浮きます…」
「ううわぁぁ…浮いてる」
セイレーンとマキちゃんが何やら変なことをしている…あれ…あの大根…浮いてない?
「なあ花形…俺達の目的って何なんだろうな…」
「え?人魚でしょう…あと生命の泉」
「いや…そういうのじゃあなくて…どうして俺達はこの世界で生かされているんだろうかな…」
「そういう話か…分かんないけど第二の人生プレゼントみたいな感じじゃない?私ここに来てずっと楽しいよ!」
「女になってもか?」
「‥‥」
「分かんねぇんだよな…お前が女になったことも…色々考えると余計分かんなくなんだよな…」
といったきり福田は黙ってしまった。
「そうだね…私はずっと怯えてきたんだよね…」
「‥‥」
「何に怯えてきたかって?誰かにどう思われてるか‥とかさ、強いアニキって弟分に思われていたいって自分自身とかさ‥誰かが思い描いた私自身の像を私が守らないとって思ってたんだよね」
「でも…この世界に来て分かったんだ…そんなものに怯える必要なんて無かったんだって…誰かが思う花形のアニキなんて最初から誰も気にしてなんて無かったんじゃあ無いかなって…だって」
「私は…簡単に刺し殺されちゃった訳だしね」
「急にめちゃくちゃ喋るな‥確かにな‥俺も簡単に死んじまった訳だしな‥」
「福田は生き返ったじゃんか、向こうで一回‥こっちで一回…そんなの出来ないよ?普通…」
「まあ…俺は不死身だから」福田がニカっと笑う
やっと笑ってくれた。
取り敢えず‥やることは無くなってしまったが‥
人魚は持って帰ることにしよう‥てか私‥街に入ってないよ!!
「ねえ福田…やること無いならもう一度街に行こう!エンドの街に」
「何しに?」
「ん?お宝探しだよ!あれだけガラクタが転がってたらお宝の一つや二つアリそうなものじゃない?」
「‥‥行ってみるか」
「そうこなくっちゃ!」
私達は一応は最強コンビのつもり。なにもないなら、作ればいいんだよ。私達にはそれが出来るのだから。